2024年より全日本ラリー選手権に新設されたカテゴリ「MORIZO Challenge Cup(モリゾウチャレンジカップ)」を特集! 若手ドライバー8名による特別座談会にモリゾウも登場。
10月25日のトヨタイムズスポーツは、全日本ラリー選手権に新設されたカテゴリ「MORIZO Challenge Cup(モリゾウチャレンジカップ)」を特集した。世界での活躍を目指してシーズンを戦ってきた8人の若手ドライバーは、どのような成長を遂げたのか。「ハジけた瞬間」などを振り返る座談会を開催し、それぞれの本音を語ってもらったのだが、その様子をモリゾウ(豊田章男会長) がこっそりモニタリングしていた!
ラリー未経験者を含む8人の多士済々なドライバー
モリゾウチャレンジカップは、WRC(世界ラリー選手権)で活躍できる日本人若手ドライバーの発掘・育成を目的に、モリゾウの発案で今年から始まった。全日本ラリーの全8戦のうち6戦でラウンドが行われ、車両はGRヤリスを使用する。
まずは多彩なキャリアを持つ8人のドライバーを紹介しよう(敬称略)。ちなみに、KANTA選手、最上選手、星選手、稲葉選手と8人中4人はラリードライバー未経験でのスタートだった。
・山田啓介(FIT-EASY Racing)30歳 最年長のトヨタ社員。年間チャンピオンを決めた。
・KANTA(TK motorsport)24歳 2023年のフォーミュラドリフトジャパンのチャンピオン。
・最上佳樹(FIT-EASY Racing)24歳 ジムカーナ出身。元早稲田大学自動車部のトヨタ社員。
・中溝悠太(MATEX-AQTEC RALLY TEAM)27歳 元京都大学自動車部で学部は薬学部。
・大竹直生(TOYOTA GAZOO RacingーWRJ)24歳 フィンランドで2年のラリー修行を経験。
・貝原聖也(ADVICS with K-one Racing Team)28歳 ラリーチャレンジで頭角を現した。
・星涼樹(CUSCO Racing)21歳 ドリフトのD1などで活躍。普段はイケイケのキャラ。
・稲葉摩人(Ahead JHapan Racing Team)21歳 ラリーはコ・ドライバーを経験。現役大学生。
開幕戦から第5戦までのダイジェストは16:16から。
山田啓介が初代の年間チャンピオンに
座談会は10月中旬、ルーキーレーシングのガレージにて森田京之介キャスターの司会で行われた。レーシングスーツ姿で登場した8人が、これまでの走りを振り返った。
高山での最終戦を残してチャンピオンを決めた山田選手は、「熱気を感じる中でのスタートだったのを思い出します。いろいろ苦しいこともあったけれど、頑張ってきて良かった」と語る。総合では2位ながら、SS(スペシャルステージ)のトップタイムの本数では山田選手をリードしている大竹選手は、最終戦を欠場することになっており、「山田さんをみんなに阻止してもらって」とライバルたちにプレッシャーを与えていた。
初戦のラリー三河湾でラリーデビューとなったKANTA選手は「走り切るだけで精いっぱいでした」と振り返るが、それでも3位入賞の快挙。第3戦の久万高原では、濃霧の中で5人がクラッシュ。山田選手に続く2位に入り、会社の先輩とのワンツーフィニッシュを果たした最上選手は「荒れた展開の中、結果的に2位がついてきて、こういうのもラリーなんだなと印象深い大会でした」と話す。
開幕から山田選手が4連勝を続けていたが、第5戦のモントレー(群馬)では大竹選手が念願の初優勝。「ずっと苦しいシーズンが続いてたんで。ここでチームともがっちりコミュニケーションを取ることができて、僕もチームも成長できたかなと思います」と語っていた。
全編30分を超える見せ場たっぷりの座談会は9:04から。
モリゾウ本人登場! 選手の反応は?
