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仕事を楽しく、面白く! トヨタの創意くふう提案制度とは?

2024.10.18

トヨタのDNAとも言われる改善の精神。その根底にあるのが「創意くふう提案制度」。改善ができる人材の育成ツールとしての役割も持つ同制度が生まれた背景や想いを取材した。

「この改善で500円もらえますね!」と言われてポカンとするトヨタイムズの新米編集部員。あなたはピンとくるだろうか?

今回のテーマは、トヨタ社内では誰もが知っている「創意くふう提案制度」。脈々と受け継がれる「トヨタらしい」この制度について連載で紹介していく。

「この仕事をもっとラクに簡単に終わらせられないかなぁ?」

そう考えながら働くことは誰にでもあるだろう。生産性や品質向上の取り組みとして、「トヨタ生産方式(TPS)」「改善」という言葉がよく知られている。

トヨタや関係会社にとっては、もはや日常的な言葉だが、外から見ると、とても難しい活動だと誤解されることも少なくない。

生産性を上げるために、管理者がストップウォッチ片手に細かく作業工程をチェックするんでしょ? という怖いイメージを持たれることもある。

しかし、本来はそのイメージと真逆な世界。

製造現場で働く人たちから絶大な信頼を得る“河合おやじ”こと、エグゼクティブフェローの河合満は現場一筋61年。「生産性を上げるためじゃなくて、ラクになるためにやるんだよ。ラクになって早くできると、結果的に生産性が上がるんだよ」と語る。

倒産寸前、知恵をどんどん出してくれ!

小さな改善なくして大きな改革はない。

そんな企業風土の醸成に一役買っているのが、1951年から70年以上続く「創意くふう提案制度」だ。

TQM推進部 プロフェッショナル・パートナー 湯沢貞行

1951年というのは、日本の自動車産業が生き残りをかけて米国の自動車会社ビッグ3に戦いを挑んでいた時代です。当時、フォード工場へ視察に行った豊田英二が見たのは、製造現場の創意工夫に賞金を与えるサジャスチョン・システムでした。それをベンチマーキングとして導入したのが、創意くふう提案制度です。

戦後の急激なインフレ抑制策(1949年のドッジ・ライン)により、多くの会社が倒産した時代。トヨタも1950年に大きな労働争議が起き、4人に1人が会社を去る事態となった。お金も設備もモノもない状況のなか、頼れるのは人の「知恵」しかなった。ちなみに、フォードのサジェスチョン・システムは現在廃止されてしまっている。

TQM推進部 創意くふう・つながるグループ チーフエキスパート 鈴木昌彦

「当時のハンドブックを見ると、口頭でもいい、代筆でもいい、小さなことでもいいからとにかく知恵をどんどん出してくれという内容になっています」

「1953年には、よい製品はよいアイデアから生まれるという意味の、よい品、よい考(かんがえ)という活動用語も生まれました。改善における原点として、今でも各工場に展示されており広く知れ渡っています」

1951年発足当時のハンドブック

冒頭の河合おやじも、「中学卒業後にトヨタ技能者養成所に入所しましたが、現場研修の座学で最初に教わったのが、創意くふうの書き方だった」と語る。

今ではトヨタの人材育成においても、なくてはならない制度となっている。

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