まったく新しいスタイリングをまとって登場した新しいセンチュリー。開発責任者およびチーフデザイナーに、クルマづくりにまつわるインサイドストーリーを聞いた。
現代のVIPがショーファーカーに求めるもの…
そんな2人がチームとともにまず取り組んだのは、車両コンセプトの策定だった。
現代のVIP、特に若いリーダーたちはショーファーカーに何を求めているのか?田中たちは市場の動向を分析するだけではなく、実際にVIPへのインタビューも重ね、これからの時代に求められるショーファーカーの姿を徹底的に研究したという。
田中
次世代を担うVIPやグローバルに活躍されている方のなかには、移動中に会議をなさる方もいらっしゃいますし、次のビジネスに備えてゆっくり休みたいという方もいらっしゃいます。
豊田会長をはじめ、昨今の経営者の方が、アルファードをショーファーカーとして利用されているのは、まさにそうした時代の流れでしょう。
そこで、センチュリーというショーファーカーを進化させるにあたり、ゆとりがあり、機能的な後席空間、つまりスペースと機能という新たな価値が必須だと考えました。
一方で、センチュリーである以上、品格が漂う佇まいも大事です。いわゆるミニバンタイプではなく、ボンネットフードを備えたオーセンティックなスタイルです。
実際、インタビューさせていただいたVIPのなかには、普段の移動はアルファードだけれど、本当にオフィシャルな場所に行く際にはクルマを乗り換えるという方もいらっしゃいました。
園田
田中が話した通り、スペースという新たな価値観が、多様化するショーファーユースに存在しています。スペースがありながらもセンチュリーらしい凛とした佇まいや風格をどう表現するか?チームで模索していきました。
そこで、外形デザインでは「威風凜然」というキーワードにたどり着きました。
凛々しく威厳のある様子。威厳に満ち溢れ、かつ勇ましく引き締まっている様子。歴代センチュリーが大切にしてきた品格や品位に、威厳に満ちた風格を備えたショーファーカーの新しいカタチです。
一方、内装は「くつろぎと利便性の贅沢なシンプル」がテーマです。後席のゆとりを最優先し、シンプルでありながらもくつろげるスペースと機能性を兼ね備えた空間です。
例えば、前席のインパネやタワーコンソールは、後席からの眺めを最優先にデザインしています。操作系スイッチも後席から見えない低い位置に集約しました。
全体としては水平垂直基調がベースで広々と落ち着きのある空間、これ見よがしでないシンプルな表現ながらも贅沢な空間を目指しました。