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2022.10.18

豊田章男がプロデュースした"エンジン音とレース仲間と過ごすホテルの門出"

2022.10.18

モータースポーツ好きを照れずに話す会(⑧三橋仁明)

このインタビューを撮影しているフォトグラファーに声がかかる。モータースポーツフォトグラファーの三橋仁明である。

【可夢偉】

虫に刺されながら、日焼けをしながら、どんなになっても写真に命をかける…。間違いなくモータースポーツ好きと思われる三橋さんに話を聞きたいなと思います。

【ピエール北川】

モータースポーツのあらゆる現場にいらっしゃるフォトグラファー。どれだけサーキット好きなんですか?

【三橋】

モータースポーツに対する愛があふれているので、クルマに関わるイベントなら、どこへでも行きます。

【ピエール北川】

なんでそんなにのめり込めるんですか?

【三橋】

三重県伊勢市の出身で鈴鹿サーキットまで近かったんです。子供のころって、鈴鹿はレーシングコースじゃなくて、やっぱり遊園地だったんですよ。すごく記憶にあるのは“そこで聞こえてくるエンジンの音”がすごい心地よかった。

いま思うと、その音は、星野一義さんや中嶋悟さんが1000分の1を競って走っていたあの音。それが原体験になるのかなと思っています。

【可夢偉】

これが未来に向けて大事なポイントかもしれない。原体験をさせてあげられること。サーキットが子供にとってそういう場所になっていければ、三橋さんみたいに20年後にフォトグラファーになってるかもしれない。

この記事に掲載している写真は全て三橋仁明の撮ったものである。なので、三橋が愛を語っているシーンだけ写真がない。致し方ないが残念である。

モータースポーツ好きを照れずに話す会(⑨ピエール北川)

ここでインタビューコーナーは時間が来た。最後に可夢偉が、もうひとり指名した。「ピエールさん! ピエールさんって、一番レースを特等席で見てると思う。ピエールさんの愛を語ってください!」

【ピエール北川】

僕も同じ三重県出身なんですけど、子供のころ、祖父の家にいるとエンジンの音が聞こえてきて興味を持って…そこから始まってるんです。自分は飽き性で、この仕事に至るまで散々転職を繰り返していました。この仕事をはじめたとき、3年続いたら本物だなって思ってやっていたんですね。いま気づいたら30年喋ってますから…。それだけモータースポーツ好きなのかなって思います。

あと…、今になっても、すごいレースを見せてもらえると鳥肌が立つし、リタイアを見ると心が苦しくなるし、そういう感情の浮き沈みが激しいレースっていうのは、僕にとっては“離れられない”んですよね。

モータースポーツは運転する人だけが戦っているわけじゃない。クルマをつくる人、整備する人、作戦を考える人、そのメンバーをサポートする人。そして、その人たちの戦いを伝える人。みんなに共通する“モータースポーツ愛”が、照れることなく共有される時間になった。

余興はギターでエンジン音

インタビューコーナーが終わると、“ギターでエンジン音を再現するギタリスト”が出てきた。そのギター音を聞き“どんなクルマか?”“誰の運転か?”“どこのサーキットか?”を当てるクイズ形式である。記事では、それ以上の説明が難しいが、興味のある方は、そのギタリストの映像を見ていただきたい。

ちなみに、そのギタリストも三重県鈴鹿市出身。小さいころから、サーキットのエンジン音に慣れ親しんできた結果、「ギターでエンジン音を再現してみよう」と思いつくようになったらしい。

モータースポーツは“花”のある世界

最後に“中締め”として出てきたのは、この会のホスト 豊田章男だ。

【豊田章男 挨拶全文】

皆さまお楽しみいただけましたでしょうか。 昨年「五輪は許されても、四輪と二輪は許されない」と言いましたが、本来、世の中で“輪”と数えるのはタイヤと花だけなんです。普通の草花は一本、二本と数えますけど、花が咲くと一輪、二輪となります。 モータースポーツは四輪・二輪…。つまりがある世界なんだと思います。

そして、その花となるべき方々は、ここにお集まりいただいたチームオーナー、ドライバー、メカニック、エンジニア、レースクイーン、クルマやバイクをつくっている人たち…たくさん集まると大輪の花になります。ファンは花を見にまいります。

また、輪(りん)は、輪(わ)とも読みます。個性ある花が集まる輪となり、仲間となっていく…、今夜がそんな決起大会になっていたらいいなと思います。

皆さま、シーズン中のお忙しい中でお集まりいただきました。レース場ではライバルとして戦う間柄なので、こういったコミュニケーションできていなかったと思いますけど、ぜひともこれを機会に、戦うときは戦う。しかしながら、一緒にレース業界を盛り上げるときには、ぜひとなって、皆さんの力で大きな花を咲かせたいと思います。

ここ富士スピードウェイも変革がはじまり、今は一本ずつ木を植えております。この場所は“モータースポーツフォレスト”、すなわち“森”と命名させていただいております。

今は一本一本の木であります。ちょうど今日のこのパーティーのようであります。しかしながら、それが大きな森になるためには、やはり皆さまの情熱を持った行動がきっと未来の姿を変えると思いますので、高いところからではございますが、皆さま方へのお礼と、今夜ここで友人になれた…ことを祈念して、御礼の挨拶に変えさせていただきます。本日は本当にありがとうございました。

「モータースポーツは四輪・二輪、つまりがある世界なんだと思います」。この言葉が出たとき、会場から拍手が起き、歓声が上がっていた。

ファンやスポンサーの減少、カーボンニュートラルの実現…。課題山積のモータースポーツ。業界の情熱がひとつにまとまった“この夜”は、きっとモータースポーツの明るい未来につながっていく。

三橋仁明=写真

photographs by Noriaki Mitsuhashi / N-RAK PHOTO AGENCY
写真家。1976年三重県伊勢市生まれ。ROOKIE Racing専属フォトグラファー。F1、ルマン24時間、ニュル24時間、スーパーフォーミュラ、スーパーGT、スーパー耐久などのモータースポーツを舞台に、世界中のサーキットを駆け回る。

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