すごい未来が待っている!? 夢のクルマが伝えたいこと

2023.10.12

トヨタ博物館では、歴代の個性的すぎるエコカーを展示。そんな中、カーボンニュートラルへの革新的な研究が進んでいた?

高めあうマルチパスウェイ

増田博士はさらに、バッテリーEVBEV)や燃料電池車(FCEV)などのパワートレーンと太陽光発電の相乗効果について語った。

増田博士

BEV、FCEVなど様々なパワートレーンがありますが、そのいずれにもソーラーパネルを載せることができます。

ソーラーパネルで発電した分だけ、バッテリーや水素の消費を抑えることができ、より効率的なエネルギー消費でクルマを走らせることができます。

競合するのではなく、お互いの強みを高めあえるマルチパスウェイ。その実現に大きな役割を果たす太陽光発電は、クルマを走らせるだけでなく、災害時の安心にも貢献する。

災害による停電に巻き込まれた際、太陽光で充電できるソーラーカーが近くにあれば、スマホを充電し、家の暖房を動かすバッテリーとしても利用できる。

「エネルギーの自給自足」というソーラーカー最大のメリットは、カーボンニュートラルだけではなく、人の命を守ることにも繋がる。

クルマは人が乗ってこそ

カーボンニュートラルの未来へ向けて進化し続けるソーラーカーだが、世に広く普及するには課題も多い。

それでも、「人に乗ってもらう」という開発のゴールは変わらないようだ。

増田博士

ソーラーカーを普及させるうえで一番大事なことは、「ソーラーカーは実用化できるクルマ」だというお客様の認知を高めることだと思っています。そのうえでトヨタ博物館での企画展は非常にありがたい機会です。

太陽光発電の研究はクルマ以外の領域でも盛んになっており、注目も今以上に高まっていくはずです。

例えばこれまでの常識を覆す「ペロブスカイト型太陽電池*1」や「化合物系太陽電池*2」などの次世代技術の研究も進んでおり、太陽光によるエネルギーの自給自足が一気に普及するかもしれません。

*1ヨウ素が主原料の次世代の太陽電池。シリコン素材の従来型に比べて薄くて軽量、低コストなどのメリットがある。柔軟性にも優れており、場所を選ばずに設置可能

*2 銅、インジウム、セレンなどを原料とする次世代の太陽電池。ペロブスカイト型太陽電池と同じメリットがある

太陽光発電の未来について楽しそうに話す増田博士。世間を驚かすような発明が生まれる日はそう遠くないかもしれない。

BEVやFCEVなどに並び、ソーラーカーがカーボンニュートラルの選択肢として普及した世界。その実現に向けたこれからの開発に期待したい。

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