カーボンニュートラル社会の実現とその選択肢拡大へ、新エネルギーの実証実験を行うスーパー耐久シリーズ。第2戦から新たにホンダと日産が加わった。メーカーの垣根を越えた取り組みに迫る。
5月26日~28日に富士スピードウェイでENEOSスーパー耐久シリーズ2023 第2戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レースが開催された。このレースでさらに仲間が増えた「ST-Q」で各社が共に挑戦する自動車業界の未来に迫った。
カーボンニュートラルの選択肢を広げるレース
S耐にはメーカーの開発車両が走る「ST-Q」というクラスがあり、そこでは、各社が、カーボンニュートラル(CN)社会の実現と選択肢を広げるため、「水素」「合成燃料」「バイオディーゼル燃料」を使用した新しいエネルギーの実証実験を進めている。
この「ST-Q」について、S耐を運営するスーパー耐久機構事務局の(STO)の桑山晴美事務局長はレース中に行われたWEC(FIA世界耐久選手権)を主催する団体「ACO(フランス西部自動車クラブ)」のピエール・フィヨン会長を招いた会見でこう説明した。
STO 桑山事務局長
私どものレースは、アマチュアを主役に楽しむレースカテゴリーですが、過酷な条件の中で、長時間走る耐久レースの特徴は、まさに開発の場そのものと思っております。
未来のクルマ、モータースポーツのために
この第2戦富士24時間から「ST-Q」にホンダ・レーシングの「CIVIC TYPE R CNF-R」271号車と日産自動車(NISMO)の「Nissan Z Racing Concept」の230号車が参戦した。
2021年に水素カローラ1台からスタートしたS耐でのCNの取り組みは、トヨタ、マツダ、SUBARU、日産、ホンダの5社6台となった。桑山事務局長は続ける。
STO 桑山事務局長
私どもはレースを楽しむ文化を大切にして、これからも育んでいきたいと思っておりますが、新しい時代に向けて試行錯誤の場をご提供していくことも非常に大きな使命だと感じております。
S耐は、今年で34年目、この富士24時間大会は6年目です。まだまだル・マンの足元にも及びませんけれども、その背中を追って、アジアから耐久レースを盛り上げながら、未来のクルマ、未来のモータースポーツにつなげることに、少しでもお役に立ちたいという気持ちです。
さらなるCNの仲間が増えたこの24時間レースでは、「ST-Q」に参戦する6台のクルマに「共挑」というステッカーが貼られた。
メーカーの垣根を越えて共に挑む。この共通する想いを表したものになる。「共挑」への想いについて佐藤社長はラウンドテーブルでこう話した。