
「気を抜いたら、すぐに普通の会社に戻ってしまう」。「トヨタらしさ」を次代へ引き継ぐために、今再び求められるのは、家族の会話だ。
組合には上も下も、中央も中央以外もない
鬼頭委員長

本年の労使協議会での話し合いを踏まえ、組合からも一言申し上げます。
私たちが身を置く自動車産業は、「モノづくり」の領域を超え、経済・環境・技術といったさまざまな分野に大きな影響を与える産業です。その中でトヨタ労使が果たすべき役割・責任は、極めて重たいものがあると改めて実感しております。
この状況下で私たちが目指すのは、自分たちが競争に打ち勝ち、生き残ることではありません。550万人の仲間と共に成長し、競争力を高め、安心して働き続けることができ、チャレンジできる環境を、未来の後輩や仲間たちに引き継いでいくことです。
これは産業としての持続可能性を高め、日本経済と社会に貢献し、世界中のお客様に幸せをお届けしていくために必要なことだと思っております。そのために組合として継続して、仲間の声を拾い、会社に届けながら一緒になって課題解決に取り組んでまいりたいと考えております。
また我々自身が未来に向けて競争力を高め続けていくために、従来の枠を疑い、職場を変えていくという決意・覚悟を行動に移すための労使の話し合いに進化させていく必要があると考えております。
ただ今回の労使協を通じて私が最も強く感じたのは、「労使協議会を中央だけのものにしてはいけない」ということです。
組合には、上も下も、中央も中央以外も、ありません。階層的な構造を徹底的に払拭し、支部や職場を超えた横のつながりを強化していくために、不退転の覚悟で取り組んでいく決意です。
トヨタ労使の共通の基盤は、「会社は従業員の幸せを願い、従業員は会社の発展を願う」という精神です。
・本当に会社が目指すことの実現のために全力で取り組むことができているか
・本当に働いている一人ひとりの幸せのために向き合うことができているか
・こうした覚悟をもって互いに向き合うことを、自ら常に意識し、厳しく問い続けることができているか
こうした考えが、この中央だけではなく、各職場で話し合いを行う際にも実践されるよう、改めていかなければならないと考えております。組合としては、今後、この点において徹底的にこだわりを持って取り組みを進めてまいります。各層のマネジメントの皆さんにおかれましても、同じ想いで向き合っていただきたいと思います。
最後になりますが、2019年以降労使共通の基盤を見つめ直し、各職場労使の向き合いも変えてまいりました。ただ、果たして、本当に前進させることができていたのか、考え直すきっかけとなった労使協でした。
「労使双方が相当な努力を重ねていかなければ、労使の話し合いを進化させていくことは絶対にできない」
そうしたことを肝に銘じ、互いの努力で一歩ずつ前に進めさせていただいたいと考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
最後に、議長を務めた河合満おやじが、労使双方に向かって行動を始めるよう呼びかけ、今年の労使協は幕を閉じた。
河合おやじ

今回の労使協では、第2回を本部ごとに行ったことで、「話し合い」の大切さを確認できたのではないでしょうか。
「労使関係は職場の人間関係の総和」です。一番身近な「話し合い」は、上司・部下とのコミュニケーションだと思います。まずはこの話し合いからスタートし、会社の危機感を自分事としてとらえ、自分のやりたいこと、やるべきことを、腹落ちするまで話し合って、行動に移して欲しいと思います。
その行動をふまえて、自分たちの働き方や職場を良くするために「自分はこれをこうするので、この部分を相談したい」とか、主体性を持って職場懇談会で、どんどん声を出して欲しいと思います。
そしてマネジメントは、必ず何か1つでも決めて行動に移してください。
こうしたやりとりを積み重ね、一人ひとりがやりがいを持ち、多様なメンバーの強みを活かせる職場を築くことが、将来にわたり生産性や競争力を支えるものになっていくと信じています。
全員参加で話し合い、5年、10年、50年先の未来の後輩たちが笑顔で働ける会社を目指して、確実に行動していきましょう。