クルマを日本の文化にするには、何が必要か。日本自動車会議所の定時総会と理事会が行われた日、豊田会長が自らの役割を「照明役」と語った意図とは。
2026年5月25日、日本自動車会議所(会議所)はトヨタアリーナ東京(東京都江東区)で定時総会と理事会を開催した。
総会では2025年度の事業実績と決算を報告と共に、26年度の事業計画と予算案、理事・監事の人事についての審議・承認も行われた。続く理事会では、豊田章男会長の再任と新たに2年の任期を務めることが決定。
豊田会長は2025年6月の会長就任時に「クルマをニッポンの文化に!」という言葉を掲げ、この1年でさまざまな活動を推進してきた。
2025年11月に行われたジャパンモビリティショー2025では、モータースポーツの未来に向けた公開会議を実施。2026年3月には、自動車産業で働く550万人や自動車ユーザーの社会貢献活動を表彰する「クルマ・文化・社会・パートナーシップ大賞(CSP大賞)」の表彰式に登壇した。
理事会後には政府関係者らも出席する懇親会が開かれ、挨拶に立った。
私の役割は「照明さん」
冒頭、豊田会長は総会前日のある出来事に触れた。自身がオーナーを務める「ROOKIE Racing」が、国内最速のレースとされる全日本スーパーフォーミュラ選手権でチームとして初優勝を果たしたというニュースだ。
悲願の瞬間を振り返るとともに、クルマを日本の文化にする上での自身の役割をこう語った。
豊田会長
皆さま、こんにちは。豊田でございます。
バスケをはじめとしたスポーツの聖地「TOYOTA ARENA TOKYO」での開催ということで、勝手ながら、モータースポーツの話からさせていただければと思います
昨日、私個人のレーシングチームが設立7年目にして、ようやく初優勝することができました。
トップドライバー達が集まる日本で一番スピードの速いレースです。私のチームで乗っていたのは福住仁嶺という20代のプロドライバー。
残念ながら昨日は鈴鹿に行けず中継を見ておりましたが、今回の初優勝で一番感動したのは、福住はトヨタのチームで乗っている選手なのに、真っ先に駆け寄ったのは岩佐歩夢とか太田格之進とか牧野任祐といったホンダのドライバー達。
ホンダの彼らが本当に嬉しそうに福住を祝福していました。
アスリートの世界にメーカーの壁はなく、純粋に称え合っている。なんだかすごく嬉しい気持ちになりました。
1年前、この場で「クルマをニッポンの文化に!」と掲げましたが、メーカーの壁や業界の壁をなくしていくことが、クルマを文化にしていく上ではすごく大事なことなんじゃないかなと。
優勝の余韻に浸っておりましたので冒頭、そんな話からさせていただきました。
この1年を振り返ると、日本自動車会議所でアメリカのレース(NASCAR)を招致したということもございました。
このイベントは、関税の話もある中でジョージ・グラス駐日米国大使にお会いする機会をいただいたことがきっかけでした。
グラス駐日大使もクルマが大好きということで、話が盛り上がった末に「モータースポーツを軸に日米文化交流をしよう」と盛り上がり、実現したものです。
イベント当日は、大使にもサーキットにお越しいただけて、こんな笑顔になっていただけました。
スポーツや文化を入り口にすると、政治・経済とは少し離れて笑顔で会話ができたということだと思います。
こんなにモータースポーツ関連の話をしていると、豊田章男が自動車会議所でやりたいことばかりやっていると言われてしまうようにも思っております。
もしかしたら、そうかもしれません。しかし、私の“やりたいこと”はブレません。
私のやりたいことは、日本のためだったり、自動車業界のためだったり、現場で頑張っている誰かのためだったり、必ず、自分ではなく、誰かのためにやるとことだと決めております。
おかげさまで、自動車会議所には「部品も含めた製造分野」「輸入車や中古車も含めた販売や整備の分野」「トラック・バス・タクシーといった運行の分野」そして「ユーザー団体であるJAF」や「モータースポーツに関わる多くの団体」が会員になってくださいました。
こうした自動車に関連するあらゆる現場に、私はスポットライトを当てていきたいと思っております。
こんなイメージです。
私の役割は「照明さん」。こんな役割が、私が目指す自動車会議所会長の姿なんじゃないかと、改めて思っております。
“クルマ好きのおじさん”が、自動車会議所会長という役割を与えていただいて、いろいろなところに光を当てていければきっと、クルマがニッポンの文化に近づいていけるんじゃないかと思ってございます。
皆さま改めまして、自動車会議所をよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。