モータースポーツの国内トップカテゴリーで躍動する坪井翔選手に注目! 自身初のドライバーズチャンピオンを獲得したスーパーフォーミュラの模様と、2冠を懸けたスーパーGT最終戦への期待をレポートする。
11月15日のトヨタイムズスポーツは、モータースポーツの国内トップカテゴリー、スーパーGTとスーパーフォーミュラを特集した。特に注目のドライバーが、両カテゴリーの2冠へと突き進む坪井翔選手。スーパーフォーミュラはシーズンを終え、自身初のドライバーズチャンピオンを獲得した。“アジア最速”の称号を手にして、残すは2年連続3度目の王座を目指すスーパーGT。鈴鹿での最終戦では、最高のSHOW(翔)TIMEを見せてくれるはず!
今シーズン充実の坪井翔、悩みはキャラクター
国内外のモータースポーツがシーズンの終盤を迎え、昨年の宮田莉朋選手に続いて坪井選手には、W年間チャンピオンへの期待がかかっている。今回のスタジオゲストであるモータースポーツMCの今井優杏さんは、坪井選手を「選手層が厚い世代の中でも、今やチャンピオン請負人というか、勝って当たり前ということを義務づけられたと思う選手の一人」と解説する。
29歳の坪井選手は、2015年にFIA-F4、2018年に全日本F3のシリーズチャンピオンを獲得。トップカテゴリーにステップアップしてからも、2021年と23年にスーパーGT(GT500クラス)の年間王者となった。今年7月には富士で、レーシングドライバーでもある妻の斎藤愛未さんと同日優勝を果たして話題に。公私ともに充実している。
そんな坪井選手の悩みが、普段は穏やかな人柄のため、キャラ立ちしていないこと。今年のオートサロンのイベントでは「トヨタの顔と呼ばれるドライバーになるためにCMにも出てトヨタに貢献したい! レースには自信がありますが、キャラが定まりません…」と告白していた。
SHOWTIMEの元祖? 富士で圧倒的な強さ
坪井選手のヘルメットに描かれているのが「SHOWTIME」の文字。今やベースボールのイメージの印象が強いが、坪井選手が昔から使っている言葉だ。モータースポーツファンのSNSでは、坪井選手が活躍した際に使うハッシュタグとしても定着している。
本職のレースで坪井選手が見事なショータイムを見せてきたのが、アジア最速レベルの速さを競うスーパーフォーミュラ。富士で3勝と圧倒的な強さを見せ、18.5ポイント差をつけて最終戦を迎えた。
今年はチームをCERUMOからTOM'Sへと移籍。昨年のチャンピオンカーである36号車のシートは、勝って当たり前という重圧も大きい。開幕戦では11位というまさかの結果だったが、その後は安定して表彰台に立ち続けた。
スーパーフォミュラ年間王者からライバルへの感謝
11月10日に鈴鹿で行われたスーパーフォミュラ最終戦には、森田京之介キャスターが駆け付けた。予選を終えた後の会見で心境の変化について質問すると、坪井選手は「気を緩めた瞬間に何かが起きるかもしれないし、最後の最後まで必死にもがいて優勝を目指していれば、その先にシリーズチャンピオンは思う」と答えていた。
決勝では、3番手スタートの坪井選手が序盤から猛プッシュ。安定したレースを続け、2位でフィニッシュした。ピットに帰ると、プレッシャーから解放されたかのように、マシンの上で大きなガッツポーズ。レースを見守っていた妻の愛未さんも「子どもの時から私たちはこういう最高峰のチャンピオンを獲ることを夢見て頑張ってきたので、その夢が1 つ叶って私もうれしいです」と笑顔を見せた。
印象的なのは、スーパーフォーミュラの公式アプリ「SFgo」で聴ける、フィニッシュ直後の坪井選手の無線での声だ。「やったー! ありがとう」という歓喜の叫びに続いて、「ライバルがいたから強くなれた」という、牧野任祐選手らライバルへの感謝の言葉が飛び出した。
