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2024.02.22
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「人も職場も一律ではない」 再び対面した労使 見えてきた課題

2024.02.22

5年後、10年後も働き続けられる職場へ。正面から労使向き合う形で開催された労使協議会。職場ごとに異なる課題が浮かび上がってきた。

2月21日、トヨタの2024年労使協議会(労使協)が始まった。リモートによる傍聴を含む約2,300名が参加した。

昨年の労使協の結果に基づき、労使懇談会や公募で集まったメンバーと役員との懇談会(計178回)などを通じ対話を実施。

その中で、いまだに多くの職場で負荷が高い状態が続き、多くのプロジェクトを動かすための十分な検討時間を確保できず、本来やるべきことをやりきれていない実態が浮かび上がってきた。

佐藤恒治社長は昨年末、従業員に向けて「来年はペースを落としてでも、『挑戦の余力づくり』と『足場固め』に本気で取り組む必要があると考えています。そこで、まずは来年前半、一時的に仕事量を減らすことで『踊り場』の期間を設けたいと思います」とレターを出した。

トップから「踊り場」というワードが発信されるのは2022年以来。コロナ禍と半導体不足による挽回生産と急減産で疲弊した職場の声を聞いた豊田章男社長(当時)は、次のように語っている。

「今の状況は、もはや“危機対応”。こうした実態を踏まえ、足元の生産計画を現実に即したものに見直すことを正式に決定し、4月から6月を『意志ある踊り場』として、安全・品質を最優先に、仕入先の皆様の状況を踏まえた基準となる計画をつくり、健全な職場環境を整えたい」

そして今、グループ会社での不正問題が相次ぎ、現場の負担を指摘する報道もある。再び設けられる踊り場をどう活かすのか。

トヨタイムズでは、今年も労使の議論をレポートする。

幸せの量産はマラソン

話し合いは、1月30日にあったグループビジョン説明会での豊田会長のスピーチ動画を視聴するところから始まった。

議長を務める河合満おやじが、「我々同士も原点に立ち返るという想いから、今日は労使で正面から向き合い 、多くの人に出ていただいて、お互いに真剣に話そうと、こういう形式にしました」というように、労使が対面して開催。

佐藤社長は冒頭にグループビジョンを流した理由を語った。

佐藤社長

豊田会長から、グループビジョンという旗印を示していただきました。

「次の道を発明しよう」

この言葉に込められた意味をみんなで考えて行動していきたいと思います。

“次”という言葉に込められた未来への想い、“発明”という言葉に込められた原点を大切にする気持ち。この言葉の意味を、分かったふりをせずに、一人ひとりが考えて行動していくことが大事だと思います。

それこそが、未来をみんなでつくっていくことにつながると考えています。

トヨタ労使の原点は「会社は従業員の幸せを願い、従業員は会社の繁栄を願う」。この労使共通の基盤である相互信頼です。改めて全員で確認したいと思います。

昨年末にお伝えした通り、今年は踊り場をつくって足場固めにしっかりと取り組んでいきたいと思っています。この決断にはいろいろな想いを込めています。

「幸せの量産」はマラソンです。足がけいれんして走り続けていては完走できません。

「踊り場をつくる」。この決断を実効性のある取り組みにしていくためにも、今年も本音の話し合いをさせていただきたいと思っています。

一方で、そう簡単に人は本音を話せるものではありません。会社が言ったことをやってくれる、話を本気で聞いてくれる、そして、行動してくれる。この積み重ねが信頼につながり、本音を話していただける関係になると思います。

その積み重ねを大切にしながら、今年の労使協議を進めていきたいと思います。

佐藤社長の言葉を受け組合の鬼頭圭介委員長。トヨタらしい働き方、さらには5年後、10年後も魅力あふれる産業であることを目指し、徹底的に議論していきたいと応えた。

鬼頭委員長

佐藤社長から本音で話し合っていこう、踊り場をつくって足場固めに徹底的に取り組もう、そして、トヨタ労使の原点は共通の基盤だというお話がありました。

まずは職場の最前線の実態に目を向け、アンドン * の紐を引いていただいたことに組合を代表して感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

*生産ラインにおいて異常を他者に伝えるための設備

本年も労使双方で大切に守ってきた共通の基盤を大切にしながら、私たちだからできる「核心から目をそらさない本音の議論」を徹底的にさせていただきます。

本年の組合要求、ならびに、お話ししたいと考えていることについて一言申し上げます。

昨年を振り返り、クルマをつくりたくてもつくれなかった状態から一転、1台でも多く、1日でも早く、もっといいクルマをお待ちいただいているお客様にお届けするために、それぞれの役割、立場で懸命に取り組んできた1年だったと思います。まさに、誰かの笑顔のために全力で頑張ってきたということだと思います。

これはトヨタのみならず、お支えいただいている仕入先、販売店も含めた全ての仲間に言えることだと思います。

本年の労使協においては、これまで労使で取り組んできたことを振り返った上で、そこから見えてきた本質的な課題からも目をそらすことなく、本当にこれがトヨタらしく、持続可能な働き方なのか、徹底的に議論させていただきたいと考えています。

自分たちだけではなく、仲間の実態にも目を向けた上で、働く場の魅力をいかに維持、向上していけるかについても、議論させていただきたいと考えています。

正解のない時代において、何をしたら解決できるのか、すぐに答えの出せるものばかりではないと思います。

組合としても、本音で会話できることを当たり前と思わず、感謝の気持ちをもって、現状を率直にお伝えをしていくことが何よりも大切だと認識しています。

本年の労使協が5年後、10年後を見据え、トヨタのみならず自動車産業が魅力にあふれ、「幸せの量産」につながっていくスタートの年となるような話をさせていただきたいと考えています。

この後、東崇徳 総務・人事本部長から、2019年以降、労使による家族の会話が見直されたこと、昨年の話し合いでテーマに上がった多様な人材の活躍に向けた取り組みや採用増によるリソーセスの確保が進んでいることが解説された。

忘れてはならない労使共通の基盤と、この1年の変化を共有した労使。ここから議論が本格的に始まった。

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