機能の壁を越え、もっといいクルマづくりを追求する。時には本音でぶつかりながらも。眼前の難局を共有した労使。強い収益構造をつくるため、必要なのは覚悟と行動だ。
働こう
第1回で示した組合の覚悟に、会社は応えることができたのか。1時間40分に及んだ話し合い。
「自動車会社の使命は、お待たせしているお客様に1台でも多くクルマを届けること」
河合おやじの言葉に続いて、鬼頭委員長、佐藤社長が今回の話し合いをまとめ、次回への想いを語った。
鬼頭委員長
前回と今回にかけて、仕事の質を徹底的に上げるということについて議論させていただいた訳ですが、1回目で組合から示した覚悟について、一部会社の具体的な取り組みをお伺いすることができました。
やれることはすぐに実行に移していくんだという姿勢については、職場で変革を起こしていこうと動き出そうとしている組合員にとって、何よりも後押しになると思っています。
ただ、全ての人間が動かなければ、この危機は乗り越えられないんだということを改めて強く認識させていただきました。会社がやってくれるのを待つのではなく、他責にせず自分たちで動いていく。
組合として6万人の人間が行動宣言をしたということをお伝えさせていただきましたけれども、宣言しただけではダメなんです。しっかりと一人ひとりの想いを実現させていけるように組合として徹底的にフォローしていきたいと思っています。
本日の議論を通じて再確認できたのは、もう一歩踏み込んで、しっかりと生産性を高めていくこと。加えてトヨタの生命線である品質を守りながら、トヨタの財産である人づくりをしっかりと行っていくために、工程や領域、そして会社の垣根を越えて、みんながクルマづくりを自分事として捉えていく必要があると思っています。
領域を越えて互いの懐に踏み込んで、時には本音でぶつかり合いながら正味を追求していく。
その正味とは、単に仕事を効率化させるということではなく、自律的に前後工程に足を運び、自分の仕事はどのような影響を与えているのか、価値があるのか、想像力をしっかり養っていくことが重要だと思っています。
誰かに与えてもらうのを待つのではなく、自ら行動して情報収集し、視野を広げる。そして、自らを鍛え、技を磨き続ける。こうしたことは、私たちが目指す仕事の質を徹底的に上げるために、必要なことだと強く思っています。
本日の議論で、これまでの当たり前や一律のルールを前提としなければ我々にはもっとやれること、できることがあるということを再確認できたと思います。
第3回の労使協議会では、技を磨くための場をいかにしてつくっていくのか。そのためにどのような効率化、働き方が必要なのかということを議論させていただいたうえで、調整が当たり前に広がる職場を加速させるために、現在の制度や一律の仕組みのあり方について、聖域を設けず、踏み込んだ議論をさせていただきたいと思っています。
佐藤社長
本日お伝えしたいことは「働こう」、この一言です。何をどこまでやるか、決めて動き出しましょう。
冒頭鬼頭委員長が「それぞれが実力をどうやって上げていくのかを考えていきたい」とお話しされました。
自分で考えて、苦労して、何かをやり切った先にしか、やりがいもないし、達成感もない。そういう努力をすることによってしか、実力というのは身に付かないと思います。
私自身、現場を回ると、現場の一人ひとりの頑張りが見えます。本当にありがたいと思います。
ある意味、トヨタの現場に頑張ってない人なんていないんです。強く感じます。
でも同時に「今その頑張りで10年先、トヨタは戦っていけるのだろうか」「生き残れるだろうか」「トヨタは勝てるだろうか」とも思います。
今自動車産業は、多くの会社が本当に厳しい環境と戦っています。トヨタはそれらを超える世界一の頑張りがいるんです。同じことをやっていて、トヨタだけが勝ち残れる訳がないんです。
私たちには、前工程、後工程にたくさんの仲間がいます。話し合いの中にも出てきました。例えばお取引先、仕入先、1次の会社で480社あります。2次以降の会社さんを入れると、全部で6万社あります。自分たちとともに、必死に生き残りをかけて、努力してくださっている仲間が、そんなにいる。
我々は、そのたくさんの仲間を守っていきたい。必死に努力する仲間を絶対に置いていかない。
そう思ったときに、我々がとるべき行動って何だろうと、もう一度考えて欲しいと思います。
これは、目の前にいる組合の執行部の皆さんや会社の代表だけではなく、これを聞いてくれている全組合員、あるいはGM(グループマネージャー)や室長、部長たち、みんなに言いたいのですが、もしかしたら、自分には会社を変えることなんてできないと思っているかもしれない。
違うんです。一人ひとりが努力しなかったら会社は変わらない。そう思います。
ラグビーの例えが多いので、あまりラグビーの例えを使うのはよくないのかもしれませんが、ヴェルブリッツが開幕から7連敗。本当に長いトンネルを、選手は抜けた*。ものすごい快勝でした。
*2月21日、東芝ブレイブルーパス東京に52-21で勝利した。
(ヴェルブリッツに)どんな工夫をして、どんな特別な取り組みをしたんだと聞いたら「何も特別なことはしていない」と言うんです。
「開幕から自分たちのラグビーを見つめて、個々人が自分の役割を認識して、自分を高めて、チームのために勝つという共通の目標のために全員が努力した。それを続けてきて、あるところに来て、結果につながるようになった」と言ってくれました。
今の我々が目指すべきところと、同じなんじゃないかなと思います。
私たちは2年かけて足場固めをやってきました。自信を持ってください。自分たちを見つめて2年間戦ってきた。だからこそ、自分に自信を持って、自分で考えて会社を変えていこうと、一人ひとりが行動に移していきましょう。
そのときに「自分だけでは、何をやっていいかわからない」という不安もあると思います。その声をまず出してください。
GMさん、室長さん、部長さん、その声と向き合って「じゃあこういうことを一緒にやろうよ」と具体で話しかけてあげてください。
そういうコミュニケーションから、何をどこまでやるかというのを決めて、動き出しましょうよ。
「会社が」とか「組合が」とか言っていないで、「私たちは」とチームになって、何をやるかを決めていきたい。一緒に動こうと思います。
ぜひ次回、どうするかという話し合いをさせていただきたいと思います。次回の話し合いが、ものすごく大きな意味を持っていると思います。
次回の労使協は3月11日に開催する。