労使協議会から約2カ月。労使が再び集まった。生産性向上へ覚悟を決めて動き出した現場では、一歩踏み出したからこそ見えた壁もあった。
議論を尽くすのは誰のため?
部署内での縦の連携、部署を横断した横の連携、さまざまな事例が紹介された今回の労使懇。最後に鬼頭委員長と近社長が総括した。
鬼頭委員長
労使協後の動きに加えて、直面している課題について話し合いましたが、会社、組合という立場を超えて、本当に一つのチームとして、もう一歩踏み込んで変えていこうという確かな変化を感じ取ることができました。いつも我々の声に真正面から向き合ってくださっていることに感謝申し上げます。
本日の議論を通じて、トヨタで働く一人ひとりが、日々それぞれの立場で頑張っているんだけれども、自己満足になってはいないか、本当にその仕事が会社の競争力につながっているのか、こうしたことを常に考えて、自律的にやるべきこと、やめるべきことを考えて行動しなければならない、と改めて感じました。
それはまさにトヨタ労使が大切にしている、トヨタウエイにも記されています「誠実に行動する」という考えではないかと思います。今の仕事が未来のどこへ向かっているのかを考えて、目的に向かって真正面から、逃げずにしっかりと行動していく。そうした姿勢を労使で、これからも力を合わせて貫いていきたい。
その上で、現場だけではどうしても決めきれないことが多々あります。機能の壁にぶつかったときには、決して自分たちで囲い込むことをせずに、遠慮なく本音の声をぶつけていきたいと思っています。
また我々、組合役員の役割は、組合員一人ひとりの意欲と努力を最大限に引き出して、その頑張りを絶対にムダにしない、必ず成果に結びつけていく、こうしたことだと認識しております。
「1日でも早く、1台でも多く良品廉価なクルマをお客様にお届けする」
こういう我々の使命をしっかりと果たす中で、日々私達が進めている業務や挑戦はお客様の笑顔につながっているんだということを決して忘れることなく、これからも組合としてやるべきことをしっかりとやっていきたいと思っています。
最後に、冒頭、近社長からもお話がありました通り、トヨタのクルマづくりというのは、仕入れ先、販売店の皆さんをはじめ、自動車産業で働く550万人の仲間に支えられているわけでありますが、春の労使協議会でも確認した通り、自らの当たり前を壊して、生産性を高めて競争力を引き上げていくということは、トヨタ単独のためではなく、必死に努力してくださっている550万人の仲間の未来を守り抜き、ひいては日本全体を元気にしていく、こうしたことに直結しており、私達が社会で果たすべき役割の大きさと責任にしっかりと向き合い、思いを馳せ、行動していかなければならないと強く思っております。
だからこそ、自職場の最適のための内向きの都合にとらわれるのではなくて、お客様の笑顔と、550万人の仲間のために、各職場で自律的に決断と行動のサイクルをしっかりと回す。組織の壁を越えて、しっかりと連携をしていく。
その上で、マネジメントの皆さんもしっかりと巻き込みながら、自分たちの当たり前は世間と比べてどうなのか、もっとできることがあるのではないか、こうしたことを常に自問自答しながら、さらに競争力を高め、次の一歩を踏み出すための取り組みを、労使で力を合わせて確実な成果につなげていきたいと思っております。
引き続き組合活動へのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
近社長
鬼頭委員長からもありましたが、我々、こういう議論を尽くしているのはなぜなのか? 決して自分が気持ちよくなりたいからではなく、競争力を高めて、お客様に良品廉価なクルマを1日でも早く、1台でも多くお届けする、そのために我々は議論をしているわけです。
昨日の自分たちよりも良くなった、それは非常に重要なことだと思います。だけれども、本当に競争力を高める、本当にお客様に我々の商品を届けるために、今のままでいいのか、ということはずっと問い続けなければいけません。
そのためにやっているんだということを、絶対忘れてはいけないと鬼頭委員長の話を聞いて改めて思いました。
今日、一人ひとりのお話を聞いて、非常に嬉しく思ったことが多かったです。トラックに乗っていただくとか、経理のメンバーが現場の一人ひとりの作業を見るとか。そこには、今までにその人が経験したことのないコミュニケーションがあったと思います。コミュニケーションというのは別に会話だけではなくて、トラックに乗って見た景色みたいなものは、ものすごく多くの情報をその人に与えただろうと思います。
他にもいろいろ良い話がありましたけれども、自分の裁量で決められないという話もありました。自分の裁量を超える仕事をどうやっていくか? そこには、やはり連携なのか、コミュニケーションなのか、別のもう一歩踏み込んだ力が必要で、私は、それはコミュニケーションだと思います。自分の裁量を超えていると今まで思っていたけれど、他の人と話をしたら、自分はもっとこういうことができるんじゃないか、ということに気付き、自分の能力が上がっていく、アウトプットが上がっていくということを実感されるんじゃないかと思います。
鬼頭委員長が先ほどおっしゃった「努力と意欲を引き出していくのが組合の役割だ」というのは、会社も一緒です。メンバー一人ひとりの力をどう最大限発揮してもらうか。宮崎副社長もおっしゃっていましたが「5つのワーク」という話、良い話を聞かせていただいたと思いました。
それは全て一人ひとりの力を最大限発揮させるところにつながっていくんじゃないかと思いました。
連携という言葉もありましたけれども、我々自身もただ会話をすればいいという(ことではありません)。もちろん会話をスタートにする連携もあります。会話がいけないということではないんだけども、これだけでいいのかと。
中嶋副社長が言われたように、競争力を高めるために我々に求められているのは、もっと強い連携かもしれません。
繰り返しになりますが、コミュニケーションは会話だけではありません。自分が今まで触れたことのないものを見る、触れたことのない仕事を見る。現場から発せられる情報は、ものすごく強いと思います。経理の人が現場で見てくれた、こんなに苦労しているのかという、そんな情報はオフィスにいたら分からない。それが僕はコミュニケーションだと思うんです。
現場に行くということは、そういうことだと思います。モノが壊れるとか、ラインが止まるとか、こんなに強い情報はありません。だから人は成長するんだと思います。
我々はもっと皆さんにそういうところに行っていただくようにしますし、我々自身も行って、もっと強い情報を得て、そうすればモチベーションも高まります。
そういうことを皆さんと一緒にやっていきたいと新たに思いました。我々のためだけではなく、我々が支えているというとちょっと偉そうですけれども、一緒にやっている仲間のために我々がやるべきことだと思いますので、引き続き頑張っていきましょう。