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電動化など変化の時代、「トヨタと販売店の関係」は今後どうなる?

2023.03.17

全国の販売店代表者が集結した会場。そこでトヨタが語った内容を、包み隠さず公開する。

絶対に守りたい。そう思ったものとは

佐藤次期社長

3年前、コロナ危機の中で、私は普段お世話になっている販売店を訪ね、こんな話を伺いました。

セールスコンサルタントの方が、コロナ禍でお困りのことはないだろうかとお客様に連絡を取ると、「お前はこんな時でもクルマを売りたいのか!」と厳しい言葉をかけられてしまう。

そしてこう語ってくれました。「自分はクルマを売ることが好きでこの世界に入ったので、今はクルマを売ることもできなくて、とにかくつらい」その悲痛な叫びを聞き、胸が痛くなりました。同時に、クルマの販売に人生をかけてくれている仲間がいること。そのありがたさを痛感いたしました。

販売店もメーカーもなく「全員がトヨタ」であり、この強い絆を絶対に守りたいと思いました。この絆があるからこそ一緒につくれる未来がある。私はそう信じています。

これから私たちは、正解のない時代に「モビリティ・カンパニー」への変革を目指してまいります。「クルマがある未来を楽しく、豊かにしたい」。その一心で、皆様と一緒に挑戦する中で、きっと見えてくるものがあると思っています。

新体制メンバーの全員で、全力で、取り組んでまいりますので、皆様からの温かいご指導とご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。本日は、ありがとうございました。

この後、販売店トップたちが見守るなかで、新経営チームでのトークセッションへ。そこで佐藤次期社長から“ある宣言”がなされた。その内容とは…。

「直販」の可能性はあるのか

トークセッションの登壇者は、佐藤次期社長、中嶋裕樹次期副社長、宮崎洋一次期副社長、国内販売事業本部の赤尾克己副本部長に、進行の富川悠太キャスターを加えた計5名。

そのトーク中、特に会場の反応が大きかったシーンがある。

一部の海外メーカーのように「メーカーのWeb直販の可能性はあるか?」という直球の質問。これに対し、佐藤次期社長は「絶対にない」と即答した場面だ。その理由をこう語る。

佐藤次期社長

断言します。少なくともトヨタ・レクサスでは絶対にないです。

例えば最近、知人が「プリウスを買いたい」と言ってくれて、なぜプリウスなのかというと、クルマの魅力もあるんですけど、販売店の方々とのコミュニケーションに心を打たれてプリウスを買おうと思った、と。

その人はそれほどクルマ好きでもないんですけど、今、毎晩プリウスのカタログを肴に晩酌しているって言うんですよ。

クルマに関心がなかった方を、そんな素敵な気持ちにさせるなんて(トヨタの)直販でできるわけがないですよ。

我々がお客様にお届けしている価値は、単なるモノの価値ではなく、そういう心と心の関係、心が動くようなサービスだというのを、僕はすごく実感しまして、そういう販売店の皆様と我々が一緒に頑張っている限り、この価値は我々のアドバンテージだと思います。

新しい経営陣が目指す「チーム経営」。トヨタと堅い絆があり、日本中でお客様と向き合う販売店のメンバーもチームの一員であると伝えているようだった。まさに、冒頭で豊田社長が語った「心と心の結びつき」を感じさせる印象的なシーンである。

また、佐藤次期社長はこうも語った。

佐藤次期社長

電動化でビジネスモデルもどんどん変わる。クルマをつくって売るというシンプルな構造だけではなくなっていく。

もう少しビジネスエリアを広げていきながら、お互いに新しいところに挑戦していかないといけない。そうなったときに、これまでの絆を失うことなく、同じ価値観のもとで一緒にやっていけるかどうか。まさに進化のための挑戦を、ぜひとも一緒にやらせていただきたい。

そして最後に、中嶋次期副社長が手を挙げる。販売店トップの方々にどうしても伝えたいことがあるという。

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