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AI時代だからこそ求められるのは人の「技」 全社一丸で覚悟を行動へ

2026.03.12

生産性向上へ、今足りないものは何か? 補うために必要な行動とは? AI時代に求められるのは、現場で磨かれる人の「技」だ。

会社も組合も想いを一つに

佐藤社長

本日の話し合いの冒頭、鬼頭委員長から「会社はバラバラじゃないのか」という組合員の声をいただきました。大変重い一言だと思います。その言葉を胸に、今日の話し合いに向き合ってきました。

話し合いを聞いているなかで「会社はどこを見ているんだ。全工程がつながっていないじゃないか」と、そんな心の叫びが、冒頭のコメントにつながったのかと強く思いました。

私自身も、何が起きているのか分かっているつもりでいました。どの部署も、みんな頑張ってくれている。みんな頑張って、でもこの状態なんだと。どこか「仕方がない」と思っていた自分がいたんだなと気付かされました。

お客様に近い工程であればあるほど、お客様の笑顔が失われている現実に向き合っている。でも、そこから距離が離れれば離れるほど「自分にできることはない」と思ってしまう。

「自分は自分の仕事をやっている」。そう思っている会社が、今のトヨタなんじゃないかと、そんな声に聞こえました。

必ず工程はつながっているので、どの部署にもやれることがあるはずです。でも、目の前の仕事に一生懸命だから、自分の置かれている前提条件を疑うことができなくて「頑張っているのに」という想いだけが、悔しさになっていく。そんな状態が、今のトヨタなんだろうと思います。

自分たち会社側のすべての人間も、前提条件を疑ってかかって、仕事のやり方を変えるアイデアを出して、全員がプレーヤーになっていたら、絶対に仕事のやり方は変えられるはず。その想いを、3回の話し合いで共有できたと思います。

これからモビリティは多様化して、クルマの電動化もどんどん進みます。

ハードウェアの収益率は、そのままいけば悪化していく。だから、今やっている仕事を頑張っているだけでは稼ぐ力は失われていく。

今以上にスピードを上げて、生産性を上げていかなければ、我々は550万人の仲間とこれからも闘っていくことはできない。

AIの話がありました。仕事の仕方を変えていく大きな原動力になると思います。多くの仕事がAIに置き換えられていくでしょう。

私自身も設計をやっていました。設計はAIが大きく変えると言われている仕事の一つです。正直悔しいです。

だけど、自分が技術力だと思っていたことが、知識の量を使う活用能力のことだとすると、そんな仕事はあっという間にAIに置き換わっていく。それが現実です。

でもAIはときどき嘘をつく。AIに仕事を置き換えていったときに、人間はその嘘をどうやって見破るのか。技がなかったら、AIに振り回されるだけなんです。

仕事の仕方を変えていく、そのドライバーにあたるAIを、人間が意思を持って使えるようになるには、自分たちが技を磨くしかない。

そのために現場に行って、リアルを見て「自分の仕事が何につながっているのか」「自分の付加価値は何なのか」を考えていかなければいけないと思います。

第1回で申し上げたように、トヨタの使命は、産業報国だと思います。

(日本の)労働人口は増えない。これはもう変えようのない事実なんです。だから日本が成長を続けるためには、生産性を上げるしかないんです。

だからこそ、トヨタは日本の生産性を上げていくリーダーシップを取らなければいけない。そのために、みんなで行動していきましょう。

私たち一人ひとりが熱量を持って、自分の仕事の生産性を上げて、正味率を上げていくこと。それが「働こう」その言葉に込めた想いです。その思いが、3回の話し合いで共有できつつあるのではと思います。

一方で、この場にいる人たちだけではなく、全社で同じ想いにならなきゃいけない。正直、会社側も組合側も、現時点ではまだ、まだら模様だと思います。

回答まで1週間。

1週間をどう使うかだと思います。全体の熱量を、この1週間で上げていきましょう。それこそが、鬼頭委員長がおっしゃった一番大事な「チームワークをつくる」ということだと思います。

そういった取り組みを通じて、全社で熱量が上がっていくと信じて、鬼頭委員長が最後にお伝えくださった組合の想いをしっかり受け取って、来週回答を申し上げたいと思います。

ただその回答は、終わりではなくて、始まりです。

だからこそ、そこをスタート地点として、全員で行動していきたい。そう思います。

最後に佐藤社長は「その行動を引っ張っていく近さんに、最後にひと言いただいて、本日の労使協議を終わりにしたいと思います」と、近執行役員にマイクを託した。

4月1日付でフォーメーションチェンジを行うトヨタは、佐藤社長が副会長およびChief Industry Officerに、近執行役員が新社長・Chief Executive Officerに就任する。

トヨタのキャプテンマークを引き継ぐ近執行役員が、この日の話し合いを結んだ。

近執行役員

ありがとうございます。来週の回答前ではありますが、鬼頭さんが最初におっしゃった「1日でも早く、1台でも多く、良品廉価なもっといいクルマをお客様にお届けする」。

ここに我々は集中していかなければならないと改めて思います。

佐藤さんも今おっしゃったように、我々の仕事の多くのものは(AIに)置き換えられていくでしょう。

ですが、それに負けない「技を身に付けられる場」が、トヨタにはあると思います。

現場、TPS、販売店、いろいろあります。そこで、我々は(AIに)置き換わらない技を身に付けていける。私はそう思います。

ただ、そのためには、ここにいる幹部職、基幹職全員、皆さんの後ろにいる組合員の方全員が「やっていこう」と本当に思わないと(いけない)。現実から逃げずに(直視)しないと、本当に厳しいと思います。

それができる場がトヨタにはあると私は思います。やっていきましょう。

厳しいことをかなり言いましたが、厳しいときに、厳しい顔をしていても前には進めないので、笑顔で楽しく技を身に付けていければと思います。

頑張りましょう。

次回、3月18日の労使協で回答が言い渡される。

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