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未来をつくる、仲間づくりの場 ジャパンモビリティショービズウィーク2024

2024.11.01

昨年開催されたジャパンモビリティショーの流れを継承し、初めて開催された4日間のビジネスイベント。「事業共創の推進」に向け、モビリティ産業と次世代を担うスタートアップ企業が交流を図った。

1015日(火)から1018日(金)の4日間、千葉県の幕張メッセにて『ジャパンモビリティショービズウィーク2024』(以下、JMS2024)が開催された。

さかのぼること1年、自動車産業のみならず、多様なモビリティ関連企業が一堂に会し「未来の日本」を創造する場として、東京モーターショーから名称・コンセプトを一新し、『ジャパンモビリティショー2023』が開催された。

『モーターショー』から『モビリティショー』へ。変革の象徴として、スタートアップの資金調達・商談機会・PRを支援する『Startup Future Factory』を開催。モビリティ関連企業に加え、次世代を担うスタートアップも含めた「業界を越えた仲間づくり」に向け、大きな一歩を踏み出した。

この初めての試みについて、当時、日本自動車工業会(自工会)の会長だった豊田章男会長は、ジャパンモビリティショーの最終日に行われた大反省会』と銘打ったトークセッションの中で、「(共創・仲間づくりの場は)毎年やった方がいい。継続することが力になる」「1+12ではなく、34になる物語が生まれる可能性を感じた。いいサイクルが回ってくると日本にも未来を感じられる」と、「共創」「仲間づくり」が生み出す未来への期待を示した。

その想いを受け継ぎ、過去の『モーターショー』であれば休催年となった今年も「共創」を生み出すビジネスイベントとして『JMS2024』を開催。「持続可能な未来づくり」という共通の目標に向かって「未来をつくる、仲間づくりの場」として、モビリティ産業と次世代を担うスタートアップ企業が交流を図った。

夢のあるモビリティ社会に向け「共創」を

初日には、自工会 片山正則会長(いすゞ)よる開催スピーチで、JMS2024にかける想いが語られた。

片山会長(いすゞ)

社会課題の解決や新しい価値の創造を通じ、「豊かで夢のあるモビリティ社会をつくりたい」という想いのもと、自動車が、これまでの単なる移動にとどまらず、社会に貢献する資産として活かされ、新たな機会と体験を創出する「モビリティ産業」へと進化させたいと考えております。

(中略)

今回イベントでは、モビリティの価値や体験を拡張させる多くのポテンシャルをお持ちのスタートアップ企業の皆様とも一緒に、生活者を中心に据えた「豊かで夢のあるモビリティ社会」を「共創」していきたいと考えています。

ジャパンモビリティショービズウィーク2024が、次世代を担うスタートアップの皆さまや、これまで接点がなかったさまざまな産業の皆さまとともに、未来に向けた事業共創の重要性と、その可能性について共有する場となり、新たな発想が生み出されるきっかけになることを願っております。

片山会長の開催スピーチを皮切りに、会期中には毎日「未来モビリティ会議」を開催。「豊かで夢のあるモビリティ社会」の構築に向け、モビリティ産業が直面する社会課題の解決や多様化するニーズへ対応するための「共創」の重要性について、業界の枠を越えた有識者がディスカッションし、多くの来場者が耳を傾けた。

未来につながる「共創」の芽

ブース出展エリアには、スタートアップ企業145社、事業会社や日本自動車部品工業会会員、自工会会員の58社が出展。モビリティ産業の課題解決に貢献する技術・サービスが展示され、来場した多くのビジネスマンで連日賑わいが絶えないエリアとなった。

トヨタからは、マルチパスウェイで日本のエネルギー問題に貢献するため「蓄電池のエネルギーマネジメント」「水素の活用」をテーマに、スタートアップや他企業との共創を進めるべく、車両・技術展示を実施した。

