全固体量産へ出光・トヨタがタッグ 「実現力」で狙う世界標準

2023.10.13

"次世代電池の本命"とも、"バッテリーEVのゲームチェンジャー"とも言われる全固体電池。日本産業の国際競争力を高めていくため、両社が手を組んだ。

両社タスクフォース立ち上げ

2027~28年の実用化、さらにその先の量産・事業化に向けてやるべきこととして、会見では、「電解質の品質、コストのつくり込み」「出光のパイロット設備を使った量産検証」「安定的な材料調達スキームの構築」が挙げられた。

両社はこれを推進するタスクフォースを結成する。技術・調達・物流・生産技術のメンバーからなるチームで、人数規模は「数十名」となる予定だ。

なお、固体電解質のパイロットプラント(大型量産実証)は2027年度に稼働を開始。まずは、年産数百トンで立ち上げ、市場に商品を送り出していく。

2030年以降に見据える量産フェーズでは、トヨタの商品計画を見ながら、年産数千トンクラス(車両数万台規模)を視野に入れているという。

「実現力」で日本発の革新を

「『クルマの未来を変えていく』。そのカギを握るのが、自動車産業とエネルギー産業の連携だと考えています」

会見でそう意気込んだ佐藤社長に、木藤社長は「『クルマの未来を変えていく』ことは『エネルギーの未来も変えていく』こと。エネルギーとモビリティの未来を変えることこそが、地球環境を守り、持続可能な社会の実現に大きく貢献できる」と応じた。

このほかにも会見では、両社のビジョンや価値観への共感や親和性が垣間見えるシーンがいくつもあった。

「『変革をカタチに』というビジョンを掲げる出光は、まさに『実現力』を真ん中に置いた企業経営をされています。トヨタも、モビリティカンパニーへの変革に向けて、ビジョンをクルマで具現化していくことを何よりも大切にしています。そんな両社が一緒にやるからこそ、その『実現力』は何倍にもなると思っております」(佐藤社長)

日本発のイノベーション“実現”へ手を結ぶ。ともに“変革”をビジョンに掲げる両社の産業を超えた挑戦が始まっている。

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