クラッチペダルもない、シフト操作もない!? ATだけどMTよりも速い⁉ モータースポーツの常識を変え、裾野を広げるかもしれない技術開発にトヨタが挑む。
モリゾウ「DATはゲームチェンジャー」
言い出しっぺのモリゾウもこの技術に大きな期待を寄せている。9月9~10日にかけて行われた全日本ラリー選手権第7戦ラリー北海道の生中継(トヨタイムズ)で、こう語っている。
DATはゲームチェンジャーになりますよ。「オートマチック=マニュアルより遅い。だけど誰でも運転できるから我慢しなさい」というものじゃないんです。
ぜひ実現(市販)したいと思っているし、多くの人に乗っていただくクルマになる。
S耐でわかったことは、プロと私ではシフトの差がある。直線で私が1回シフトすると、0.2秒遅れるんです。2回シフトすると0.5秒ぐらい遅れる。
それがDATだと遅れがないんです。だから、いつもよりプロと私の差が縮まった。アクセル、ブレーキに集中できるんですね。
実際にS耐もてぎの決勝では、プロドライバーの佐々木雅弘選手が最速ラップ2分11秒939だったのに対し、モリゾウは2分11秒953とほぼ互角。「DATの魅力」を存分にアピールした。
プロも実感するファンの期待
まだ、市販化の予定は立っていない。それまでに解決しなければならない課題も少なくないが、石浦ドライバーは既にこんな手応えを感じ始めているという。
ヒール&トゥーという技などを使いながら、サーキットでクルマをうまく操れる人はものすごく限られています。でも、DATであれば、どなたでもサーキットを気軽に走ることができます。
MTだと、ギヤを間違えたりした場合、エンジンの故障にもつながったりするので、どうしても怖くて、なかなか踏み出せない方もいるんです。
SNSに、「今回DATで出ている」と投稿したら、期待のコメントがたくさん入りました。
「サーキットをそのまま走れるんですか?」という声も多いので、シフト操作がネックで、サーキットに行く勇気が持てなかった人が結構いたんだなと思いました。
市販車に搭載され、モータースポーツをサステナブルな存在にするきっかけとなるのか。ラリーやサーキットで多くのファンに見守られながら、期待高まる新技術の開発が続けられている。