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2026.02.26
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生産性向上は従来の延長線上にないレベルで 生き残りかけ労使協議

2026.02.26

米国関税や他メーカーとの国際競争など、事業環境は一段と厳しさを増す自動車産業。生き残りをかけて、労使が実行に移すべきアクションは何か?

2026年のトヨタ労使協議会(労使協)が2月25日、愛知県豊田市のトヨタ自動車本社で実施された。

米国関税の影響をはじめ、不透明な状況が続く通商環境。多くの地域でコスト、開発スピードの競争は激しさを増す。

将来にわたってトヨタが生き残り続けるために、正しい危機感を持ち、生産性を高めるために取るべきアクションは何か?

今年もトヨタイムズでは回答日まで話し合いの様子をお伝えしていく。

第1回は、鬼頭圭介 委員長が「従来の当たり前や一律の考え方から脱却する覚悟を持ち、この場に臨んでいます。これまで労使で決めてきた一律のルールや制度であっても、変革の妨げになっているのであれば聖域なく見直していく」と覚悟を示して始まった。

組合の決意に応じたのは、6日にフォーメーションチェンジの会見に臨んだ佐藤恒治 社長、近健太 執行役員だった。

労使宣言

佐藤社長

これまで労使で確認してきました通り、今私たちは生き残りをかけた戦いの最中にいます。

この一年だけでもグローバルな事業環境は一段と厳しくなりました。米国の関税を始め、通商環境は見通しにくい状況が続いています。そして多くの地域で圧倒的なコスト競争力と、スピードがある競争相手との激しい戦いに直面しています。

気を抜けばすぐに足元をすくわれる。自動車産業全体でそんな戦いが既に始まっています。

我々は全ての仕事の前提を見直して、かつてないレベルで生産性を高めていかなければこの先の競争を勝ち抜くことはもちろん、モビリティカンパニーへの挑戦を続けていくこともできません。

全員が目の前にある仕事の仕組みやルール、そしてこれまでのやり方を一度疑ってみることが必要だと思います。

先ほど鬼頭委員長から「覚悟」という言葉をお伝えいただきました。組合の皆さんの想いを真正面から受け止めて、話し合いを進めていきたいと思います。

話し合いを始めるにあたって、改めて振り返りたいことがあります。1962年に締結された「労使宣言」、私たちの原点です。

当時は貿易の自由化、すなわち国際競争のスタートという大きな環境変化に直面したタイミングでした。

労使一体となって、この難局を乗り越えて、日本のトヨタから世界のトヨタへ飛躍していこうとそんな決意を明文化したのが、労使宣言でした。ぜひ原文を改めて皆さんにお読みいただきたいと思います。

そこには3つの柱が掲げられています。

1.自動車産業の興隆を通じて、国民経済の発展に寄与する。
2.労使関係は相互信頼を基盤とする。
3.生産性の向上を通じ企業の繁栄と、労働条件の維持改善をはかる。

これこそが、長年トヨタ労使が大切にしてきた価値観だと思います。当時と同じように大きな環境変化に直面する今だからこそ、改めて私たちの原点にある想いを全員で胸に刻みたいと思います。

日本はモノづくりの力で豊かになってきた国です。技術と技能を磨き、付加価値の高いものをつくり、輸出して外貨を稼ぐ。

それにより、製造業は資源を持たない日本の経済活動を支え、地域社会の発展・雇用、そして所得の向上に努めてきました。

そういった中でリード役を果たしてきたのが、自動車産業だと思います。私たちトヨタ労使の行動は、自動車産業550万人の仲間はもちろん、日本全体をもっと元気にしていくことにつながっていきます。

この使命感を持って、産業報国の想いを1つでも多く実践できるように、今年もトヨタらしく本音で話し合って行動につなげていきたいと思います。

佐藤社長の隣に座った、近執行役員。「生産性向上は待ったなし」と危機感を強めた。

近執行役員

生産性の向上、収益構造の改善は、本当に待ったなしの状況だと思っています。

我々にとって大事なこと、これは言うまでもなく、もっといいクルマづくりです。

ただそれは、強い収益構造がなければできません。リーマン・ショック前、トヨタ(の営業利益)が過去最高となりましたが、その影でいかに収益構造が崩れていたか。結果その翌年に赤字になり、トヨタの多くの事業活動が止まり、仕入先、販売店、我々も本当に仕事が続けられなく、つらい想いをしたということがあったと思います。

そのときに(豊田章男)会長が本当に必死で取り組まれました。批判を自身に集め、会社を守りながら引っ張ってこられた。それでも本当に長い時間がかかりました。

ですので「頑張ります」、「やります」、「できます」と、今は簡単に言える状況ではないと思います。ただ、もちろんやらなければいけません。一歩進められる労使協にしていきたいと思っています。

佐藤さんが言われた通り、本当に待ったなしの局面にあります。今までと同じやり方を続けていたら固定費は上がる一方です。老朽更新もあります。SDV(Software Defined Vehicle:ソフトウェアで定義されるクルマ)、電池、いろいろな投資も必要になります。今までと同じやり方では立ち行かない。そこにいわゆる「かつてないレベルの生産性向上」という言葉が出てきたんだと思います。

もう1つ、我々も思い切ってチャレンジをして、フルスイングをする。結果、それが固定費の増加につながってしまうことなく、損益分岐台数の改善につながるように、皆さんのチャレンジ、我々のフルスイングが収益構造を改善する方に向かうよう議論をして、行動していける話し合いにしたいと思っています。

佐藤社長、近執行役員に続いて、山本正裕 総務・人事本部長は、モノづくりの力が日本を豊かにしてきたことを、データに基づいて解説。

自動車産業の賃上げ推移が、ほかの産業を上回る水準であったことについては、ステークホルダーとともに生産性向上や商品などの付加価値の向上をはかってきた成果とし、春交渉は、毎年の単年の話になるかもしれないが、大事なことは中長期でやっていくことだと呼びかけた。

都道府県別に見た1人当たりの所得では、トップの東京の後に愛知、茨城、静岡、群馬と続く。これはサプライチェーンも含めた自動車産業がある地域だとして、日本がモノづくり大国、製造業の強い国であることを示した。

その上で、「モノづくりに携わる我々全員がこれからもこの国に貢献していく。それが本当に大事な使命じゃないかと思っています」と語り、改めて生産性、付加価値の向上は全員で取り組むべきことだと認識を合わせた。

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