フィギュアスケート界に数々の記録を残し、記憶に残る演技を見せてきた宇野昌磨。21年の競技人生に区切りをつけ、新たな道を歩み始める。節目となる日をトヨタイムズスポーツが追った。
きっかけは仲間の存在
記者から「引退を決めた時期は?」との質問には、「2年ほど前。(ステファン・ランビエール)コーチに伝えたのは、(今年の)全日本選手権が終わったタイミング」と回答。きっかけには、一緒に切磋琢磨してきた仲間の存在があった。
(2年前の)世界選手権に優勝した時に、引き続き頑張ろうという気持ちは変わりませんでしたが、ゆづ君(羽生結弦さん)やネイサン(ネイサン・チェン)の引退*があり、ずっと闘ってきた仲間の引退を聞いて、寂しい気持ちと取り残されたという気持ちがあった。
*ネイサン・チェンは現在、学業のため競技を離れている。
そこから考えるようになった。
また、引退することへの未練については、「一切ない」ときっぱり。
これから世界で闘う後輩たちに向けては、「全員がいい結果になることを望みますが、本人が楽しく、目指しているスケートを体現できる選手が一人でも多く現れるといいなと思っています」とエールを送った。
引退の先に
これからについては、「僕たちアスリートは、一つのことに全力を注いできた人間なので、その場所から変わることは本当に難しい」という。ただ、「その熱量が人一倍あったからこそトップアスリートになれたと思うので、僕も次にその熱量を注ぐ場所を探していきたい」と続ける。
一方で、もともとゲームが大好きなインドア派。これまで一心にスケートと向き合ってきたこともあり、「いろんな経験をしたいな…しなきゃな、と思っています」と苦笑い。森田京之介キャスターからの「トヨタイムズが強引に連れ出すのはありですか?」には、「そう…ですね…時間が合えば…」と、この時ばかりは歯切れが悪かった。
宇野は今後、トヨタ社員としての契約は満了となるが、トヨタはこれからの活動をサポートしていくことになっている。
トヨタでは、これまでもさまざまな形でセカンドキャリアを描くアスリートたちがいる。背景には、豊田章男会長の「アスリートへのサポートは旬な時だけ、それじゃダメ。トヨタにはプロもアマもいろんなジャンルのアスリートがいるんだから、いろんな形があっていい」という想いがある。
宇野も「どんな時も同じように手厚く、そしてアスリートファーストの気持ちでサポートしてくださり、とても感謝しています」と応えた。
これから先、どのような道を歩むことになるのか。トヨタイムズスポーツでは、これからも宇野の挑戦を追い続けていく。
short動画では、報告を終えた後の率直な気持ちを語ってくれている。ぜひご覧ください。