電動化など変化の時代、「トヨタと販売店の関係」は今後どうなる?

2023.03.17

全国の販売店代表者が集結した会場。そこでトヨタが語った内容を、包み隠さず公開する。

忖度もタブーもいらない

この動画が流された後、豊田社長が再登壇。豊田章一郎名誉会長と青森トヨタの“あるストーリー”が紹介される。

豊田社長 

守川さん、ありがとうございました。「人もうらやむ関係」。そこには、忖度もタブーもありません。あるのは「お客様のため、社員のため、自分以外の誰かのために立つ」。その信念です。

私たちトヨタの最大の強みは「メーカーと販売店の強い絆」だと思っております。

トヨタ自販の最後の社長であり、工販合併したトヨタ自動車の最初の社長でもある豊田章一郎名誉会長は、何よりも、その絆を大切にしてまいりました。

「喜一郎も、クルマは、つくるより売る方が難しいと言っていた」。それが名誉会長の口癖でした。そして「現地現物」の精神で、全国の販売現場に足しげく通い、そのときは必ずサービス工場から入ったそうです。

創業のころからお世話になった代表者の方々との交流も深く、よく青森トヨタの小野ヒコノジョウ(漢字は下記画像参照)さんの話をされていました。

22歳の若さでシボレー販売店を経営しておられた小野さんは、(トヨタ自動車販売の初代社長である)神谷正太郎さんの呼びかけに応じ、昭和12年(1937年)、トヨタ車専売の販売店を設立されました。トヨタ販売店の多くが、本当の販売店経営を経験していなかった時代、神谷さんから依頼で全国を飛び回り、各社の指導にあたってくださったそうです。

名誉会長は「青森の小野さん」ではなく、「日本のトヨタの小野さん」と言って、本当に感謝し、尊敬されていました。

また、当時の代表者会議ではこう語っています。「メーカーとディーラーの契約には、それぞれに権利と義務がある。しかしそれ以前に、心と心の結びつきがなければ、お互いに相手の立場を理解することはできないと思う」。

こうした関係を、私たちもしっかりと受け継いでまいりたいと思います。

最後になりましたが、皆様ご承知のとおり、1月末にトップ交代を発表いたしました。この決断をいたしましたのは「バトンタッチの土台はつくれた」そう思えたからであります。こちらの映像をご覧ください。

私が社長に就任したとき「トヨタは、いつからお金をつくる会社になったんだ」と言われました。その悔しさから始まった「もっといいクルマづくり」。最初は孤独な闘いでした。

でも今は違います。私には、ともに闘ってくださる販売店の皆様がいます。ト販協の金子理事長は、メーカー、販売店の区別なく、業務改善をはじめ、良いと思うことは何でも積極的に取り入れてこられました。

座右の銘は、「まず隗(かい)より始めよ」。

「大事業をするには、身近なことから始めなさい」「挑戦する時は、まず言いだした人が動きなさい」という意味だそうです。まさに未来に向けて、挑戦する時代にふさわしいリーダーだと思います。

そして私には、バトンを渡せる仲間がいます。いま、私は胸を張って言えます。私たちはクルマ屋です。佐藤次期社長をキャプテンとする新しい経営チームは、「お客様を笑顔にするクルマをつくりたい」。本気でそう思っております。

そして「もっといいクルマは、乗る人、お客様を知る販売店の皆様がいなければつくれない」ということを知っています。

金子理事長をはじめとする販売店の皆様と一緒に、彼ら彼女らがどんなクルマをつくるのか、そして、どんなモビリティ社会を提案するのか。私は楽しみにしております。

これからモビリティ・カンパニーを目指し、次世代のクルマ屋たちが、たくさん挑戦し、たくさん失敗すると思います。どうかその挑戦を長い目で見ていただき、私以上のご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

ここからは佐藤次期社長が登壇。ト販協の理事長から呼び出された裏話が語られる。一体何があったのか。

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