男子バスケットボールBリーグ開幕に向け、チームOBでありレジェンドの正中岳城さんが徹底解説。日本代表・吉井選手のオンライン生出演など、これを見れば新体制となったアルバルク東京の見どころがすべてわかる!
9月28日に配信されたトヨタイムズ放送部は、新体制となったアルバルク東京を特集。4シーズンぶりの王座奪還を目指し、10月1日の開幕戦に臨むなか、元キャプテンの正中岳城さんがチームを徹底取材。レジェンドOBも驚く、新チームのフレキシブルな戦術とは? ホワイトボードを使って、選手たちの動きを分かりやすく分析した。日本代表で活躍した吉井裕鷹選手もオンラインで生出演!
過ごしやすい気候になり、いよいよスポーツの秋。トヨタアスリートも各地で好結果を出しており、番組の冒頭では、選手たちから多くのメッセージ動画が届けられた。前週の放送に出演した男子円盤投げの湯上剛輝選手は、全日本実業団対抗陸上で優勝! 525日ぶりの復帰戦となったフィギュアスケートの紀平梨花選手は今後への抱負を笑顔で語るなど、見逃せない映像が続出となった。
リーグ盟主の復権へ、4年ぶりの頂点目指す
男子と女子のバスケットボールもリーグ開幕が迫る。2週連続のバスケ特集の第1弾は、男子の「アルバルク東京」だ。今回の特集オープニングは、気合いの入った長めの映像となっているので必見。ここではナレーションの一部を紹介しよう。
「――アルバルク東京。その前身は、1948年に創部されたトヨタ自動車株式会社実業団。トヨタの男子バスケットボール部として日本リーグを盛り上げる。アルバルクの愛称で、日本のバスケ界を牽引する存在となったチームに2007年、正中岳城が入団。緑のユニフォームをまとい、チームの中心選手に成長する。
2016年、Bリーグ開幕。プロチーム・アルバルク東京はルカHC(ヘッドコーチ)が就任した2017-18シーズン、正中キャプテンのもとBリーグ初優勝。翌シーズンも連覇。コロナで中断を余儀なくされた2019-20シーズンもリーグ最高勝率を達成するなど、リーグの盟主としての地位を確立。しかし、ここ2シーズンは優勝から遠ざかっている。
5年間チームを率いたルカHCが退任し、復権を期する今シーズン。新たにアドマイティスHCが就任。ジャスティン・コブス、藤永佳昭の新戦力も加わった新生アルバルク東京。新体制で狙うは、4シーズンぶりの頂点――」
アドマイティスHCの新体制がスタート
スタジオゲストはアルバルクの連覇を支えたレジェンド、正中岳城さん。背番号「7」はチームの永久欠番となっている。
アルバルクは今シーズンから、強豪のリトアニア代表を率いたデイニアス・アドマイティスHCによる新体制となる。正中さんも「選手がどのように活かされて活躍していくのか。見どころいっぱいのシーズンがいよいよ始まる」と、興奮を隠せない。
新チームには、PG(ポイントガード)として、ジャスティン選手、藤永選手の2人が加わった。キャプテンの田中大貴選手、移籍2年目の安藤周人選手にも期待が集まる。
日本代表で活躍の吉井裕鷹選手が生出演
今回は特別に、注目の若手である吉井裕鷹選手がオンラインで生出演した。大学生の時に練習生としてアルバルクに参加した後、2020年12月に正式加入。今年は日本代表にも選ばれ、7月のアジアカップでは先発メンバーとして活躍した選手だ。
画面に登場するや、森田京之介キャスターから「こんな感じのキャラクターなんですね」とツッコまれた吉井選手。「本当にシーズン開幕が楽しみだなという気持ちと、自分自身がチームに戻って、試合でどれだけできるのか、楽しみなところ」と今シーズンへの思いを語る。
正中さんは現役引退の直前に吉井選手と一緒に練習したことがあり、「外国人選手に見劣りしないディフェンス力と馬力に、熱いブレーがプラスされ、もっともっと伸びていくし、コーチの求めるものにもフィットしていく」と評価した。
アドマイティスHCからのコーチングについて、「足の動きだったり、オフェンスリバウンドで飛び込むだったり、ディフェンスカバーできるところは足で動いたりっていうのを、練習中から常に言われてます」と吉井選手は話していた。
海外での代表戦で新鮮に感じたこと
チャットで寄せられた視聴者からの質問にも、吉井選手が回答した。「海外で新鮮に感じた、日本でも取り入れたいバスケへの姿勢は?」という質問に対しては、「上に行けば行くほど、個も大事なんですけど、それ以上にチームとしての力が強いなっていうのは身に染みて感じた」と真面目な表情で答えていた。
10月7日からのホーム開幕戦に向けては、「新しい体育館、代々木での開幕戦。いいスタートダッシュが切れるように頑張っていきますので、応援よろしくお願いします」とコメントしていた。
ほかにも、趣味の動画鑑賞、関西人として譲れないこと、シーズンの公約など、さまざまなテーマのトークを展開。同じ関西出身の正中さんがフォローしたり、視聴者から「正直な人だな」とコメントが届くなど、愛されキャラ全開の吉井選手の魅力をぜひ感じていただきたい。
「ピックアンドロール」「ワイドオープン」って何?
