自工会 豊田章男会長が辞意表明から続投へ。そこに至るまでの経緯が明らかに。その内容をお伝えする。
2023年3月23日、オンラインで日本自動車工業会(自工会)の記者会見が開かれた。
自工会 豊田章男会長は、トヨタ自動車の社長交代発表に合わせ、1月末に自工会会長の辞意を表明していたという。しかし慰留を受けて続投の意志を固めることに。その詳細とは。
また記者からの質疑応答では、5月のG7広島サミット(主要国首脳会議)や、今秋のジャパンモビリティショーについても言及があった。
明かされた経緯と、語られた覚悟
登壇者は豊田会長をはじめとする全7人の正副会長。さらに、新年度より副会長に就任予定のトヨタの佐藤恒治次期社長も同席。
冒頭、片山正則副会長がこう切り出した。
片山正則副会長(いすゞ)
これまでの日本自動車工業会の運営は、豊田会長にリーダーシップを取っていただく形で進めてまいりました。
新年度となる4月1日からは、自工会の進化をさらに加速させ、真に持続的な成長を可能とする体制の構築を目指し、すべての課題に対して正副会長がチームとなり運営していく体制へ強化することといたしました。
大型から軽自動車、そして、二輪も含む“フルラインアップ”の自動車業界を会長と副会長がワンチームで引っ張る新体制へ。今後の運営改革についてこう続ける。
片山副会長
本年1月に豊田会長が会長職の辞意を表明されて以降、大きく2つの課題について、理事全員で議論を重ねてまいりました。
1つ目の課題は「豊田会長の辞意に伴う後継の問題」です。そして2つ目は、今回の豊田会長の辞意表明から見えてまいりました「自工会運営の問題点とその対策」についてでございます。
豊田会長の辞意に関しましては、非常に早い段階で「慰留」をお願いすることで、全理事の総意が確認できました。
少し詳しくお話させていただくと、本年1月末(1/26)の自工会 正副会長会議の席上で、豊田会長より自工会会長の辞意表明がなされました。
会長の退席後に、全副会長で対応策の協議を行い「自動車産業を取り巻く環境が急速に変化する中、強い危機感のもと、これまで様々な改革をリードしてこられた豊田会長には、(2024年5月の)任期満了まで引き続きお力をお借りしたい」という意見で一致し、全副会長の総意として、慰留をお願いすべきとの結論に至りました。
一方で、「その様な環境認識を一番に分かっておられる会長の辞意表明」に対しまして、慰留をお願いする以上、我々副会長が、自工会の運営に対して今まで以上の覚悟を持ち、一丸となった運営体制が必要との結論にも至りました。これが2つ目の課題でもある「自工会運営改革」につながったと考えております。
そして問題の重要性を鑑み、全理事の意見の確認が必要と考え、2月初めに緊急理事ミーティングを開催いたしました。緊急でのミーティング開催であったにも関わらず、驚くことに面着(対面)ですべての理事の参加となりまして、豊田会長の辞意に対しては全理事一致で「慰留」をお願いしたい、と。
それから、今後も自工会が持続的に進化するためには、正副会長が一丸となった体制で運営が必要だという認識で一致いたしました。
以降、副会長が中心となり「自工会運営改革」に関しての精力的な話し合いを進めました。そして昨日、豊田会長に「会長続投のお願い」「自工会運営改革の方針」の2点に関しまして、全副会長が出席のもと正式に報告を行い、結果、豊田会長より留任の承諾をいただきました。
自工会運営改革に関しましては、今後の課題について正副会長で議論を深め、重点テーマは副会長が担当としてリードするなど、正副会長が一丸となり、チームで課題に取り組む体制へと強化してまいります。
そして会長には、自動車産業550万人全体を支える立場に専念いただき、またトヨタ個社の立場といたしましては、新たに佐藤新社長に参画いただき、会長を支える副会長の一人としてともに取り組んでいただきたいと考えております。
今後は、副会長を中心にオーナーシップを発揮する形での課題への取り組みを進め、自工会一丸となって日本の自動車産業の発展に貢献していく所存です。
本日の理事会において、経緯とともに結果を報告いたしまして、全理事より賛同をいただきました。
結果、豊田会長には続投を受諾いただいた形とはなりますが、全理事の気持ちといたしましては「自工会運営改革の開始にあたり、『想いと経験』をお持ちの豊田会長に新たに1年に限り改革の舵取りをお願いする」というものであります。
この1年間で全理事を挙げて、持続可能な「進化する自工会」づくりにまい進する覚悟でございます。