2021.04.26
「現場」の誰かが楽になるように自身が動くことこそ、トヨタの思想だと語る豊田社長。新入社員を前に語ったその真意とは。
4月1日、入社式に出席した新入社員らとの懇親会で豊田章男は作業着を着て、豊田佐吉が考案したG型自動織機の前にいた。織機の木製シャトルを手に「現場の困りごとを直し」「誰かを楽にする」ことが原点であり「それこそがトヨタの思想」だと語った。
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およそ名のある経営者はみな、現場の重要性を説くものだが、果たして豊田章男のそれはさらに踏み込んでいるように周囲には映る。
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2009年1月20日の新体制内定会見ではじめて「現場にいちばん近い社長でありたい」と発言して以来、豊田は常に「現場」に居続けている。
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その現場は一つではない。それは生産工場であり、販売会社であり、時にはサーキットだったりする。ただそこにいるだけでない。工場や販売店を訪問する際には現地の空気を知るために事前通知はせず、突然訪問しては従業員たちと語らう。サーキットでは自らヘルメットを被りテストを行い、開発部署には、マスタードライバーとして、自身の意見をぶつける。とにかく今、そこで、何が行われていて、何が問題なのか、加飾ない情報を自ら求めて動き回る。
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現場とはどこか。それは自身が立ち、目にする、その場所、その瞬間のことだ。そこが現実であり、その現実には必ずもっと良くするための余地がある。その改善の連続が未来を作る。「現場にいちばん近い社長でありたい」という言葉は自分自身が最前線に立ち、常に当事者たらんとする宣誓だったのではなかろうか。
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新入社員のみなさんには、これから自身の“現場”が待っている。大きな未来はきっと、そこにいる誰かのための改善の先にある。