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2022.10.18
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豊田章男がプロデュースした"エンジン音とレース仲間と過ごすホテルの門出"

2022.10.18

約束は一つ。「自分がいかにモータースポーツが好きか?」を照れずに話してみる。日本のモータースポーツ関係者が、メーカーの垣根を越えて一堂に会した。

モータースポーツ好きを照れずに話す会(④中嶋悟)

F1にフルシーズン参戦した最初の日本人ドライバーであり、現在はSuper GT、スーパーフォーミュラに参戦するチームのオーナーでもある中嶋悟。そのチームも40周年。それを支えたのも、やはり“愛”だという。

【中嶋】

愛がなければ、40年、50年もやってないでしょ。私事ですが、会社(中嶋企画)が40周年です。自動車レース一筋で、ここまでチームをやってこれたので、これも一つの愛でしょうか…。

モータースポーツ好きを照れずに話す会(⑤関谷正徳)

次にマイクを向けられたのは関谷正徳だ。ル・マン24時間レースの日本人初の総合優勝に輝いたドライバー。今はTOYOTA GAZOO Racing Driver Challenge Programというトヨタのレーサー育成プログラムの校長先生を務めたり、女性だけが戦うKYOJO CUPというレースなどを主催している。

実は、会の冒頭でちょっとしたハプニングがあった。可夢偉が挨拶の中でレジェンドドライバーたちに触れた際、関谷の名前を“ど忘れ”したのだ。もちろん可夢偉もこのプログラムの出身、関谷は大恩師である。ここの会話は、可夢偉の“平謝り”からはじまった。

【可夢偉】

この度は本当にすみませんでした。

【豊田章男】

わざと忘れたの?

【関谷】

俺は全然気にしていない。そういうやつだから…。全然問題ない!(笑)。本当はすごく義理人情に厚いから…。

でも、俺は、そういうの求めないの。若い衆いっぱいいたけど、そういうの求めたら、ボロボロになっちゃう。生きていけない(笑)

笑って水に流されたところで、レーシングスクールの話や、レースの主催についての話になる。

【関谷】

(スクールをやっていて)うれしいのは…。トヨタがスクールを開いてくれて、このスクールに来た若い衆が、みんな、この世界で生きて食っていってる…。これがね“俺の誇り”! 一人だけ家業を継ぐために自主的に辞めたやつがいるんだけど…。

辞めた一人とは“国本京佑”である。マカオグランプリで優勝するほど才能あふれるドライバーだった。兄弟ドライバーで、弟の雄資はドライバーを続け、トップカテゴリーに参戦している。雄資も呼ばれ、マイクが渡された。

【関谷】

兄ちゃん、いい男だよね。

【雄資】

お兄ちゃんは今でもレースが好きなので、僕のレースを見たりとかしてくれています。

【ピエール北川】

じゃ、お兄ちゃんのレース愛はずっと続いてるわけね?

【雄資】

はい!

この後、国本兄の思い出話にしばし花が咲く。あえて辞めていったドライバーにスポットを当てた関谷に“育成者の深い愛情”を感じるシーンだった。その後、関谷自身の話にも至る。

【関谷】

僕の愛はでかくて…、舘会長や星野さんのようにチームは持てなかったが、モータースポーツのために生きている…と自分では思っている。

叶うかどうかわかりませんけど…、女子プロゴルフってあるでしょ!? 今や男子プロを通り越して人気がある。モータースポーツで女性が頑張って活躍していける環境をつくって、モータースポーツを盛り上げたいと思ってる。できるとこまで、それを実現していきたい!

レジェンドドライバーたちは大きな愛で後輩を育て、様々なやり方で、この業界を未来につなごうとしている。そんな大先輩たちの想いが感じられたインタビューとなっていた。

モータースポーツ好きを照れずに話す会(⑥藤波清斗)

若手ドライバーにもマイクが向けられた。日産の藤波清斗が“勢いある若手”として、千代から紹介された。この時点でSuper GT GT 300クラスのポイントリーダーだ。しかし、それが理由で焦点が当てられたわけではなかった。

【千代】

藤波は若手の中でも、先ほど、星野さんや近藤さんが「現役世代もチームをつくってほしい」と話していたが、彼はそういうことをやっている。他にも、新しいことをいろいろやっているので、そんな話を聞きたいと思っています。

【藤波】

出資は他の方にしていただいていますが、そこにアドバイザーとして参画しています。モータースポーツに入る間口がもっと広がるようVITA(初心者向けに作られたレース車両)をレンタルして、技術を教えたりということをやらせてもらっています。

【千代】

彼は“カッコいい動画”なんかも上げるんですよ。

【藤波】

モータースポーツを今まで見る機会がなかった人たちに、見てもらう場ができればと思ってTikTokでやってる感じです。モータースポーツを“盛り上げたい”、“見てほしい”、それで知ることによってレースの面白さとか、ドライビングの技術などを見てもらえるといいなと思っています。

【可夢偉】

(藤波のやっていることは)すごくハングリーでいいなって思うんですよね。いいなと思ったことをどんどん吸収して、それがこの業界のためになるって思ったら、どんどんやるべきですよね。それが清斗のスタイルなのかなって感じてます。

若手ながら、モータースポーツ愛が強く、いろいろなことにチャレンジしているドライバーもいる。おそらく、幹事の2人は、そうしたことを大先輩たちにも伝えたかったのであろう。

モータースポーツ好きを照れずに話す会(⑦綱澤杏美)

モータースポーツはドライバーだけで成り立っているわけではない。周囲で支える人がいるからドライバーは戦えている。そんな人たちからもモータースポーツ愛が語られた。

最初にマイクを向けられたのは元々レースクイーンで、今はチームのマネージャーをやっている綱澤杏美だった。

【ピエール北川】

マネージャーって、朝から晩まで動き回って、本当に大変な仕事だと思うけど…、なぜ、そんな裏方をやろうと思ったの?

【綱澤】

レースをやっている人たちの活躍できる場所で、自分がやれることで、支えることができたらなと思って、一歩踏み出させていただいたんです。やっぱりレースの現場をつくっている人たちが好きなので…。

体力的にはキツイこともあるんですけど、気持ちが充実している分、パフォーマンスが高いのかなって思っています。これからもモータースポーツの現場の支えになっていけたらなって思っています。

【可夢偉】

楽しいの?

【綱澤】

楽しいですよ! レースの現場にいる人たちって高齢化してたりして、人間臭い方々もいらっしゃいますけど、その方々に合わせて、自分が支えていけたらなって思っていますし、自分を試せる現場でもあるかなって感じています。

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