何が正解かわからない。そんな時代だからこそ、トヨタの進むべき道が明確に示された。その全文を公開する。
フルラインアップにこだわる理由
豊田社長
そして、もうひとつ。「グローバル企業」であることを常に意識しているのが「カーボンニュートラル」への取り組みです。
「グローバル・フルラインアップ」。これが、今のトヨタを一言で表す言葉だと思います。
この13年、みんなで「町いちばん」を目指し、それぞれの「現場」で「もっといいクルマづくり」に取り組んできた結果、「商品」が大きく変わりました。
クラウンやカローラといった「ロングセラー」が息を吹き返し、86やスープラ、GRヤリスといった「スポーツカー」も復活しました。
働くクルマ、商用車も大切にしています。ハイブリッドからバッテリーEV、水素まで、電動車もフルラインで揃っています。
「TNGA」と「カンパニー制」と「地域制」。この3つが相まって、世の中が必要とするどんなジャンルのクルマでも、それを一番に考え、実現できる人が、いまのトヨタにはいます。
だからこそ私たちは、カーボンニュートラルという難題に直面しても、それぞれの国や地域にふさわしい山の登り方や「マルチパスウェイ」を提案できるのだと思っております。
世界を見渡せば、エネルギーの状況は様々で、電力インフラが十分に整っていない地域もたくさんあります。クルマがライフラインとなっている人たちもたくさんいます。みんな、私たちのお客様であり、みんな、置かれている「現実」が違うのです。
「誰ひとり取り残さない」。「すべての人に移動の自由を」。
そう願うからこそ、私たちは「グローバル・フルラインアップ」にこだわり、日々、努力を続けているのです。
昨年は、こうした取り組みが大きく前進した年でもありました。こちらの映像をご覧ください。
この物語には続きがあります。
昨年8月。WRCベルギーで、私はモリゾウとして、水素エンジンを載せた「GRヤリス」のデモ走行を実施いたしました。コ・ドライバーはWRCチャンピオンに4回も輝いたユハ・カンクネンさんにお願いしました。
ラリーの「音」とカーボンニュートラルを両立する選択肢があることを欧州の人たちにお伝えできたと思っています。
そして、11月。待ちに待った日本でのWRCを開催することができました。多くの地元ファンの目の前で、勝田貴元選手をはじめ、世界最高のプロドライバーが、ラリーの凄さを体現してくれました。
そしてラリー界のレジェンド、トミ・マキネンさんが「GRヤリスH2」の、ユハ・カンクネンさんが「ラリー2」のハンドルを握り、「クルマ屋がつくる未来は楽しいぞ!」ということを伝えてくれました。
そして12月。舞台はタイへと移ってまいります。