トヨタイムズスポーツ
2024.10.23
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向かい風を進む力に!セーリング銀メダリスト岡田奎樹の風読み力

2024.10.23

ヨット競技のセーリングを特集! パリ大会で銀メダルを獲得した岡田奎樹選手をゲストに森田キャスターが体を張ってレポート。スタジオでは向かい風でもヨットが前進する理由を解説。

10月18日のトヨタイムズスポーツは、ヨットで速さを競う競技、セーリングを特集した。ゲストにパリ大会で銀メダルを獲った岡田奎樹(けいじゅ)選手を迎え、ヨットに乗って自在に操る技術を、森田京之介キャスターが体を張ってレポート。向かい風でもヨットが進む仕組みについての物理学の解説や、岡田選手が海面から風向きを予測する話も、実に面白い!

パリ大会で活躍、岡田奎樹がスタジオにも出演

さまざまな陸の競技や、空を飛ぶエアレースなどを取材してきたトヨタイムズスポーツが、ついに海にも進出! パリ大会のセーリング会場であるマルセイユでの取材はできなかったが、トヨタ自動車東日本に所属する混合470級の銀メダリスト、岡田選手からたっぷりと話を聞くことができた。

父親の影響で5歳からヨットを始めた岡田選手は、東京大会では男子470級で7位。その後、女子の吉岡美帆選手(ベネッセホールディングス所属)とペアを組み、2023年には世界選手権で金メダルを獲得した。現在28歳で、視力は2.0以上あるそうだ。

セーリングのクラスは大きく1人乗りと2人乗りに分かれ、岡田選手の混合470級は男女2人で、ヨットの全長が470cm。岡田選手はヨットの後方で舵やメインセールを操る「スキッパー」の役割で、もう1人の「クルー」は身体を使って前方の帆を調整する。

銀メダルペアのヨットに同乗

10月中旬にもかかわらず絶好のセーリング日和のもと、森田キャスターが訪れたのは神奈川県藤沢市にある江の島ヨットハーバー。今回は現地現物で、実際にカメラがヨットに乗り込んでの取材だ。岡田選手と吉岡選手が用意していた、昨年のアジア大会で金メダルを獲ったヨットに乗り込んだ。

海に乗り出し、時速10km程度で進むヨットの上で、岡田選手は「これでも遅いですね」。メインセールを引き寄せると加速し、エンジンで動く後続のボートを一気に引き離した。

斜め前からの風で生まれる「揚力」で進むヨットだが、そのままだと横に流されてしまう。それを止めるために、岡田選手は中央にあるセンターボードを水中に落とす。さらに、傾いた船のバランスを取るのが「トラピーズ」。吉岡選手が全身を大きく外側に乗り出し、マスト上部からのワイヤーを引っ張ってヨットを真っすぐに立て直した。

森田京之介キャスターが体を張って船上チャレンジ

森田キャスターも、岡田選手のアドバイスを受けてトラピーズに挑戦することに。おそるおそる立ち上がって身体を外に投げ出そうとしたが、器具が外れていることに気づき、ますます焦る森田キャスター。バランスを崩して悪戦苦闘しながらも、足をピンと張ってトラピーズの態勢に成功した。

「出来た! ドキドキ…でも気持ちいい! ハァハァ、怖かった~」と森田キャスターはやり遂げた表情。その一方で生放送中のチャット欄は、落ちるのを期待する視聴者のコメントであふれ、VTR明けの森田キャスターは「落ちた方が良かったのかなって後悔してます」と複雑そうだった。

泳げない森田キャスターの果敢なチャレンジは19:39から。

行く先の風をピタリと当てる先読み技術

岡田選手の重要な役割が、いい風を船に活かすために、風を読むことだ。基本の一つが、海面の色を見て判断することで、「波が立っていると光の反射がなくなるので黒く見える」という。

競技では、さらに先を読むことが求められる。実際にヨット上では岡田選手が「風向もこれから変化します」「もう1段少しだけ風が上がります。あと10秒ぐらい」と言うと、その通りの風が吹いた。森田キャスターも「岡田マジック感激しました」と驚くばかり。

「どの辺りに風が来そうだなという予想を立てて、見えたら自信を持って風を取りに行く」と岡田選手。地形を把握して、何通りもの風を予測しているそうだ。

岡田選手の“風予報士”としての見せ場は23:35から。

なぜヨットは風上に進む? 物理学で「実に面白い」解説

森田キャスターには、「エンジンもないのに、風上にどうやって進むのか?」という疑問が残っていた。それに答えるべく、スタジオの岡田選手は「物理の話なので着替えちゃっていいですか」と白衣姿に変身。メガネも着用し、「実に面白い」とドラマでおなじみのポーズを決めた。

風を進む力に変える「揚力」を生むのは、扇形になっているヨットの帆。飛行機の翼の上部が丸みを帯びているために圧力差が発生して上向きへの力になるのと同様に、斜め前方への揚力が発生する。
さらに揚力を分解すると、必要としている前方への推進力と、真横に進む力に分かれる。そこで、横への力を打ち消しているのが、ブレーキの役目を果たすセンターボードだ。

ヨットは風向きに対して斜めに進むが、風上に向かうためには、方向転換を繰り返してジグザグと進むことが必要となる。体重を一気に反対側に預ける「タッキング」の技術を使うと、2人の息を合わせることでほぼ90度の方向転換をすることができる。

スタジオでの2人の「実に面白い」合戦も見どころの、天才物理学者風の解説は30:05から。

ラリーとセーリングの共通点とは

シーズンオフの岡田選手は、まず新しいペアを探しながら、大会が始まる4月を目指す予定。海の上では選手2人で問題を解決する必要があり、「(コミュニケーションは)ものすごく重要ですね。その人の個性みたいなのがあるので」と語る。

それを聞いた森田キャスターは、2人で競技するビーチバレーボールや、ラリーのドライバーとコ・ドライバーの関係との共通点を指摘。セーリングもラリードライバーのように、ヨットを自分たちで修理しなければならない場面があるという。

開催まであと約1カ月のラリージャパン(11月23・24日)への来場を誘うと、岡田選手も興味津々。今後も陸海空の化学反応が楽しみになりそうだ。

毎週金曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズスポーツ。次回(2024年10月25日)は全日本ラリー選手権の「モリゾウチャレンジカップ」を特集する。シーズンを戦った8人の若手ドライバーによる特別座談会を開催し、その様子を裏でモニタリングしていた豊田章男会長がサプライズで登場。週末に行われた最終戦の結果とあわせてお届けする。ぜひ、お見逃しなく!

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