最後まで年間王者を争っていた牧野選手とは、9年前にFIA-F4でチャンピオン争いを繰り広げるなど縁が深く、スーパーフォーミュラでもお互いに苦しいシーズンを過ごしてきた。記者会見で坪井選手は「彼と最終戦までしのぎを削りながら戦えたのは、僕にとって感慨深いところがあって、彼がいたから僕も強くなれたのは大きかった」と語っていた。
スーパーフォミュラ最終戦の決勝の模様は21:11から。
豊田会長から託された「もう1つの仕事」
「坪井チャンピオンおめでとう。スーパーフォーミュラのチャンピオンを獲って『最高のシーズンだったね』と言ってあげたいけど、まだもう1つ仕事が残ってる。もう1回鈴鹿で最高の笑顔を頼みます」
レース後に坪井選手に寄せたメッセージの主は、豊田章男会長。残された仕事とは、市販車ベースで競うスーパーGTの年間チャンピオンのタイトルだ。坪井選手と山下健太選手のコンビは、最終戦を残して2位に18ポイントをつけて首位。もう少しで2冠へ手が届く。
鈴鹿で行われる最終戦に向けて、スタジオでは今井さんが、今年のスーパーGTのポイントを解説した。「NSXからCIVIC TYPE Rに!」「クルム監督加入で37号車覚醒!」「プレッシャーに打ち勝つ!速過ぎコンビ」の3つで、詳しくは40:49から。
山下健太とのコンビプレーは“企業秘密”
スーパーGT最終戦の予習として、番組では11月2・3日にもてぎで行われた第8戦の模様をお届けした。雨の中での予選は、坪井選手本人は思うような走りができなかったが、続く山下選手が素晴らしい走りを見せて、3番グリッドを獲得した。山下選手の活躍の理由には、坪井選手からあるアドバイスがあったのだが、その内容は“企業秘密”だそうだ。
翌日の決勝は、打って変わって晴天に。3番手スタートの坪井選手がトップを奪うと、乗り替わった山下選手も快走を続けた。先頭のままレースを制し、坪井選手は「こんなにうまくいっていいのかなというレースでしたけど、本当に優勝できて良かった」と話していた。
開幕戦以来の勝利となり、年間のポイント争いでもリードを広げた。山下選手は「最後しっかり3勝目を飾って今シーズンを終えられるように頑張ります」、坪井選手は「まずチャンピオンを獲ることは一番ですけど、鈴鹿はノーウェートのガチンコ勝負で僕らが速いぞというところを示すチャンス」と会見で語っていた。
スーパーGT第8戦の予選と決勝は49:01から。
2冠を懸けたスーパーGT最終戦は12月7・8日
今シーズン最後のSHOWTIMEになるであろう、スーパーGT最終戦は12月7・8日に開催される。夏に予定されていたレースが台風の影響で順延となり、鈴鹿サーキットが最終決戦の地となった。
ポイント2位は、ここでもライバルの牧野選手と、スーパーフォーミュラから勇退した山本尚貴選手のコンビ。最後までバチバチのバトルが期待できそう。今井さんは「監督のトークショーがめちゃくちゃ面白いんですよ。ぜひ見に来ていただきたい」と話しており、レース以外の見どころもたっぷりだ。
ラリージャパンを4日連続で現地から生中継!
次週のトヨタイムズスポーツは、金曜日お昼の生配信はお休みする。というのも、11月21日に開幕する「ラリージャパン2024」を全力で生中継! 4日連続の放送で、サービスパークが置かれる豊田スタジアムから競技結果などをお届けする。
・【1日目】11月21日(木)19:00~
・【2日目】11月22日(金)19:00~
・【3日目】11月23日(土)19:00~
・【最終日】11月24日(日)14:30~
WRC(世界ラリー選手権)最終戦として、愛知・岐阜で3年連続の開催となるラリージャパン。今年はチャンピオン争いが最後まで持ち越され、特にマニュファクチュアラーのタイトルはトヨタが逆転の望みを残しており、これまで以上に緊張感のある戦いが予想される。
ラリージャパン2024のスペシャルサイトでも、トップアスリートによるラリーカー体験や、勝田範彦・貴元親子によるラジコン対決など、さまざまなコンテンツを公開中。ぜひ、お見逃しなく!