「日本最大級の社内スポーツイベント」とも噂される伝統のトヨタ社内駅伝大会「HURE!フレ!駅伝」。3年ぶりとなる大会の様子や、そこに関わる多くの社員たちをさまざまな視点でレポートした。
12月7日に配信されたトヨタイムズ放送部は、1947年より続くトヨタの社内駅伝大会「HURE!フレ!駅伝」を特集。コロナ禍の影響で3年ぶりの開催となる中、これまで練習に励んできたランナー、応援する人、大会運営を支える人など、さまざまな視点で取材をおこなった。その規模と本気度には、初めて体験した森田京之介キャスターも驚くほど。
毎年3万人以上が参加、1947年から続く伝統の大会
「HURE!フレ!駅伝」は、社員同士のコミュニケーション活性化をはかる社内団体「HUREAI(ふれあい)活動本部」が主催。この日のスタジオには同会長の宮浦大治さんがゲストとして出演した。
第1回大会の駅伝は1947年、10チーム各4人がトヨタ本社の近くを走ったと伝えられている。1948~53年、55年の開催は社内にも記録が残っておらず、宮浦さんは「こんな情報もあるよ、お父さんが参加したよということがありましたら、連絡をお待ちしています」と情報提供を呼び掛けていた。
1974年からはトヨタスポーツセンターに会場を移し、大会は規模をさらに拡大。90年代に「女性の部」「シニアの部」が設立され、海外からのチームも参加した。2010年代にはチームが500以上、応援を含めた参加者は3万人を超えるようになったという。
2020年、21年はコロナ禍の影響で中止となったが、今年は規模を縮小しつつ開催が実現した。大会に向けてランナーが日々練習に励む部署も多く、宮浦さんは「皆さんガチでやられていて、(私は)これまで応援専属でやっていました」と語る。
森田キャスターが疑惑のコース試走
駅伝のコースは、陸上競技場がスタートとゴール地点。放送部ではおなじみのレッドクルーザーズ、ヴェルブリッツなどの練習場近くを走り、起伏に富んでいる。「図だけだとイメージが湧かないかなと思って、私実際に走ってきました」と森田キャスター。
VTRでは、スタート地点で森田キャスターがカメラを手にしてリポート開始。競技場を出て、コースを忠実にたどっていくのだが、いつものような実況はなく、カメラも揺れずに順調な走り。視聴者からは「森田さんの走りにブレがない」「なんかプリウスみたいな音しなかった?」と怪しむコメントが出た。
競技場に戻って息を切らしながらゴールする森田キャスターの映像を見て、宮浦さんが「クルマに乗っていませんでしたか?」と質問。森田キャスターは「正直言います、C+pod のモーター音でした。当日の取材の体力を残すべく、今回はクルマで走らせていただきました」と観念した。まさかのズルを自白となってしまったが、本人が来年走るための予告編だと思いたい。
本格的な開会式、聖火点火や社長挨拶も
大会当日の午前6時、気温3度のトヨタスポーツセンター。森田キャスターが会場に到着すると、既に参加者らの熱気にあふれていた。チームを応援する横断幕やのぼりがスタジアムを彩り、選手たちへの期待が高まる。
開会式では、豊田社長が「3年ぶりの社内駅伝、復活してくれて本当にありがとうございます! 3年間よく我慢をしたと思いますし、必ず駅伝を復活させると思って動いた全ての人々に、まずはありがとうと感謝を申し上げたいと思います」と挨拶した。
優勝旗の返還、選手宣誓の後、聖火ランナーが登場。会場に聖火台があることが、大会の規模の大きさを物語る。
河合おやじ(河合満エグゼクティブフェロー)の号砲で、ロングの部がスタート。女性の部、シニアの部、ふれあいの部のスタートでは、世界陸上にも出場したゼッケン635番の尾田賢典さん(スポーツ強化・地域貢献部)が目の前を駆け抜けるのを、森田キャスターは見逃さなかった。
注目チームがトップで激走
放送部が注目したのは、ロング(一般)の部で連覇を狙う高岡組立部と、3年生メンバーが最初で最後の大会となる女性の部のトヨタ工業学園(女子)。この2チームを中心に、選手たちの走りをダイジェストでまとめた。
会場での実況と森田キャスターとのダブル実況で、白熱のレースをリポート。両チームは安定した走りでアンカーまでたすきをつなぎ、トップでゴールを駆け抜けて優勝を果たした。
