シェア: Facebook X

URLをコピーしました

AI時代だからこそ求められるのは人の「技」 全社一丸で覚悟を行動へ

2026.03.12

生産性向上へ、今足りないものは何か? 補うために必要な行動とは? AI時代に求められるのは、現場で磨かれる人の「技」だ。

トヨタらしいAI活用とは

先進技術支部では今、TPSの考え方とデジタル化を組み合わせた活動を進めているという。活動の中で、業務を細分化して、正味が低いところ、デジタル化するべきところを考え始め、自然と次はどこを改善しようかというマインドになった事例を紹介。「大事なことは、やみくもにデジタル化を推進するのではなく、まずは我々が大切にしてきたトヨタらしい考え方をベースに、どこにどうデジタルを活用するのが効果的なのか? そこをスタートとして考えた」と説明した。

続けて秋山副委員長が「想いを加えさせてください」と補足した。

秋山副委員長

労働組合執行部としても、このまま私たち一人ひとりが変わらなければ、雇用が守られなくなるんじゃないかという想いを持っています。

しかしながら、危機感だけで心揺さぶられるものというところがあるのかというと、そこはなかなか人間ですから、難しい部分があると思っています。

危機意識はもちろんですが、ホラーストーリーのようなことを語りたいわけではなく、前向きに明るく、こんなに楽しくなる、こんなにいい仕事ができる、こんなに技が磨けるという前向きな話を組合員同士、仲間でやっていきたいと思っています。

秋山副委員長の「前向き」という言葉に対して「前向きにAIを使っていく。本当にそうだと思います」と山本本部長も反応。

山本本部長

知識や何かを知っているだけという状態の人の価値はどんどん減ってきていると思います。

肩書に依存してしまっていたり、制度やルールで仕事をしてしまったり、こういう人たちではなく、これからは現場に行って、困っていることに寄り添う人が大事。

例えば情報が分断されていたり、断絶されているところをつなげてあげたり、小さな事実を拾い、人の心を動かす。こういうことが最後に人間としてやらなければいけないことだと思います。

先ほど東さんも言われた通り、まずは自分自身がスキルを磨くというのは、やはり現場に行かないとできないと思います。

トヨタという会社は現場のある会社。現場があるから人が育つ、現場があるから改善が進む、本当に素晴らしいことだと思います。

山本本部長が繰り返した「現場」。宮崎洋一 副社長も、改めて会社側に向かって現場に出ようと呼びかけた。

宮崎副社長

労使協2回目までの印象は、何となく皆さんと会社側の会話が、点と点のような感じがしていたんですけれど、今日は本当に機能を超えて、当事者意識をみんなが同じベースで持っている。これから先どうやっていかなきゃいけないか、本気で会話ができているように受け止めています。

だからこそ自分たち(会社)は、より正面から皆さんと向き合わないといけないという印象を持っています。

「自分たちも変わっていくんだ」という覚悟と同時に、会社側のメンバーも、自分も含めて変わっていかなければいけないと思っています。

管理の皆さんもそうですが「自分の仕事はおそらく現場のためになる、会社のためになる」と思って、みんな一生懸命やっていると思います。

でもそれが自分も含めて、本当の現場を見たことがないのに「役に立っているだろう。役に立っているはずだ」と思い込んでいて、そこでギャップが生まれている。

ですので、東さん、山本さんが言っていた通り、現場を知る時間や機会を増やそう。我々はついつい「指示」という形で伝えてしまっている。

我々が現場を知らないから間違ったことが分からないし、正しい指示ができていない。ややもすると、ずっと変えなきゃと思っていますけれども「7つのムダ」を指示してしまっている。それを変えるためにも、まずは自分たちが現場に出て、現場を知ることから始めて、皆さんとのコミュニケーションギャップを埋めていこう。

これが今日我々としての覚悟を持って皆さんと宣言していきたい、行動していきたいことだと思っています。

秋山副委員長は「宮崎さんから言っていただいた場に出て、文字面ではなく、リアルなものをちゃんと感じるということ。AIについても、AIに使われるのではなくて、使うための技能を身に付けていかなければいけないということもしっかりと組合員に伝えていきたい」と応じた。

近執行役員が問う覚悟

このほか、一人ひとりの柔軟な労務管理についてもテーマに。

秋山副委員長

一律で決めてきた働き方が、一人ひとりの意欲を削いでないか。組合執行部としても、一律で押し付けていた部分はなかったかという想いがあります。

労働組合としては当然、労務管理は心身の健康管理維持というのが大前提でありますが、そのうえで、健康というものが確保され、業務のやめかえが職場の中で伴う実態があれば、組合員の意欲や意志を尊重して、組合が後押しできるようなコミュニケーションに変えていきたいと考えています。

一方で、心身の管理が一番大事ですので、本当に困っている人の声を丁寧に吸い上げられる組織になっていくために、もっと正味率の高いコミュニケーションのあり方はないか見直していきたいと思っています。

もっと言えば、最終的にはいいクルマを1台でも多くつくるということに加え、せっかくトヨタで働くわけですから、やりがいを持って、お互いにとって豊かな時間になる働き方を、組合としての想いも持って、会社の皆さんと一緒に実現していきたいと思っています。

山本本部長は「今の話は本当に大きなチャレンジ」としつつ、会社側に「言葉尻だけを捉えて、それが変な職場運営になってはいけない」と釘を刺した。

「山本本部長が言った通りです」と続いた近執行役員は、さらに「会社と組合の皆さんに、もう一回確認をしたいことがあります」と問い掛けた。

近執行役員

先ほど東本部長がアドミのなかで、幹部職が率先をして外に出ていくという話をしました。

現場で技を磨かなければ、我々が技を磨ける場所はどこなんだ? それは奥の院じゃなくて現場ですよね。そういう想いで幹部職が外に出ている。そうしないと生き残れないということです。

ただ裏を返すと、それは残された職場はより少ない人数でやっていくということになるんです。その覚悟が本当に会社と組合にできているのか。もう一回再確認をした方が良いと思いました。

TPS、あとは主にマネジメントの主導による業務の改廃みたいなことが必ずセットでないと、山本本部長が言ったような、単なる労働時間の長期化や増加で終わらせてしまう。

職場に残されたメンバーもどうやって仕事の質を高めていくのか、私は「TPS」だと思います。

そういうことが正しく伝わっているのか、もう一回最後に確認をしたいと思いました。いかがでしょうか?

近執行役員の問いに応えたのは江下書記長。

「先ほど東さんから(幹部職が現場に出て技を磨く)お話があったときは、我々はまだそういう世界を、正直想像できていませんでした。今職場で一緒に働いている幹部職の皆さんがいなくなる。一緒に伴走していただいている方がいなくなる。そういう世界が来る。今、近さんに言っていただいて、我々は改めて、そうじゃないと生き残れないと感じました」

続けてこう覚悟を示した。

「TPSが我々の強みであり、みんなが持ってないといけない技で、AIとともに駆使して『自分たちで職場を運営していくんだ』『強くしていくんだ』という想いに切り替えてやっていかないといけない」

Facebook facebook X X(旧Twitter)

RECOMMEND