トヨタイムズスポーツ
2022.12.19

ランクル300がダカールラリーに挑む!"もっといいクルマづくり"は砂漠でも!

2022.12.19

12月14日に配信されたトヨタイムズ放送部は、大晦日に開幕する「ダカールラリー」を特集した。市販車部門で9連覇中のチームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)から、エースドライバーの三浦昂選手がスタジオに出演。今回ダカールラリーデビューするランドクルーザー300 GR SPORTについて、市販車の開発にも携わった立場から熱く語った。その圧倒的な進化のポイントと、砂漠の極限環境でさらに鍛えられるクルマへの期待が明かされる!

社員ドライバーとして2連覇中の三浦昂が出演

モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりは、WEC/スーパーGT/スーパー耐久に代表される「サーキット」、WRCの「公道」など、さまざまな舞台に広がっている。そして、今回クルマが鍛えられる舞台は、果てしなく続く「砂漠」。世界一過酷なモータースポーツとも称されるダカールラリーだ。

トヨタ車体の広報室に所属する社員ドライバーでもある三浦選手は、1年前の出演時の作業着姿とはうって変わって正装のレーシングスーツで登場。視聴者からも「巧みなトーク力に加えてイケボ」といったコメントが集まり、出演するたびにファンが増えている。

昨年のダカールラリーの映像を見て「早く砂漠に帰りたい」と話す三浦選手。コ・ドライバー(ナビゲーター)としても優勝を経験し、ドライバーに転向してからは2018、21、22年に優勝している。

放送では、5大陸走破プロジェクトでモリゾウ選手と一緒に走った当時の写真や、社内報の新入社員紹介の写真も披露され、本人も苦笑いしていた。

走行距離8,549㎞、砂漠の過酷な16日間

「ダカールラリー2023」は12月31日にスタートし、サウジアラビアを西から東に横断。前半は山岳地帯と砂丘の難しいルート、後半はルブアルハリ砂漠を走り、メカニックのサポートを受けられない2日間のステージも。計15ステージを走破し、来年1月15日にゴールする。

インタビューでTLCの角谷裕司監督は「(ダカールラリーが中東に舞台を移して)一番最長の距離と期間を要しますので、非常にタフな大会になると思っています」と語る。総走行距離は8,549㎞、そのうち競技区間は4,705㎞。公道を走るラリージャパンと比較しても、距離の長さは群を抜いている。

後半は砂漠を走っても景色が変わらず、前に進んでいる実感が湧かないそうだ。そんな過酷な環境でも、三浦選手は「僕にとっては1年間で一番幸せな2週間です」と笑顔を見せていた。

ダカールから得た改善要望を市販車開発に反映

砂漠での大一番に初めて挑むランクル300は、前年までのランクル200など過去のラリー車とは違う、特別な意味を持つ存在だ。ベースとなる市販車の開発そのものに、三浦選手らTLCのメンバーが関わっているのだ。

「誤解を恐れずに言うと、市販車として開発が終わって出来上がった車をベースに、ルールの中で改造してラリー車を作っていたんです。ランクル300はそうではなく、我々がダカールラリーで必要なことを市販車の開発の中に織り込んだ、そこが全く違うところです」

そう語る三浦選手も、初めての市販車開発に戸惑いがあったという。「誰もがあんなスピードで砂漠を走るわけじゃない。そんなことできるのかなと思ったんですけど、開発陣から『ダカールラリーを走って、こうだったらいいなと思うことを100個でもいいから言ってくれ』と言われて、僕のわがままを本当に100個ぐらい書きました。開発陣と協議して、『この話は一般のユーザーの方たちにも付加価値になる』『これはラリーの世界だけの話だ』と分けていく中で、開発がスタートしていったイメージです」と振り返る。

三浦選手が再認識したのは、もっといいクルマづくりとモータースポーツの深い関係。「速く走ろうとすることは、乗り心地の改善につながって、一般の方が長い距離を運転しても疲れにくい車になるなどの親和性がある。僕自身もやってみて初めてわかりました」と語った。

あえて市販車と同じ条件で走る意義

ラリーの現場からの意見を生かして進化したポイントの一つが、サスペンションシステムの「E-KDSS」。スタビライザーを電子制御することによって、路面の状況などに応じてクルマがセッティングを自動的に判断して切り替える。固い路面を早く走りたい時は安定し、悪路を走る場合は衝撃を柔らかく吸収するという、相反したリクエストを両立させ、さまざまな環境での走破性を高めた。

