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実証実験の現場に迫る!「e-Palette」の現在地とは?(後編) 

2024.08.01

モビリティ・カンパニーへの変革の象徴でもある「e-Palette」。社会実装に向け、トヨタ自動車九州 宮田工場で行われていたこととは?

たった5分でシャトルバスから売店に!?

では、「コト流」についてはどうか?その一つが移動式工具校正だ。

移動式工具校正を行う際にはe-Palette内部に大きな作業台が設置される

クルマの組付工程では各部品をボルトとナットで締め付けるのだが、どれくらいの強さで締め付けるか設計値が定められている。

設計値通りに締め付けるためにトルクレンチという計測ツールを用いるのだが、トルクレンチ自体が正確か定期的に確認する必要がある。これが工具校正だ。

金丸主幹

トルクレンチの校正は監査課の仕事なのですが、通常は担当者が各工場に出向いて回収し、トルクレンチが使用されない土日を利用して校正作業を進め、工場に送り届けます。

移動式工具校正ではe-Paletteに校正のための機器を搭載して工場に赴き、昼休みの時間を利用して校正作業を行う。いわば、トルクレンチ校正のオンデマンド化です。

人が立って作業できる広い空間やエアコンでの温度管理、電源などの装備が整っているe-Paletteだからこそ可能なサービスです。

これにより休日出勤の削減など業務余力の創出を目指しました。

「コト流」の実証実験として行われた移動販売

同じく「コト流」の実証実験として取り組んでいるのが移動販売だ。広大な宮田工場だが、食堂は3カ所のみ。食堂から最も遠い職場からは歩いてアクセスするのが難しい。

そこで食堂や売店から離れたエリアにe-Paletteで赴き、弁当やドリンクなどを販売することで、食事事情の問題を解決するのが狙いだという。

金丸主幹

実は移動販売は、移動校正と同様、マルチタスクの成立性を検証することが目的でもあります。つまり、時間帯によって車内の仕様を変更することでe-Paletteをさまざまな用途に活かそうというものです。

e-Paletteは移動販売の際には商品を陳列する棚什器やレジを設置しますが、移動販売後は人流用に戻してオンデマンドバスや出退勤シャトルとして走ります。

移動式工具校正の際には大きな作業台を設置します。これはデスクにもなるので、移動オフィスとしての役割も果たすこともできます。

人流時のe-Palette車内
大きな作業台が設置された移動式工具校正時の車内

MaaSプロジェクト室ではe-Paletteの仕様変更のための什器を内製。2人のスタッフが5分以内で換装ができる見通しが立ち、マルチタスクが成立することが検証できたという。

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