クルマ文化発祥の地である欧州で、ヤリスがイヤーカーに選ばれた。豊田社長が喜びを倍増させた受賞の理由とは?
ヤリスがヨーロッパのカーオブザイヤーに選ばれた。
欧州9カ国、9自動車誌が主催し、過去1年に発売された乗用車から選ばれる。58回目となる今回は29車種から7車種が最終選考に残り、3月1日に開催された最終選考結果発表にてヤリスが“今年のクルマ”として選出された。
最終選考に残った競合を見渡すと欧州各社のバッテリーEV(BEV)かプラグインハイブリッド車(PHV)が多い。この中で、ヤリスの何が欧州で受け入れられたのか? カーオブザイヤーのホームページを見ると選考委員のコメントが載っている。
選考委員のコメント
■セグメント(コンパクトクラス)の中で非常に優れたオールラウンダーであり、クラス最高の安全機能を備えている。
■“大切なセグメント”における“大切な車”。トヨタは、この3気筒ハイブリッドによって、妥協することなく、CO2排出量削減に取り組み続けている。
■セグメントで最高のフルハイブリッドシステムだけで満足せず、トヨタはさらに改善してきた。より効率的で、使いやすく、そしてFun to Driveである。
■ハイブリッド化と効率性の大きな飛躍が信じられないほどの燃費数値を可能にした。
■何かが起きている…。今までのヤリスは、信頼性が高くて、燃費もよかったが、“とても退屈な小さな車”だった。新しいヤリスは、運転するのが楽しくて、乗り心地が良い。それでいて燃費と信頼性も高い。
■ハイブリッドシステムは小型車に適している。街に住む人たちは、多くの場合、家庭用充電を利用できない。しかし、ヤリスは、(EVでなくても)すぐれた燃費性能を誇り、街乗り時の静粛性(EV走行時)も実現している。
■今回の候補の中で一番のオールラウンダーだ。充電設備を持たない家に住んでいるお客様にとっては、ハイブリッド車(HV)がCO2削減のやり方になる。
■新しいプラットフォームのおかげで、カッコいいスモールハッチバック(2BOX車)に生まれ変わった。そして、乗り心地もよくなっている。
「乗って楽しい(Fun to Drive)」という点や「HVとしての燃費性能」が評価されている。
先日のトヨタイムズでも報じたが、ヤリスは開発当時の2015年に「発売予定を1年遅らせた」という経緯があった。
新型発売の遅延は、販売店など他社の経営状況にも影響を及ぼしかねないが、“お客様に笑顔になっていただけるクルマづくり”をしていこうと、発売の延期が決断されていた。結果として、新しいハイブリッドシステムが採用され、ヤリスのHVは従来モデルから50kgの軽量化を実現できた。今回の受賞は、その6年前の決断が、うれしい評価となって表れたということになる。
また、選考委員は、HVが街に住む人や充電設備を持たない家庭にとってのCO2削減の手段になっていくとコメントしている。
欧州でも都心部には集合住宅が多く、お客様が個別に充電設備を持つことは難しい。そうした生活実態に則した視点で、自動車の電動化が語られていることが、今回のカーオブザイヤーでは見えてきた。
カーオブザイヤー受賞に際し、トヨタイムズが豊田社長にコメントを求めたところ、以下のような答えが返ってきた。
豊田社長
歴史が深く、クルマに対しての想いが強い欧州の地で、コンパクトカーのヤリスが、カーオブザイヤーをいただけたこと、本当にうれしく思います。関係者の皆さま、ありがとうございました。
GRヤリスだけでなく、ノーマルのヤリスで“走り”を評価いただけたこと、そして“HV”が評価いただけたこと、受賞理由のコメントを聞き、そのうれしさは倍増いたしました。
トヨタの“電動化”は、HV、PHV、FCV(燃料電池車)、そしてBEVと“フルラインナップ”で展開しております。欧州カーオブザイヤーにおいて、HVを評価いただけたことは、今後、カーボンニュートラルに向けて取り組みを進めていこうとする私どもトヨタにとって、とても勇気づけられるものになりました。
これからも、お客様に笑顔になっていただけるような“もっといいクルマづくり”を進めてまいります。
東北の工場のみんな、フランスの工場のみんな、GRファクトリーのみんな、ヤリス、GRヤリス、ヤリスクロスに関わったみんな、そしてヤリスに乗っていただいているお客様、ありがとうございました!
さらに進化を遂げる我々のHVに、是非ご注目ください。