コラム
2024.04.19
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ゴミには価値がないって本当?クルマになれなかった素材のお話

2024.04.19

リデュース、リユース、リサイクル。それでも生かされなかった素材が変身!脳みそのような不気味な素材までが...

1分1秒でも

開発試作部 開発・DX革新室 藤原主任

エアバッグの端材は、染色してカバンなどにアップサイクルされる

レザーの端材からIDカードホルダーをつくると、今度は“切れ端”の2次端材が発生します。これを生かすために、小さな栞(しおり)をつくりました。将来的には「100%使い切る」ことを目標に日々取り組んでいます。

中村主幹

正直なところ、何年取り組めば廃棄をゼロにできるか分かりません。でも確実に言えることは、11秒でも続けなければゴミは減らせないということ。継続が何より重要です。

アップサイクルにより廃棄物を減らすと、CO₂排出量や処理費用も削減に。新事業企画部の中西勇太本部長はこう話す。

新事業企画部 中西本部長

このような取り組みは単発で終わると意味がありません。CO₂や廃棄物の削減など、社会的意義の大きいこのプロジェクトを、いかに持続可能な事業として育てていくかが大切なポイントになります。

メンバーには「この取り組みでCO₂や廃棄物を何トン減らすことができたか」など、利益以外のKPIも設定して社会に貢献していこうと伝えています。

今では応援してくれる社内の仲間も増えた。総務・人事本部の社員は「カーボンニュートラルを語るストーリーテリング用ツール」として、IDカードホルダーの使用が決定。さらにECサイトの販売などで、社外にもファンは増えている。

藤原主任

いい商品をつくらなければ使っていただけないですし、使われずに捨てられれば再びゴミになる。素材の機能は申し分ないので、一生使いたくなる商品を開発したいと考えています。

オープンマインドなモノづくり

魅力ある商品づくりへ、社外クリエイターなど仲間づくりも加速。冒頭の脳みそのようなパージ材から生まれたフラワーベースやワインホルダーは、学生とのワークショップから生まれたアイデアだ。

新事業企画部 事業開発室 髙木忍主幹

学生との共創では2つの驚きがありました。ひとつは物の見え方の違い。「廃棄物」が、学生さんにとっては「かわいい」とか「カッコイイ」になる。

ふたつ目はアイデアの違い。パージ材がフラワーベースやワインホルダーになるなんてクルマ屋の我々にはなかった発想です。

トヨタの工場からはこんな声も。

下山工場FC製造部 内木龍

クルマの製造に携わる者として、廃棄物を出してしまうことに後ろめたさを感じていました。廃棄物を減らせるなんてすごくうれしいです。

内木によると、廃棄されるパージ材は毎日約20kg、月に400kgほど発生。これまでは産業廃棄物業者により焼却処分されていた。

洗練されたデザインを叶えるため、トヨタの匠の技も生かされている。

下山工場FC製造部 安間滉太

パージ材は割れたり歪んだり難しかったですが、過去も様々なナイロン素材を加工してきたのでその経験を生かしてクリアすることができました。

普段つくっているパーツと違い、お客様が直接見て触れるものなので、つくっていて楽しいです。

地域に貢献できるプロジェクトでありたい

シートレザーの端材仕分けは、障がいのある方々が働く愛知県豊田市のグループ会社、トヨタループスが担当。障がいのある方々の雇用創出にもつながっている。

仕分けられたレザー端材は愛知県春日井市の革工房に運ばれ、ベテラン職人の手作業でつくられる。地域の産業を支える一面も。

「バッグ用と違ってクルマのレザーは厚さが一定でとても縫いやすい。クルマのシートに使われているだけあって強度も十分」と語る。

最後に中村はこう付け加えた。

中村主幹

廃棄物が100%循環する未来は、トヨタ単独では成し得ないと痛感しています。みんなで廃棄物を集めて、みんなでアイデアを出してモノづくりをし、みんなで商品を届け、みんなで大切に使い続けていく。

いろんな人に助けていただきながら、ともに歩んでいくのもこのプロジェクトの特徴です。全員で『「モッタイナイ」が「もっといい」に変わり続ける未来』を目指しています。

今後は商品拡充だけではなく、アパレルブランドとのタイアップも進行中。他では買えないトヨタならではのコレクション。クルマ好きの皆さんにもぜひ注目いただきたい!

後列左から GR車両開発部 斉藤、開発試作部 藤原、新事業企画部 髙木、永田、㈲znug design 根津さん 前列左から 新事業企画部 益田・中村・藤村
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