第17回(後編) デザイナーの想いをカタチにする「加飾開発の匠」

2023.12.27

自動車業界を匠の技で支える「職人」特集。第17回(後編)では、新しいセンチュリーの本杢パネルを具現化した「加飾開発の匠」に話を聞く

クルマの内装に新風を吹き込む

生方氏は1992年兵庫県生まれ。大学では化学工学という、プラントや工場の設計に関わる学問を大学院まで学んだという。

新卒として2016年に入社したのだが、なぜヤマハを就職先に選んだのか尋ねると、「化学工学の人が少なそうだからです」と恥ずかしそうに笑みを浮かべた。

生方氏

実は幼少期から中学生までヤマハの音楽教室でピアノやエレクトーンを習っていたんです。音楽が好きで今でもピアノを弾いていることもあって、ヤマハに興味を持ちました。

化学工学という数少ない人材だからこそ新しい視点でシナジーが生まれると考え、また化学工学という学問とは関係ない土俵で何か新しいことにチャレンジしたいという気持ちもありました。

楽器や音響、もしくはヤマハが手掛けている新しいテクノロジー関係の部署に配属されると思いきや、予想に反してヤマハファインテックに出向し、それ以来、カーパーツ事業部で内装の加飾を開発する仕事に就いている。

色なんて気にしたこともないような人間だったのが、今では「黒のなかでもこういう色調でいきましょう」というようなことを日常的に話しているのが、自分でも意外だと笑う。

クルマにもあまり興味がなかったが、今では内装にだけはライフワークのように興味を持っていて、日頃からさまざまな情報を収集したり、実車をみたり、自分で考えたりしているという。

生方氏

お客様になにか新しいことをやりたいと言われたときに、すぐに提案できる。そんな引き出しを豊富にもった人材になりたいと思っています。

自分はもともとクルマ好きではないですし、大学で学んだのもまったく異分野の学問です。

逆にそんな人間だからこその新しい発想で、内装加飾の可能性や面白さを追求していきたいと思っています。

100年に一度と言われる変革期を迎えたクルマの世界。電動化や自動運転などクルマが変われば、インテリアも変わるだろう。そんな時代だからこそ、生方氏のような人が、インテリアの新しい価値やあり方を創造していくことを期待したい。

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