トヨタ工業学園の第1走者、大岩里桜選手は「いろんな方が名前を呼んでくださったり、応援してくださって、すごく力になりました」、高岡組立部で2区を走った酒井拓欣選手は「前よりは観客の方が少なかったですけど、少しずつ今までの状況が戻ってきて楽しいなと思って走りました」と、激走を終えた後に語っていた。
視聴者からは「社内イベントの域超えすぎ」「もっとお遊びみたいなもんだと思ってた」といったコメントが続き、森田キャスターも「走ってるスピードに圧倒されましたし、本当に社内イベントの枠に収まりきっていない大会」と驚いていた様子だった。
オンライン配信にも初挑戦
社内駅伝は、走る人、応援する人だけでなく、準備する人たちも本気だ。「今年は“TRY something new”というテーマのもと、オンライン配信で遠隔の人ともつながれるようなチャレンジをしてきました」と宮浦さんは話す。
YouTubeでのライブ実況などを担当したのが、レクリエーション研究部のメンバーたち。松井章部長は「皆さんに参加していただける形はどういうものがあるかと議論を重ね、WEBで配信すれば想いは伝わるんじゃないかと企画しました」と語っていた。
森田キャスターは「あれだけの参加者がいて、状況を逐一しっかり把握して、それを言葉にして伝え続けるっていうのは、どれだけ大変なことなのか。あの盛り上げあってこその駅伝大会」と、プロ目線で称賛した。
メダルやトロフィーも内製の本気
入賞チームに贈られるメダルやトロフィーが、外注ではなく内製なのもトヨタならでは。メダル・トロフィー製作プロジェクトチームの西山裕次さんは「年間延べ60人くらいの人数が携わって、モノを作ることによって人材育成にもなる。この2年間は寂しいという部分はありました。ようやく我々の作ったものが優勝者に渡されると、うれしい気持ちですね」と話していた。
トロフィーを担当した野尻晃淳さんは「選手たちが走るスポーツセンターのコースを、起伏を含めて(再現して)『こういうコースだったよな』と、話題が広がるところも考えたデザインになっています」。
スタジオでは、メダルとトロフィーの製作工程をまとめたVTRも披露された。そのこだわりと本格度、本気度は必見だ。
駅伝の運営とクルマづくりの共通点とは
子どもの頃から沿道でランナーを応援していたという河合おやじは「この大会の運営は毎回人が変わる。一つの大会の中で何千人というリーダーができるわけで、それが毎年繰り返されてる。リーダーシップの教育にはこういう実践が一番。いろんな人と出会って助けてもらったり、反対に助けたり。こういうつながりがずっと続いてきた」と社内駅伝大会の意義を語る。
さらに「コロナの中でやれることはないのかなと、YouTubeでライブをやってくれた。これも成長で、続けることが大事。そうやって常に改善しながら、Better Betterでそれを求める。これはトヨタのDNAでトヨタ生産方式そのものです。社長の言う“もっといいクルマづくり”と一緒で、いい人材育成の場にもなってると思います」と話していた。
来年はトヨタイムズチームも駅伝に参加?
来年以降に運営を引き継ぐメンバーに向けて、宮浦さんは「たくさんの方に助けていただきながら、駅伝大会を開催できています。今大会はちょっと縮小開催だったんですけど、どこまで応援者やチーム数を伸ばしていくかが来年は肝になってくると思います」と期待を寄せていた。
今回はクルマに乗ってコースを走っていた森田キャスターは、「来年走るために陸上長距離部の皆さん、特訓をよろしくお願いします」と、本気モードに火が付いた様子だ。来年の駅伝はもちろん新チームの参加も受け付けており、そこにトヨタイムズ放送部チームが加わるかは鋭意検討中。走る人も、応援する人も、運営する人も、来年に向けての戦いは既に始まっている!
毎週水曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズ放送部。次回(2022年12月14日)は年末年始のビッグイベント、「ダカール・ラリー」を特集する。10連覇を目指すチームランドクルーザーから、トヨタ車体の社員ドライバー三浦昂さんをゲストに迎え、デビューするランクル300が砂漠で鍛えられるポイントなどを深掘りする予定。ぜひ、お見逃しなく!