クルマ好きを惹き付けてやまないエンジンの音に焦点をあてた新連載。第1回は「基本の"キ"」であるエンジンの仕組みと音の関係について解説。
そもそもエンジンってどうなってるの?
まず一般に「エンジン音」といわれるクルマから聞こえる音を理解するために、エンジンの仕組みからおさらいしていきたい。
現在クルマのエンジンでもっとも一般的なのがレシプロエンジンだ。ガソリンと空気を混ぜた混合気を筒状のシリンダーのなかで燃焼(爆発)させ、動力に変換する。
往復運動という意味のレシプロという言葉が表すように、ピストンの往復運動でクランクシャフトを回し、その回転をタイヤに伝えることでクルマは走る。
このクランクシャフトが2回転する間に、吸気・圧縮・燃焼/膨張・排出の4行程を1サイクル行うのが4サイクルエンジンだ。
空気がないとガソリンは燃えない
燃料の噴射方式にはポート噴射と直噴の2つがある。ちなみにここまで説明したのは、燃料をポートと呼ばれる吸気管に噴射して混合気として吸入するポート噴射エンジン。
直噴エンジンの場合は、吸気管からは空気のみを取り入れ、シリンダー内に直接燃料を噴射し、シリンダー内で混合気を作って燃焼させる。
いずれにしても燃料を燃やすには空気が必要だ。エンジンサウンドとは燃焼そのものやエンジンのメカニカルな振動による音に加えて、多くの空気をエンジンに取り入れ、排出するときの音も含まれる。
そもそも音は、振動、空気の流れ、空気の膨張/収縮に起因する。
特に燃焼後のガスを排出するエキゾーストマニホールド(配管)やマフラーはエンジンサウンドに大きく影響する。
より大きな運動エネルギーを発生させるためには、その分大きな燃焼エネルギーが必要で、より効率的に空気をエンジンに送り込めるかがカギとなる。
その1つ目の方法は、1気筒あたりの排気量を多くすること。
2つ目の方法が、気筒数を多くすること。ただし、気筒を1列に並べる直列型だとエンジンが長くなりエンジンルーム内の収まりが悪くなるため、シリンダーをV型に並べて収めたりもする。
とはいえ部品点数の多さによるコスト増や重量、スペースを考えれば、少ない気筒数でまかなえるに越したことはない。
そこで3つ目の方法が、燃焼後の排ガスを素早く排出することだ。
その制御技術はいろいろある。なかでも各シリンダーからの排ガスを集めて排出するエキゾーストマニホールドの長さや形状を整えることでスムーズに排出させ、排気干渉を押さえる方法は昔からよくとる手段として知られている。