モビリティ・カンパニーへの変革は、労使双方で継承すべきものを理解してこそ。第1回の話し合いでは、豊田章男社長の13年間を振り返った。
2月22日、第1回目のトヨタの労使協議会が行われ、会社から賃金・賞与について回答が言い渡された。本記事に先駆けた速報では、異例の初日回答に至った佐藤恒治(さとう・こうじ)次期社長の発言を掲載した。
詳報では、豊田章男社長が築いてきた体制から引き継ぐ2つの項目(「商品・地域軸の経営」「トヨタの労使関係」)についての議論をレポートする。
モビリティ・カンパニーへの変革。労使で何ができるか
話し合いに先立ち、議長の河合満おやじが、今回の協議は4月以降の新体制で実施することを説明。佐藤次期社長と組合の西野勝義委員長との間で、労使が引き継いでいくものについて認識を合わせた。
佐藤次期社長
豊田社長の想いを受け継ぎ、新体制のチームのキャプテンとして社長を務めることになりました。今年の労使協議会に臨むに当たり、豊田社長からは2つのお話がありました。
一つは、「4月から経営を担う新体制で、これからのトヨタについて労使の話し合いを深めてほしい。だから今年の労使協議会には出席をせず、新体制に任せる」ということ。
そしてもう一つは、「自分(豊田社長)は、労使協議会に出ない代わりに、工場や職場を回って、今まで以上に現場の皆さんと話し合う時間を増やしていきたい」ということでした。
その想いを受け止めて、豊田社長に見守っていただきながら、今年の労使協議を進めていきたいと思います。
新体制のテーマは「継承と進化」です。
この13年の商品と地域を軸とした経営を継承し、モビリティ・カンパニーへの変革という進化に挑戦することが私たちの使命です。
その上で、私たちの何よりも大切な基盤は「会社は従業員の幸せを願い、従業員は会社の繁栄を願う」という労使関係です。
労使で心ひとつに「継承と進化」に取り組んでいくために、本音の話し合いをしていきたいと思います。
組合・西野委員長
ただいま佐藤次期社長から「最も大切な基盤は『会社は従業員の幸せを願い、従業員は会社の繁栄を願う』という、先人たちからずっと受け継いできた労使関係である」という発言がありました。
これまで労使でつくり上げてきた相互信頼に基づく労使関係の重みも、新体制に引き継がれる決意を受け止めました。
豊田社長には、労使で「共通の基盤に立つ」というトヨタの労使関係の原点を大切にし、体現していただきました。だからこそ、今の労使の話し合い、関係があると思います。
佐藤次期社長が率いる新体制の皆さんとも、このかけがえのない大切な労使関係を守り、今後も発展していくべく、全力で取り組んでいきたいと思います。
本年はモビリティ・カンパニーへの変革に向けて労使でできること、やるべきことは何かについて議論していきたいと思います。
何を労使で大切にしてきたのか、何を今後継承して行くのかについて、共通の認識に立ったうえで議論を進めていきたいと思っております。
話し合いにあたり、豊田社長の13年間を振り返る動画を視聴。継承すべきものとして、トヨタの競争力の源泉である「商品と地域を軸とした経営」から議論は展開されていく。