第17回(後編) デザイナーの想いをカタチにする「加飾開発の匠」

2023.12.27

自動車業界を匠の技で支える「職人」特集。第17回(後編)では、新しいセンチュリーの本杢パネルを具現化した「加飾開発の匠」に話を聞く

「贅沢なシンプル」を具現化するために

では、内装のモックアップを見た生方氏が、「難しいプロジェクトになるだろう」と感じた要因はどこにあったのか? 

それはまさに、「くつろぎと利便性の贅沢なシンプル」というコンセプトに起因するもので、主に強度や耐久性といった物性(材料の性質)の問題と、意匠的な問題の2つが存在すると生方氏はいう。

生方氏

まず物性についてですが、新しいセンチュリーでは、「贅沢なシンプル」というコンセプトを踏まえて、化粧材にサペリという樹種を提案しました。木目柄が強く主張するのではなく、端正な柾目がシンプルで上質さを感じさせるからです。

一般的にクルマの加飾パネルは、ハイグロスフィニッシュと呼ばれる、ピアノのように光沢のある塗装で仕上げます。

しかし昨今は、本杢ならではの木目の質感を敢えて意匠として見せるオープンポアという塗装が注目されていて、センチュリーでもサペリの端正な表情を表現するべく、オープンポアを採用しました。

ただ、ハイグロスフィニッシュが厚塗りなのに対し、オープンポアは薄塗りです。その分デリケートで、キズなどの耐久性、日光や温度変化に対する変色などの耐候性について基準値をクリアするのが課題でした。

オープンポアという塗装で仕上げられた新しいセンチュリーの加飾パネル。導管がストライプと平行するように入っているのが分かる

生方氏によると、サペリの柾目材をオープンポアで仕上げるのは今回が初めてだった。それもあり、物性を確保するために試行錯誤の連続だったという。

それでも全工程に及ぶ創意工夫の積み重ねにより、最終的にはハイグロスフィニッシュと同程度の物性の確保に成功した。

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