次期モデルのあるべき姿とカーボンニュートラルへの選択肢を増やすため、スーパー耐久シリーズに参戦するGR86。今シーズンの戦いで見えたその理想形とは?
レースから既販車に広げるカーボンニュートラル
最終戦では、レクサスGRエンジニアリング部の三好達也主幹がカーボンニュートラル燃料についての総括も行った。
三好主幹
レースのカーボンニュートラルだけではなく、既販車にも、そのまま使えることを「ドロップイン」と表現をしていますが、ドロップインなカーボンニュートラルの選択肢拡大に取り組んでいます。
検討段階では欧州レース向けの燃料を使っていました。これを今年のレースが始まる前に、国内向けのJIS規格を狙った燃料に替えて、この1年間使用してきました。
希釈に課題がありましたが、エンジンユニットでの燃料の使い方を改善して、信頼性、抑えていた出力について改善できた状態です。
また、既販車に課題を残したままにはできないので、一緒に走っているSUBARUとノウハウを開示しながら、燃料メーカーに燃料性状の提案を行っています。
また、コストは取り組めていませんでしたが、既販車にそのまま使えるよう、出力と燃費のトレードオフも含めて、しっかりと検討していきたいと思います。
「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」の最前線となった2022年のS耐全体の総括として、豊田章男チームオーナーは、チームにこのように語った。
豊田チームオーナー
ここにいる全ての方々、「もっといいクルマづくり」に参加してくれた人たち、仕入先、全ての人にまず、「おめでとうございます」そして「ありがとうございます」とお伝えしたいと思います。
意志ある行動で戦ってきたクルマ、ドライバー、メカニック、エンジニア、それぞれが、去年よりも一歩、二歩、努力し続けることで、また我々の未来がより近づいた2022年になったと思います。
これだけみんなが一つの目標に向けて、意志をもってやっていくと、とんでもない力を発揮できるということに、実感、共感いただいたと思います。
この共感の輪を是非とも2023年にも続けていきたいと思います。
本当にありがとうございました。
この最終戦のタイミングで、ROOKIE Racingの2023 年の体制発表があり、32号車の水素カローラとカーボンニュートラル燃料で走る28号車のGR86が継続して参戦することとなった。
あわせて、この2台に加え、「AMG GT3」でST-Xクラスに参戦することも発表されている。
2023年シーズンのS耐は、2月23日に富士スピードウェイで行われる公式テストの後、3月18~19日に鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)での開幕を予定している。