次期モデルのあるべき姿とカーボンニュートラルへの選択肢を増やすため、スーパー耐久シリーズに参戦するGR86。今シーズンの戦いで見えたその理想形とは?
良い競争により進歩する技術
このGR86の開発には、「ライバルとしてのSUBARUの存在が不可欠だった」とトヨタのメンバーは口をそろえる。SUBARUの藤貫哲郎CTO(最高技術責任者)も第6戦が行われた岡山国際サーキット(岡山県美作市)で同じ想いを口にしている。
藤貫CTO
本当にすごい勢いで86もBRZも進化していきました。良い競争をすると技術って進歩するんだなと実感しました。
佐藤プレジデントはライバルたちと競争した1年をこのように総括した。
佐藤プレジデント
S耐でメーカー各社がしのぎを削りながら、自分たちの技術をしっかり持ち込んで、競争して技術力を高めるスキームが本格的に機能し始めた1年だったと思います。
人材育成やクルマの進化の上でも、メーカーごとの味をよりクリアにする意味でも、すごく意味のあることだと感じています。
SUBARUとのガチンコ勝負は純粋に楽しく、「競う相手がいるから負けない」というのは人間の原点にある想いだと感じました。
うちのエンジニアも本当に成長できたし、SUBARUの若手が目を輝かせていろんなアイデアを入れこんでくる。
1年を通してこのような戦いができて、日本の自動車産業や会社それぞれが(モノづくりの)エネルギーを蓄えていく重要な何かにつながったと思っています。
佐藤プレジデントは、まだ、ST-Qに参加していないホンダや日産にもラブコールを送っていく考えだという。
最終戦で車両をアップグレード(MAZDA2→MAZDA3)してきたマツダに対しても、「早くタイムを上げて、来年は水素カローラとガチンコ勝負をしてほしい」と自動車業界全体での盛り上げに期待を膨らませる。
忘れてはいけないのは、ST-Qクラスに参戦するこのGR86、SUBARU BRZ、MAZDA3はカーボンニュートラル燃料でレースをしているという点だ。