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空のモビリティで地域を守る 「もっといいクルマづくり」の現場を防災拠点に

2026.05.15

レクサス新型車「TZ」の発表会場となったトヨタテクニカルセンター下山(TTC-S)。TTC-Sには災害時に豊田市民を守る防災拠点としての側面もあった。

5月7日にあった、レクサスの新型車「TZ」のワールドプレミア。

会場となった愛知県豊田市のトヨタテクニカルセンター下山(TTC-S)では、TTC-Sと周辺地域を結んだ防災訓練も行われていた。

200の集落が孤立

豊田市には、大規模災害が発生すると道路の寸断により陸の孤島になりかねない地域が多くある。太田稔彦 市長の言葉を借りれば、最悪の場合およそ200を超える集落が孤立する想定だという。

豊田市とトヨタは2013年に災害時の支援協力協定を締結しており、TTC‑Sも防災拠点としての役割を担うべく備えを進めてきた。

今回は、孤立の危険がある地域住民を守るうえで空のモビリティが役立つのではないかという観点で、ヘリコプターを活用した豊田市とトヨタによる合同防災訓練を実施。

例えば北東の稲武地区は山に囲まれた寒冷地で、他の地区との往来は主に2本の国道に依存している。これらが地震や積雪で寸断されると、毛布や生活物資の確保は空輸に頼る必要がある。

訓練ではTTC-Sを起点とし、トヨタの子会社「エアロトヨタ」が所有するヘリコプター3機が各地に支援物資を運搬した。

運搬先では物資の受け入れ作業も実施。さらに帰路では、生活が困難な住民や医療的配慮が必要とされる避難者をヘリコプターに乗せてTTC‑Sへ搬送する手順も検証した。

訓練に参加した太田市長や同市の消防団、近健太 社長らは、広大な敷地を活かしてヘリコプターの離着陸や物資集積が行えるTTC‑Sの、防災拠点としての適性を確認。道路状況に左右されない空のモビリティの実用性もチェックした。

太田市長(写真中央左)と近社長(中央)

災害時の空のモビリティを活用。実はここにはトヨタ自動車の創業者・豊田喜一郎から続く想いがある。

空のモビリティが守る自由

1923年9月1日に発生した関東大震災で、当時の主要な交通手段だった鉄道は壊滅的な被害を受けた。その際、アメリカ製のトラックを改造したバスが輸送手段として活躍したのを見た喜一郎は、自由な移動を支えるモビリティの必要性を痛感。

その10年後の1933年には、豊田自動織機製作所(豊田佐吉が創業。現在の豊田自動織機)内に、トヨタの前身となる自動車部を発足。1936年ごろには空のモビリティである航空機の研究にも着手し、43年にはヘリコプターの試作機を完成させている。

また、喜一郎は父・佐吉が震災をきっかけに進めた不燃性住宅の研究を引き継いだ際、このようにも語っている。

「不燃性の住宅を各都市にたくさん建て、その平らな屋上から自家用ヘリコプターでいろいろな所へ飛んでいく。そんな世界が必ず近い将来に来る」

“空から自由に移動する未来”への想いは、息子の豊田章一郎名誉会長にも受け継がれた。章一郎名誉会長は後年、空のモビリティで移動するという父の夢を述懐し、自らも同じ未来を描いていたという。

そして、その想いは豊田章男会長にも受け継がれ、2026年の年頭あいさつでは、豊田会長から従業員に共有された。

創業以来トヨタは、喜一郎の想いを引き継ぎ「陸・海・空」の360度でモビリティを充実させ、移動の自由と楽しみを届けることを目指している。

地域と共生するクルマづくり

さて、今回の防災訓練に戻って。

近社長は訓練現場で、豊田市の消防団に向けて、次のように話している。

近社長(写真中央)

会長の豊田が言っていたのが、(災害時には)生産を早く復旧したいという動きが社内で強まりそうになる。

しかし、第1は人命。第2に地域の復旧。生産再開はその後という、この順番は守らなきゃダメだと言われて、それだけは忘れないようにしています。

豊田会長はまた、2024年4月のTTC-S全面運用開始に際して「トヨタが下山に来て良かったと笑顔になっていただきたい」と語っている。

地域と共に生きながら、移動が秘める楽しさと自由を追い求める。そんなトヨタらしいクルマづくりはTTC‑Sでも続いていく。

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