コラム
2024.04.19
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ゴミには価値がないって本当?クルマになれなかった素材のお話

2024.04.19

リデュース、リユース、リサイクル。それでも生かされなかった素材が変身!脳みそのような不気味な素材までが...

突然だが、以下のペンケースやカードケースにはある“共通点”がある。お分かりだろうか? 

実はすべて、捨てられるはずのクルマのシート用レザーでつくられたアップサイクル製品だ。レクサスのシート用素材も含まれていてネット購入も可能。

以下のバッグなどのアイテムも、ある端材をアップサイクルしたアイテムだ。どの部分かお分かりだろうか?

答えはエアバッグ。ちなみにバッグの持ち手はシートベルトの端材である。次は、カーボン織目模様の意匠を纏った名刺入れとキーホルダー。この素材は…

カーボンファイバーと樹脂とのリサイクル可能な複合材と、クラウンのレザーシートの端材でできている。つまりはリアルなカーボン。全国3店舗(横浜都筑・愛知高辻・福岡天神)のクラウン専門店で購入可能だという。

脳みそのようなグロテスクな物体が…

では、これは一体何かお分かりだろうか?

このグロテスクな物体は、FCEV用水素タンクの樹脂パーツを射出成形する際に発生してしまうパージ材である。と言われても「あぁ、あれね!」という方はあまりいないだろう。

説明を加えると、FCEVの水素タンクの樹脂パーツは、溶かした樹脂を金型に流し込んでつくる。

設備の配管に溜まった樹脂は、酸化して不良品の原因に。そのため溜まった樹脂を毎日稼働の始めに排出する必要が…

排出された物体が、冷えて固まったものが先ほどの脳みそのような物体だ。では、あの不気味な素材がどう生まれ変わるのか?

廃棄せず四角く固め、それを加工すると大理石のような上品な模様に

絡み合った樹脂の形状から、なんと大理石のようなインテリアに変身!商品化に向けた検討が続いている。

なぜ今、トヨタがやるの?

すでに多くの企業が、捨てられるはずだった廃棄物の商品化に取り組んでいる。なぜ後発のトヨタが追随するのか?失礼を承知で聞いてみると…

新事業企画部 事業開発室 中村慶至主幹

例えばシート用の牛皮は、小さなキズやシワがあるだけで使用できなかったり、型をくり抜いた隙間や端が余ったり「クルマになれずに捨てられる部分」が発生してしまいます。

厳しい基準を超えてクルマになるはずだった素材。だから耐久性や軽さなどに優れている。なのに焼却廃棄されCO₂まで排出…。何とかしたい!とプロジェクトを立ち上げました。

クルマは約3万点の部品で出来ている。多くの部品を扱う自動車メーカーだからこそアップサイクルに取り組む意義は大きい。

クルマの生産工程での廃棄物は、原材料として再活用する「リサイクル」、使用量や廃棄量を減らす「リデュース」、繰り返し使う「リユース」で大きく削減されている。

そのいずれにも当てはまらず、廃棄される運命になった素材たちに、新たな命を吹き込むことがアップサイクルだ。いわば、廃棄物を救う最後の砦。

GR車種のエンジンピストン廃材を使った時計も試作中だ

「他メーカーが取り組んでいるからやらない」のではなく「やらないと廃棄物が出つづける」。我々は製造現場も取材。すると環境面以外にも意義が…?

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