エナジーソリューション事業部 田中正史 GM

スタートアップの事業者様と会話をさせていただく中で、各社様のモビリティへの関心の高さ、熱量、テクノロジーの独自追求を様々な分野で感じることができました。

また、私たちも製品だけなく、バリューチェーンを俯瞰した新しい価値創出を考える良いきっかけになったと思っています。

今回、提案のあった事業者様とのミートアップが、具体的な商談まで結びつくかは分かりませんが、今回を機に、「仲間づくり」と「共創」を進めていきたいと考えおります。

トヨタ独自の電池制御技術「スイープ技術*」を使った、大容量スイープ蓄電システムを表現したジオラマを展示 *直列に繋いだ各電池の通電と非通電をマイクロ秒の速さで切り替えることで、各電池からの充電・放電を直流・交流で任意に制御する技術

水素製品開発部 中村匡 GM

今回のJMSでは、自動車メーカーの出展もたくさんありましたが、いずれも「自動車の技術を応用して生み出されたもの」だと思いました。スタートアップの事業者様からのご意見を聞くと、さまざまなニーズがあり自動車の技術は、意外といろんなところに役に立つんだな、と思いました。

逆に、スタートアップ事業者様の技術やノウハウは「自動車開発では全く触れてきていない分野」もあり、水素カートリッジのような新しい製品の開発方向性を定めていく上で、今回いろいろな事業者様とご縁をいただき共創を進めていけることは、今後の展開に向けて大きな一歩になったと感じています。

水素を持ち運びできる「ポータブル水素カートリッジ」を展示
会場の外では、リンナイ株式会社と共同開発した「水素調理器」も展示。水素を燃焼させ調理用途に使用する取り組みを紹介した

今回のイベントでは、「ビジネスマッチングプログラム」も実施し、事業共創の後押しを図った。企業同士のコミュニケーションをサポートするべく、JMS2024を機に立ち上げたコミュニケーションツール「Meet-up Box」へ登録された取り組み件数は1,896件にも上り、内848件のビジネスマッチングが成立した。今後も、モビリティ産業に関わる国内最大の「マッチングプラットフォーム」を目標とし、会期終了後も継続してモビリティ産業と共に歩む仲間の新規登録を受け付け、「共創」の芽を育むプラットフォームとして成長をさせていく。

参加したスタートアップも、自工会のインタビューに対して「このような場で横のつながりができ、協力し合えるようになると、産業としてもっとレベルアップできると感じました」「大手企業の皆様からも、スタートアップと一緒に新しいことをしたいというモチベーションを感じました。我々は小さなスタートアップですが、一緒に手を取り合って新しいものをつくっていくことができれば、すごくワクワクしますし、そうした未来に期待が高まりました」と答え、JMSから生まれる「共創」に期待を寄せた。

このエネルギーを来年に

イベント最終日には、自工会会長・副会長の3名で、JMS2024を総括した。

片山会長(いすゞ)

今回のイベントは、モビリティ社会を創り上げていこうとの想いで、初めて始めました。今からつくり上げていくわけで、今までの自動車産業だけではつくれないようないろいろな新しい技術や新しい知恵を一緒につくり上げて、初めてモビリティ社会ができると考えており、こういった活動が極めて大事だと思います。

内田副会長(日産)

今日来て非常に驚いたのは、これだけの方に会場にいらしていただいていること。次世代にどうつないでいくかという点に関して本当に心強く感じました。若い世代も多く(来場されて)いますし、これからの日本の力を感じられました。是非これを将来に我々業界としてどうつないでいけるか、ひいては日本の競争力にどうつながっていくかをこれからも進めていきたいと思いますし、今日来て勇気付けられました。

佐藤副会長(トヨタ)

(日本最大のITと家電の展示会)CEATECとの併催によって、新しい接点作りが進んでいるという印象を持ちました。モビリティとして発展していくときに新たな視点や、新たなパートナーのきっかけ作りができていて、多様で広範囲に、今までの我々のスコープにないところにいろいろな接点ができつつある、そんな期待を感じました。

来年のモビリティショーに向けて育てていく場づくり、きっかけはできたと思いますが、来年に向けて活動をつなげて出口を見つけるのが課題なのかなと感じています。(JMS2024が)盛り上がっているだけにこのエネルギーを来年にちゃんとつなげていきたいです。

来年のモビリティショーに向け、収穫と気づきを得て、4日間の『ジャパンモビリティショー2024』は閉幕した。

『ジャパンモビリティショー2025』は20251030日(木)から119日(日)まで、東京ビッグサイト(江東区・有明)で、『ワクワクする未来を、探しにいこう!』をコンセプトに開催される。

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