全国の販売店代表者が集結した会場。そこでトヨタが語った内容を、包み隠さず公開する。
突然「会って話がしたい」と連絡が…
佐藤次期社長
皆様、こんにちは。佐藤恒治です。豊田社長の想いを受け継ぎ、4月から新体制のキャプテンとして社長を務めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
「お客様が笑顔になるもっといいクルマをつくりたい」。これが、豊田社長のもとでクルマづくりをしてきた私たちの想いです。私自身、エンジニアとして、そしてレクサスとGRのプレジデントとして「素性が良く、操って楽しいクルマをつくりたい」。その一心で取り組んでまいりました。
私はクルマをつくることが大好きです。新しいものをつくる挑戦は、数多くの失敗を伴います。それでも意志と情熱で失敗を乗り越えた先に、いいものが生まれて、お客様に喜んでいただける。それが何よりも大きなやりがいです。新体制でもこのような想いをもって、もっといいクルマづくりに挑戦し続けてまいります。
そしてこれまでも、これからも、トヨタのクルマづくりにおける大切な基盤は、お客様のことを誰よりも深く知る販売店の皆様と、私たちメーカーとの「両輪」の関係だと思います。この両輪のあるべき姿を私に教えてくれた方がいます。
ト販協の金子理事長です。昨年9月、突然、金子さんから「会って話がしたい」とご連絡をいただいたことがありました。
お会いすると、開口一番「これからのレクサスをどう考えているか聞かせてほしい」と厳しく切り出されました。当時、ト販協のレクサス委員会が廃止になるという噂が背景にあったようです。
金子さんらしく、初球から剛速球でした。私は誤解を解いたうえで、レクサスへの想いをお話しし、レクサスはチャネルではなくブランド。販売店の皆様にもその意味をもっともっと考えていただきたい。
そんな想いもお伝えしたところ、「佐藤さんの想いは受け取った」「一緒にやろう」と言っていただきました。こうした本音のキャッチボールができたのは、金子さんが率直に、不安や疑問を私にぶつけてくれたからでした。私はそれを本当に嬉しく思いました。
こうした本音で話せる関係を皆様と一緒に、築いてまいりたいと思っています。
ここからは、佐藤次期社長と新チームが考える、電動化戦略について。
佐藤次期社長
新体制では「継承と進化」をテーマに豊田社長が築いてきた「商品と地域を軸にした経営」をさらに前に進め、モビリティ・カンパニーへのフルモデルチェンジに取り組んでまいります。
その進化に向けて、クルマづくりの重点3テーマとして「電動化」「知能化」「多様化」に取り組んでまいります。
電動化については、クリーンエネルギーが少ない日本では、CO2削減に貢献する多様な選択肢が必要です。エネルギーやインフラ整備の状況を見ながら、マルチパスウェイという軸をブラさずに、日本らしい、プラクティカルな電動化を進めてまいります。
そのうえで、将来の「普及期」を見据えた次世代BEV(電気自動車)の開発も加速してまいります。BEVならではの付加価値を実現するために、レクサスがリード役となって取り組み、その成果をトヨタ全体に広げてまいります。
誰ひとり取り残さず、幸せを量産するのがトヨタの使命です。多くのお客様にアフォーダブルな選択肢をお届けできるよう、クルマづくりの変革に挑戦してまいります。
電動化の進展を見据えると収益構造の改革も必要になってまいります。保有に着目してクルマのもつ体験価値を高め、新しい事業の柱に育てることが求められてまいります。
新車購入後も、ハードやソフトでクルマをアップデートしたり、パーソナライズのニーズにお応えし、新しいサービスでクルマのもつ魅力を高めていくことが重要です。そういった事業モデルへの変革をともに加速してまいりたいと思います。
最後に、私が心に刻んでいる販売店でのエピソードをご紹介いたします。