その後、開幕前にモリゾウが選手たちに「若者らしく思いっきりハジけちゃってください」と激励していたのを受け、「モリゾウさん、私○○でハジけました!」と題し、選手たちが成長したと感じた瞬間をフリップに書いて報告。続いて「モリゾウさんの印象は?」についても語ってもらった。
座談会をバックヤードで見ていたモリゾウは、選手たちの様子を「字が上手だね」など、細かくチェック。オートサロンで行われたデモランのために誰よりも早く朝から走っていたモリゾウを、KANTA選手が「超パワフル」と表現したのに対し、「ストレス解消だよね、あれは」とコメントする場面も。
大竹選手が回答している最中、いよいよモリゾウが動いた。選手たちのひな壇の後ろから接近し、KANTA選手の肩をポンと叩く。驚きの表情を見せ。戸惑う選手たち。「(そのまま)続けて」「急に言うこと変えないで」とモリゾウは、何事もなかったかのように森田キャスターの隣に。
予想外なモリゾウの登場で、特に背筋が伸びたのがトヨタ社員の2人。モリゾウの印象を「本当にクルマ好きの目線で、自分に対しても他の皆さんと同じように明るく接してくれて」という趣旨で「普通の人」と表現していた最上選手は、「普通の人でしょ?」とモリゾウに言われ、「本当にいい意味で」と笑顔で答えていた。
選手たちの誰も知らなかったご本人の登場は34:59から。
若手ドライバーへのモリゾウからの激励
1年間のモリゾウチャレンジカップを、「同じ世代が固まってる中で、同じクルマで同じ道を戦うと、それぞれのカテゴリーでやっていたのと違う新たな気づきがあったんじゃないかと思う」とモリゾウは振り返った。
「自分でここがゴールって決めたら、そこで成長は止まると思う。もっと好奇心を持ってもっと野心も持って、自分の限界は努力次第でどうにでもなるんだから。努力して結果が出れば、これは自信になる。で、努力もしなくて結果が出ると、ごう慢になる。努力したのに結果が出ない時もある、でもそういう時には経験がつくわけです。その経験ができる時間は皆さんにはあるわけだから、経験を活かした形をこれからの皆さんの人生でぜひやってもらいたい」
初代チャンピオンの山田選手には、優勝の盾が贈られた。山田選手は「僕がラリーを始めて5年経ちますけど、なかなか若手が参加しづらい。お金もかかるし時間もかかる中で、モリゾウさんの名前を冠して開いていただいたことで、こんなにも多くの若い優秀なドライバーが集まってラリーが盛り上がっ たのを感じた1年でした」と感謝の気持ちを述べた。
最後にモリゾウは「1年目にそろったこの8名は、使命と役割を持った一人一人だと思います。自分自身のために、応援してくれたチーム、家族、友達、みんなのためにも、ぜひ最後の1戦は今までで一番いい走りをやっていただきたい」と激励。全員で「ワンチーム、ジャンボ!」の掛け声で座談会を締めくくった。
最終戦は貝原聖也が一矢報いる
収録後に行われた最終戦のラリーハイランドマスターズ(岐阜・高山)のダイジェストは、43:41から。最後の戦いを前にした意気込みや、8選手それぞれの1年間を振り返ってのコメントも見逃せない。
結果は貝原選手が優勝して一矢を報い、年間でも3位に入賞。SSトップタイム賞は山田選手が逆転で獲得し、年間チャンピオンと合わせて完全優勝を果たした。
同年代の新人リポーターもデビュー
モリゾウチャレンジカップでは、ドライバーだけではなく、新人リポーターもデビューを果たした。モリゾウからの特命を受けて、選手たちを1年間追いかけることになった東晴斗さんだ。KANTA選手や最上選手とは同い年で、ラリーの知識に関しては初心者だった。
全戦の取材を終えて、「自分と同じ年齢ぐらいの人たちが目標を持って本気で取り組んでる熱い想いを、一番間近で全部見てきて僕自身もすごい感銘を受けました。こういう大会に想いを持って挑戦しているドライバーたちがいることを、しっかりと伝えていきたいし、いろんな人に応援してもらいたいという思いがあった」と東さんは語る。
森田キャスターからモリゾウさんの印象について質問され、「いい意味でフレンドリー」と答えていた東さん。視聴者からは「今日は後ろにモリゾウさんいないんですか?」とコメントが寄せられたが、さすがにスタジオにはご本人登場とはならなかった。
「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」だけでなく、ドライバーやさまざまな人材育成の場として、モリゾウチャレンジカップの果たす役割は大きい。来年以降はどんな若手が育っていくのか、楽しみにしていきたい。
毎週金曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズスポーツ。次回(2024年11月1日)は硬式野球部レッドクルーザーズを特集する。日本選手権の初戦を翌日に控えるチームだが、これまでの大会で圧倒的な成績を残してきた佐竹功年さんが今夏で引退。佐竹さん本人をスタジオゲストに迎えて、チームにどのような変化があったのかを、試合の見どころと合わせてお伝えする。ぜひ、お見逃しなく!