「E-KDSS」の仕組みやメリットについて、CGなどを使って三浦選手は丁寧に説明。「とんでもない武器です。実際にラリーカーとして出来上がって、今すごく乗るのが楽しみです」と期待を寄せる。

一方、ランクル200までは、「シンプルで複雑な装備がついていない方がラリー車を造りやすい」というのがセオリーだったと三浦選手。シンプルなクルマの方がリスクが減るからだが、今回はあえてE-KDSSを装備したGR SPORTをベース車両にしている。その理由について「未来のランクルを良くしていかなければならない」と、挑戦の意義を語る。

市販車では各タイヤに1本ずつ付いているショックアブソーバーも、ダカールラリーのルールでは2本まで許される。だが、「市販車と同じ条件で、市販車の良さを最大化する方向で作ろう」と、今回は1本で挑むことになった。本番以上に過酷な環境下のテストでは、折れてしまうこともあったが、改善を繰り返してダカールラリーへの準備を進めてきた。すべては未来のランクルのために。

スポーツカーのような感覚を実感

実際にランクル200から300はどう変わったのか。三浦選手は乗った印象を「全然違うクルマです!」と言う。「こんな大きいクルマなのに、スポーツカーみたいに運転できるんです。操作に対してすぐ反応してくれるので、めちゃくちゃ楽しく走っていて。体の一部に入っている感覚があるので、信じてアクセルを踏んでいけて、結果速く走れるクルマですね」と語った。

「ランクルは歴史の長いクルマで、守るべきポイントはたくさんある。大幅な進化はなかなか難しいだろうと想像したのですけれど、いい意味で期待を裏切られました。開発の方々から刺激をもらって、ラリーに行く僕たちチームも負けてられない。これだけいいベース車があるのだから、市販車部門で新しい世界を見に行くぞと、みんな気合い入っています!」と意気込む。

メカニックも砂漠で鍛えられる

多くのヒトを鍛えるラリーの現場では、メカニックも主役。今回のダカールラリーには、福岡トヨタ自動車から中武佑太さん、穴見直樹さん、伊藤勇さんの3人が参加する。普段は販売店でお客様のクルマを整備しているメカニックだ。

3人はインタビューで、ダカールラリーへの抱負のほか、ランクル300の好きなポイントを紹介。それぞれがメカニックの目線でこだわりを持っていることがわかる。

三浦選手が語ったのは、ドライバーとメカニックの信頼関係の大切さ。「極限状況で作業して翌日のスタートまでに直せず、80点のクルマで渡さなければならない場面もあります。それを100点のクルマだと思って運転したら、アクシデントが起きます。正確に伝えてくれれば、僕もそれを想定してドライビングを組み立てられる。(メカニックと)ユーザーさんとのコミュニケーションにつながるところがあると思っています」と説明した。

まずは10連覇、そして12連覇に向けて

森田京之介キャスターからの「10連覇を目指していたただきたい」という激励に対して、「もちろん目指すんですけれど。僕たちは10連覇をゴールにできない話が、実はありまして…」と語る三浦選手。2021年に8連覇を果たした時に、豊田社長から「12連覇おめでとう」というメッセージが届いたという。そのため、12連覇まで負けられない雰囲気になり、10連覇は通過点に過ぎないのだ。この時のやりとりは、トヨタイムズの記事を見ていただきたい。

ラリー期間中もWEBで情報発信

この日の放送では、視聴者から現地の砂漠の砂について質問があり、三浦選手は細かいところまで詳しく答えていて、さすが広報担当といったところ。ダカールラリーの期間中も、TLCのサイトや、Youtubeのランクルちゃんねるで情報発信していくそうだ。

お正月はこたつの中から、砂漠での熱い戦いを見守ろう!

毎週水曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズ放送部。次回(2022年12月21日)は元日に2023年最初の日本一を決める「ニューイヤー駅伝」を特集する。7年ぶりの優勝を目指す陸上長距離部のチーム力をたっぷりと取材。ゲストは2011年世界陸上マラソン日本代表の尾田賢典さんの予定。ぜひ、お見逃しなく!

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