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550万人のために。正副会長の決意とは 自工会会見

2023.03.24

自工会 豊田章男会長が辞意表明から続投へ。そこに至るまでの経緯が明らかに。その内容をお伝えする。

続投へ、豊田会長がコメント

豊田会長

まず今回辞任を申し上げた経緯ですが、「トヨタの社長を降りるということは、自工会の会長を降りるということ」であり、その前提で様々な決断をしてまいりました。

私が自工会の活動に初めて参画させていただきましたのは、2010年のことになります。その翌年には、東日本大震災が発生し、日本全体が悲しみのどん底に突き落とされたとともに自動車産業も壊滅的な打撃を受け、世界各国の自動車生産に大きな影響を与えました。

それ以降、自工会の組織改革や現在のフルラインナップの副会長体制など、会長が変わったとしても「日本のため、未来のため、550万人の仲間とともに動く自工会」というブレない軸がつくれたのではないかと思っております。

そしてもう一つ喫緊の課題でもあります、カーボンニュートラルにおいても、それぞれの国や地域に合ったやり方でよいといった論調の変化も見え始め、共感してくださる方も増えてきたと実感をしております。

そう思いますと、トヨタの社長、自工会会長、そしてモリゾウという3つの顔を持っている私自身は、これから先はむしろ先頭に立たず、モリゾウとしての活動を継続することで、自動車産業、また550万人をサポートした方が変なバッシングを受けなくて良いのではないかと思いました。

そして辞任を決意いたしました。にもかかわらず、続投を決めましたのは、先ほど片山さんからもお話がありましたように、正副会長が一丸となって「チームで課題に取り組んでいく体制をつくりましょう」という具体的な提案をいただいたからです。

また、先ほどの話に戻りますが、東日本大震災の時に、私自身「自動車はみんなで一緒にやる産業」「どこか一社が欠けてもクルマはつくれない、バイクはつくれない、大型車はつくれない、軽自動車はつくれない」「日本の自動車産業は世界に必要とされている」ということを改めて実感をした次第です。

この経験が私自身の自工会活動のブレない軸になってきたと思いますし、早いもので、私が最初に自工会会長に就任してから、12年が経過しております。

就任の挨拶で私は2つの気概を持って自工会に取り組むことを約束しました。「国内の自動車産業を守り抜く気概」、もう一つは「世界の自動車産業をリードする気概」であり、そのために競争と協調を何よりも大切にしたいと申し上げました。

この気持ちは今もまったく変わっておりませんし、むしろ強くなっております。残された1年という任期の中で、副会長の皆様、そして理事の皆様、スタッフの皆様、550万人の未来の幸せにつながるよう尽力してまいりたいと思いますので、1年間の続投をお許しいただきたいと思います。

この後は、リモートで参加している記者からの質疑応答へ。

真っ先に問われたのが、「会長慰留からこの日の続投発表まで、なぜ2カ月もかかったのか」という点。これには、まず片山副会長が回答した。

片山副会長

会長職に対する負担が非常に高かった。チームで乗り切っていく必要があるということ。慰留をお願いする上で、我々副会長の覚悟が絶対不可欠だとなりました。具体的にチームをどうつくり込むかに時間を割きました。

そして、次に記者から問われたのは「自工会会長は、会員各社の執行トップが務める」という自工会の申し合わせを、今後どのようにしていくのか。

日髙副会長

申し合わせはひとつのガイドとして今後も守っていく。ただし、(次期トヨタ社長の)佐藤さんに副会長に入ってもらうことで、副会長体制は、ほぼ各社CEOになる。これがいちばん実効性が高いのでは(と判断しました)。

変化の時代に、日本の産業が勝ち残るために「今までのルールを守っていく」よりも、「実効性の高い体制」に主眼を置く。今後見直すタイミングがあれば見直せばいいんじゃないかと考えております。

三部副会長

スピード重視という意味では、執行トップが集まることで、自動車産業の方向性を即断即決できる。自身が決めたルールに縛られることなく「即断即決できる体制」が上位概念。

今後も自動車工業会として最適な体制、組織を議論していきたい。

豊田会長は、「あえて言えば、私は(自動車産業で働く)550万人に軸を置きたい。佐藤副会長はトヨタ関連企業の37万人を軸にさせていただく。そんな役割分担」と語った。

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