豊田章男が私財を投じたウーブン・バイ・トヨタをトヨタが完全子会社にすると発表した。その狙いは? なぜ、豊田は株を手放したのか?
トヨタ自動車は9月27日、ウーブン・シティや車載ソフトウェアの開発を手掛けるウーブン・バイ・トヨタ(WbyT)を完全子会社化すると発表した。
トヨタは既にWbyT株の95%を保有しており、残りの5%を10月中に買い取る予定だという。
実は、この5%を持つ株主は、豊田章男である。
なぜ、トヨタはWbyTを完全子会社にするのか? 豊田が株を手放すことにした理由は? そもそも、どうして個人で株を持っていたのか?
今回のニュースで、読者が持っているであろう疑問に答えたい。
なぜトヨタはWbyTを完全子会社にするのか?
1つ目の疑問、トヨタがWbyTを完全子会社にする理由について、トヨタのプレスリリースにはこう書かれている。
「社会システムやクルマへのソフトウェアの実装を加速していくにあたって、両社の関係強化を図るため」
背景には、Arene
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の実用化が2025年から始まっていくことがある。
*モビリティソフトウェアの開発と活用を向上させるプラットフォーム、車載OS
ターゲットが近づくにつれ、Areneが載るトヨタ側の商品のスペックも明確になり、開発も「先行」から「実装」へのフェーズへと移行。
早期にクルマへのソフトウェア実装を目指すトヨタと、顧客に寄り添った開発が必要というWbyTの想いが一致し、WbyTの自主開発を、トヨタから委託を受けて開発する体制へと切り替えた。
平たく言うと、WbyTが自己資金や借入金を使って独自に開発を進めていた体制から、トヨタから具体的な仕事の依頼を受けて、開発を進める体制になったということである。
こうした連携の動きは既に始まっており、今年4月には社名をウーブン・プラネット・ホールディングスからウーブン・バイ・トヨタへと変更。トヨタから新役員を受け入れ、体制を強化した。
9月上旬には、トヨタ、WbyT、そして、ソフトウェアの実装に強みを持つデンソーの3社で連携を強めることを発表。
デンソーやJ-QuAD DYNAMICS
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で他社との協業を進めてきた隈部肇氏がWbyTのCEOに就任した。
*自動運転のソフトウェア開発を手掛ける。トヨタグループのデンソー、アイシン、アドヴィックス、ジェイテクトの合弁会社として2019年4月に設立
一方トヨタでは、ソフトウェアに関する事業・開発を一体で推進するため、「デジタルソフト開発センター」を立ち上げ。副センター長にデンソーの加藤良文Chief Technology Officerを迎え入れることを発表していた。