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2024.01.23
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「決断と責任を取るのが私の仕事」 豊田章男がリーダー200名に伝えたこと

2024.01.23

企業経営者や役員200名にトヨタ生産方式の講演を行った豊田章男会長。Q&Aセッションでは、リーダーの心得や経営判断について、寄せられた質問に答えた。

一つの選択肢じゃダメじゃない?

――トヨタは全方位でBEV(電気自動車)も、水素も、全部やると言う。これからのトヨタのクルマづくりの将来像に興味がある。将来をどう捉え、どう進めていくか聞かせてほしい。

豊田会長

そのご質問は回答に4時間ぐらいかかります()4分で回答しようとすると「一つの選択肢じゃダメじゃない?」と思っています。

カーボンニュートラルの山の登り方は、各国のエネルギー事情に関わってまいります。それと、今すぐできることをやろうという考えで、トヨタはやっております。

ご存知のように、トヨタはグローバルな会社で、フルラインナップメーカーです。「BEVだ」と言っておられる方は、どちらかというと、BEV 1本で戦っておられるところです。

BEVやFCEV(燃料電池車)はインフラとセットです。

ただ全世界では10億人の方が電気の通っていないところに住まれています。トヨタの場合、そうした地域にもクルマを供給しておりますので、BEV 1本の選択肢では、すべての方に移動を提供できません

だから、いろんな選択肢を持とうとしております。

そして、トヨタにあって他の会社にないのがHEV(ハイブリッド車)です。HEVを日本で2030年前に導入したおかげで、日本が唯一、先進国の中でCO223%も下げている国となりました。

ただ、メディア中心にどなたも説明をしてくれません。「トヨタはBEVで遅れている」としか言われません。

大事なことは、BEVにする、FCEVにするということではありません。敵はCO2です。なので、CO2を今すぐでも減らすことをみんなで考えようということです。

そして、どの地域や国、所得層の方からも、移動の自由を奪ってはいけないとトヨタは考えております。

今、オートサロンの途中ですが、昨日もその会場で「エンジンやるぞ!」とぶち上げました。

いくらBEVが進んだとしても、市場のシェアの3割だと思います。そうすると、あとの7割はHEVなり、FCEVなり、水素エンジンなり。そして、エンジン車は必ず残ると思います。

それは規制値、政治の力ではなく、お客様や市場が決めることだと思います。

だから、全世界で勝負をしているトヨタ自動車は、フルラインナップで、マルチパスウェイをやらせていただいております。

昨年のG7でやっと日本がマルチパスウェイと言い出しましたが、それまで3年間、そう言っていたのは、自動車業界でこの私1人であります。相当叩かれました。1人で戦っていくのは本当につらいことです。

自動車産業550万人の中で、エンジンに人生をかけて仕事をしてきた人が、急に「BEVだ」となると、「今までの人生、何だったんだろう」と感じられると思います。

そういう方々も「カーボンニュートラルに参加できるんだ」と元気をつけてもらうために、トヨタ自動車に対して、新しいエンジンのプロジェクトをお願いしておりますし、そのうち佐藤(恒治トヨタ自動車)社長から発表があると思います。

エンジン関係のサプライヤーさんに銀行がお金を貸さないということもございます。

未来はみんなでつくるものですし、一部の選択肢だけで、やらない方がいいと私は思っております。

日本には日本のやり方がある。何でも欧米に倣えとするのが本当の正解ではないと思います。市場とお客さんに選ばれていけば、きっと未来は変わってくると思います。

トヨタの考えに共感いただいた方は、応援いただきたいと思います。

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