もしもの災害時、ご家族の安全のためにも知っていただきたい、車中泊に関する大切な情報をお届けする。
この記事を読むと、もしもの時に大切な人を救えるかもしれない。
近年、キャンプブームや、自然災害時の避難先として車中泊(しゃちゅうはく)に注目が集まっている。しかし正しい知識を持っていないと、エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)など命の危険も…
2次被害を少しでも減らすための「正しい車中泊」の情報を、ぜひお読みいただきたい。能登半島地震により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
なぜ、避難所ではなく車中泊を選ぶのか
1月1日、16:10
能登半島地震により、避難者の多くが車中泊を余儀なくされた。2016年の熊本地震でも、6割もの方が車中泊避難を経験されたという。
なぜ自宅や避難所ではなく、車中泊を選ぶ人が多かったのか。熊本県の調査でいくつかの事情が明らかになった。
・大きな余震が何度も続き、いつ倒壊するか分からない家では休めない
・避難所で寝泊まりしている間、泥棒に入られる不安もある
・避難所にペットを連れ込むことが難しかった
多くの方が悩み抜いたうえで、車内がいちばん安全だと考え、車中泊を「最後の砦」にされたのだ。それなのに車中泊避難が災害関連死につながるという、胸が張り裂けそうな悲しいできごとが起こっていた。
エコノミークラス症候群は、前触れがなく突然発症する。だからこそ「車中泊してから」ではなく「平時からの啓発」が重要だ。
トヨタの社会貢献推進部では2020年、どんなクルマでも安全に車中泊ができるように、車種ごとの情報をまとめた「車中泊避難ヘルプBOOK」を制作。Webで公開している。
この記事でも、大切な情報をいくつか紹介していく。
わずか4時間で発症のリスクが…
被災直後は、支援隊や救援物資が届かないことも多い。
人命救助のタイムリミットと言われる最初の72時間をしのぐため、普段から車中泊を想定しておくことが大切なのだが、注意すべきポイントをご存じだろうか。
積雪などで排気管がふさがれると、一酸化炭素中毒のリスクが高くなる。キャンプなどの車中泊でも、壁や草で排気管がふさがれないかを注意していただきたい。
そして、エコノミークラス症候群の予防も重要だ。
食事や水分を十分に取れずに長時間座っていると、わずか4時間で発症のリスクが高まると言われている。
過去の状況から、被災時にトイレ事情が整っていないことで水分摂取を控える傾向があるとの報告もあるが、水分摂取は1日1リットルを目安にしていただきたい。
着圧ソックスを履くことも有効だ。車内では足を伸ばして過ごすことが大切だが、そのための「シートアレンジ」で知っていただきたいことがある。
足元は、座面と同じ高さになるように荷物やクッションなどで調整すれば、足を上げて休める。さらに腰や背中の部分も大判のタオルやクッションで埋めて、沈み込まないようにすると寝返りも打ちやすくなる。
また、ヘッドレストは反転して差し込むと、就寝しやすくなるのだ(一部車種は非対応)。
Webページでは、ボディタイプごとにフラットな空間をつくる方法が記載されている。ぜひご自身のクルマの情報をチェックしていただきたい。
エコノミークラス症候群以外にも、多くのリスクとその対応方法が記載されている。正しく知ることが、家族を守る力になるのだ。
次のページでは、車中泊しやすいクルマについてさらなる情報を紹介する。