カーボンニュートラルの実現に向けて挑むスーパー耐久シリーズ。参戦2季目の水素エンジン技術の"進化"と仲間づくりの"深化"を総括する。
多様な選択肢を模索する動きは世界中にある
最終戦で、佐藤プレジデントは、国内外のOEM(完成車メーカー)やサプライヤーからも「話を聞かせてほしい」、「一緒にやりたい」と問い合わせが来ていると明かした。
佐藤プレジデント
問い合わせの内容から、どれくらいのこと(水素エンジンの開発)をやっているか、大体わかります。
何もやらずに「教えてください」という会社はあまりなくて、ある程度開発をやって悩みが出てきて、連絡をしてくる場合が多いです。
「研究している会社がたくさんあったんだ」というのが正直な感想で、潜在的な技術のニーズは確実にあったのだと思っています。
去年、開発を始めたばかりのときは、完全に孤立した状態で進めていましたが、この2年で大きく変わってきた実感はありますし、多様な選択肢を模索する動きは世界中で確実にあるのを感じています。
水素は完全にオープンにやっていくので、パートナーとして組める方々とは積極的にやっていこうと思います。
我々は、現場で実証をやっているので、リアルな世界で何が起きるかという点については、世界で一番先を走っていると思っています。
S耐の現場が水素の内燃機関に関する研究については、世界で最前線だと思います。
今年は、水素エンジンの取り組みが、S耐の枠を越えて、世界へ発信された年になった。
8月にはベルギーの公道で、水素エンジン車「GRヤリス」を使ってモリゾウやレジェンドドライバーのユハ・カンクネンがデモラン。
9月にはWECのドライバーたちが、モビリティリゾートもてぎを訪れ、ROOKIE Racingのドライバーたちと水素カローラでタイムアタックをした。
2季目となった2022年は、水素社会の実現へ向けた仲間づくりが世界へ広がる足掛かりをつくった1年となった。
後編ではカーボンニュートラル燃料で走るGR86の今シーズンを総括する。