暗闇でピカッと光る猫目や、モフモフシートなど...。担当デザイナーが明かしてくれた「APMネコバス」の裏話とは?
まさに本物の猫目
ネコバスの特徴のひとつである暗闇で光る目は、いかに生み出されたのだろう。
色や形状違いの目を何種類もつくり、屋内や自然光の下、さらに暗闇のなかで発光試験を繰り返したという。実際にAPMネコバスが運行されれば、多くの方が昼にその姿を見るだろう。だからこそ貴重な夜の猫目だ。
このAPMネコバス。永津がはじめて宮崎吾朗監督にアイデアを提案した際は下記のようなスケッチだったそうだ。
これを見た宮崎吾朗監督は「いまどき手描きなんですね!」と嬉しそうに話したという。
永津
造形する前にスケッチのやりとりで細部を詰めていきましたが、たくさんのフィードバックがあるんですよ。「足の爪はもう少し鋭く」「疾走感を出したほうが楽しい」とか。
スタジオジブリは人を楽しませるプロですから「こうした方がもっと楽しい」と指摘をもらえる。1000本ノックではなく、まさに楽しいキャッチボールでした。
永津はAPMの担当デザイナーだった知見を生かし、プロのデザイナーとして「ここまでできますよ」「もっとできますよ」と自らも提案を繰り返したという。
夢が詰まったネコバス。だからこそアニメづくりとクルマづくりの双方のプロが、一切妥協せず、みんなを楽しませるモノづくりを進めていった。
心のきれいな人にしか見えないもの
APMネコバスは、シニアの方、お身体の不自由な方、妊娠中や乳幼児をお連れの方などへの配慮されたAPM(Accessible People Mover)をベースにしている。
そのため、わずか10秒ほどでスロープを設置できるなど、あらゆる方が乗りやすい設計になっている。
永津
車いすの人と、付き添いの2人が両サイドから乗れるようになっています。またAPMの基本設計ですが、発車時に後ろを向いて乗客の安全確認をしやすいように、運転席は一段高くしています。
永津は最後に、雨よけのレインカーテンを紹介してくれた。「心のきれいな人にしか見えないですよ」と笑って話すそのデザインとは…
自ら「レインカーテンにキャラクターの姿を入れたい」と提案。
傘をもったトトロの全身をレイアウトしていたが、それだとトトロが小さく見えてしまう。そこで宮崎吾朗監督から「全身が入らなくていいのでトトロを大きくしましょう」と返答があったそうだ。
会社や部署の壁を越え、大人たちが本気になり、楽しみながらつくられたAPMネコバス。
3月16日から愛・地球博記念公園(愛知県長久手市)で運行開始なのだが、乗車券には宮﨑駿監督によるイラストも描かれているそうだ。ぜひ公園にお越しいたただきたい。