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「クルマの未来を変えていこう」 質疑で深めた2つのテーマ

2023.04.11

「カーボンニュートラル」と「移動価値の拡張」。新経営陣が示した2つのテーマを、一問一答で掘り下げる。

テーマⅠ:カーボンニュートラル

会見の質疑応答でメディアを中心に最も多くの質問が寄せられたのが、トヨタのBEV戦略について。

2026年までに10モデルを新たに投入し、年間販売台数を150万台にすること、次世代BEVの投入で航続距離を2倍にすること、専任組織を新設することなどが打ち出されたことを受け、内容の詳細やBEVをめぐる各国・地域の政策への対応など、BEV戦略を掘り下げる質問が相次いだ。


――次世代BEVの専任組織設立の時期、具体的な体制は?

中嶋副社長

従来と構造もつくり方もガラッと変えるということで、新たなBEVの世界(を切り開いていきます)。

特に我々が目指しているのは、お客様へ「ワクワク」「ドキドキ」する商品を提供していくことです。

今までのしがらみを絶って、まったく新しいことにチャレンジするため、専任組織をつくることにしました。既にリーダーはアサインしており、組織も着々と準備が進んでいます。

実質、仕事はスタートしていて、明確な組織化はゴールデンウィーク明けです。ぜひご期待いただければと思います。

――昨年トヨタが販売したBEVは2.6万台。2026年までに150万台とするには、どのような投資が必要となるのか? BEVを製造する工場の数、電池の生産能力は? 元々のスケジュールより計画を早めたのか?

宮崎副社長

2030年までにBEV販売)350万台と説明したときから、ずっと準備を進めています。

急にアクセルを踏んでいるわけではありません。新しいのは本格的なBEV2026年に投入することで、150万台に向けては、計画通り、順調に進めてきました。

我々はHEVPHEVだけでマルチパスウェイと言っているわけではありません。BEVも含め、選択肢を広げる準備を進めてきました。

皆さんからすると遅いかもしれませんが、どのタイミングで言うべきか、今日まで見極めてきました。

バッテリーがなければBEVはつくれないので、一番大きなペースメーカーは、バッテリーの準備です。そういった意味で、バッテリーを準備する投資がかなりのウエイトを占めてきます。

ここがこれまでのモデルの投資と比べて、圧倒的にコストがかさむ部分になってきます。

先々はバッテリーの専用工場も視野に入れなきゃいけないと思っていますが、どう準備をしていくのが先々の汎用性が高く、競争力があるか、最後の見極めをしているところです。

BEVの工場も、都度変化をさせ、最終的には本格的なBEVをつくるのにふさわしい工場に仕立てていきたいと思っています。

――BEV化は米国、中国が先行している。トヨタは世界でどの位置にあり、世界に打ち勝つために何が必要か? 一方、BEV一本で進んできた欧州が方針転換をしている。全方位戦略にこだわったトヨタにとって、どんな意味を持つか?

佐藤社長

改めてお話ししたいのは「敵は炭素」。グローバル企業として、地球全体のCO2の低減に、現実的で今すぐやれることから取り組み、2050年の目標を達成する確実なステップを踏んでいきたいと思っています。

その前提で世界を見ると、再生可能エネルギーが進み、インフラの環境も整って、需要が高まっている地域とそうではない地域が偏在している。その現実から目を背けてはいけないと思っています。

グローバルにビジネスをするトヨタだからこそ、マルチパスウェイで「誰ひとり置いていかない」ことを大切に、事業計画を立てています。

一方で、エネルギー変換効率を考えたときに、電気というエネルギーの有用性も理解しており、BEVの開発、投入にも積極的に取り組んでいます。

これまでと何も変わっていませんが、BEVに対する具体的なファクトを十分に示せていなかったのかなと反省しています。

CO2低減をいかにプラクティカルに実現するかをこれからも大切に、地域に寄り添った取り組みを進めていきたいと思います。

2点目の質問はe-fuelに対する欧州委員会の判断についてと受け止めましたが、今の産業構造、社会環境を踏まえた現実的な提案がなされた側面はあると思います。

一方でe-fuelを生成するプロセスには、まだ課題もありますし、多くの技術的要素が残っていると認識しています。

それを本当に選択肢とするためには、エネルギー産業のみならず、自動車産業とも連携したさらなる技術開発が必要だと思っています。

我々は軸をブラさず、いろいろな技術開発に日々挑戦をしながら、選択肢となり得るよう開発を続けていきます。

――米国のインフレ抑制法では、北米地域以外から輸出した完成車はBEV税優遇の適用除外となっているが、多くの台数を輸出するトヨタの対応は? 北米の現地生産を増やす場合、国内工場や雇用への影響は?

宮崎副社長

いろいろなところで生産事業をしており、仕入先様を含めた雇用、サプライチェーンをしっかり守らなければと思っています。

現地需要の変化に合わせて、つくるクルマを変えていくのが大方針で、需要がさらに積み上がれば、現地生産を進めていくことになりますが、米国だとHEVPHEVBEVに置き換わる要素が強いのかなと考えています。

まず、今の現地生産の量の中で中身を変えていくことを考え、さらに伸びる要素があれば、そのときにどうしていくか、考えていきたいと思っています。

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