VTRでは、9月11日に行われた西地区のファイティングイーグルス名古屋との練習試合を、正中さんが直接取材。プレーを見ながら現地で解説した。
安藤選手の外からのシュート、アレックス・カーク選手のゴール前でのプレーなど、得点につながったシーンを、正中さんは細かく説明していった。コートを広く使ってボールを回し、最後にスリーポイントを決めた場面では「ボールも動く、人も動くという理想の形で、最後決め切るというところもパーフェクト」と指摘していた。
スタジオに戻ると、「正中岳城のここがよかった!」という似顔絵つきのフリップで、あらためてポイントを解説。「選手の特性を活かしたプレー」「チーム全体で得点のチャンスを作る」という点を評価していた。
さらに「ピックアンドロール」「ワイドオープン」というキーワードを紹介し、ホワイトボードを使って選手の動きを分析した。相手のマークをはがす動きや、フリーの選手を作るのにつなげるまでの一連の流れを、一つずつ丁寧に紐解いていった。なかなか説明の難しい専門用語ではあるが、正中さんのホワイトボード解説は非常に分かりやすいので必見!
新チームのキーワードは「柔軟性」
攻撃で素晴らしい連携が見られた一方で、チームには課題も残った。それについても、「正中岳城のここが課題!」というフリップを使い、「フレキシブルなディフェンス」という点を挙げていた。
「今年からはいろんな状況に応じて、守り方を変える、選手に応じて変える、状況に応じて変えるというような守り方をしているように見えました」と正中さん。新チームが始まったばかりで、練習試合の時点ではミスも多く見られたが、「これからしっかり練習をしながら、ディフェンスの考え方を一致させていけば、課題点はどんどん減っていく」と展望を述べた。
状況に応じて柔軟にゲーム全体を判断していくことは、今年のアルバルクが大きく変わった点であり、今後強みになっていく可能性を秘めている部分でもある。前任のルカHCが築いた土台をベースに、アドマイティスHCは選手に自由度を与えており、それぞれの特性に合わせて得意なプレーを出すなど、いろんなことを試している段階だという。
「リーグを戦いながらアジャストしたり、よりコミュニケーションを取っていかないといけない部分はある。成長していく過程を、みんなで応援しながら見れたらいいと思う」と、正中さんは語る。
6年ぶりにゾーンディフェンスをする理由
練習試合で正中選手が思わず驚いていたのが、選手たちが1on1(マンツーマン)ではなく、エリアを守るゾーンディフェンスに変えたシーン。「去年まではゾーンディフェンスはしていなかった。(その選択肢を)持ちながら40分をデザインするのは、コーチが目指している柔軟性を考えると、大事な戦術」と説明していた。
6年ぶりのゾーンディフェンスについて、ベテランのザック・バランスキー選手は「相手の強みを消すために、いろいろなディフェンスをチェンジで入れたりするタイプのコーチ。僕らもまだアジャストしている中で、いろんなディフェンスをしっかり徹底してやれば、それが自分たちの強みになってくると思います」とインタビューで話していた。
正中さんはゾーンディフェンスに関しても、ホワイドボードを使って、その長所と短所を分かりやすく解説。「いろんな選択肢をしっかり持ちながら、適切な場所で適切なコーチングができるような準備を今しているところなのかなと思います」と語った。
すると、森田キャスターが「トヨタの電動化戦略と似ていますね。選択肢を狭めない、全方位戦略が」とコメント。意外な共通点に、視聴者のコメント欄でも「全部本気!」と、聞いたことのあるフレーズが飛び出していた。
代々木のホームアリーナで応援しよう!
今年からBリーグは、2地区から3地区制になり、計24チームで争う。アルバルクが戦う東地区は、過去のリーグ王者3チームが全てそろった非常に厳しい地区。10月1日にアウェーで開幕戦を迎え、7日からはホームで3強の一角である千葉ジェッツと激突する。
主将の田中選手からは「HCも新しく変わって、自分たちにとってもチャレンジなチームになるかと思います。シーズンを通して成長できるように一生懸命戦いたいので、ぜひ会場に足を運んでいただいて応援していただけたらうれしいです」とのメッセージが寄せられた。
今年からはホームアリーナを国立代々木競技場の第一体育館に移し、さらに2025年にはお台場の新アリーナへと、未来への期待は高まるばかりのアルバルク東京。プレーする選手たちの熱気を、ぜひ現地応援で間近に感じていただきたい!
毎週水曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズ放送部。次回(2022年10月5日)はバスケットボール特集第2弾で、Wリーグ3連覇を目指して進化を続ける女子の「アンテロープス」をクローズアップする。ワールドカップには日本代表として馬瓜ステファニー選手、山本麻衣選手、平下愛佳選手が出場しており、新シーズンにも期待がかかる。ぜひ、お見逃しなく!