カーボンニュートラル社会の実現とその選択肢拡大へ、新エネルギーの実証実験を行うスーパー耐久シリーズ。第2戦から新たにホンダと日産が加わった。メーカーの垣根を越えた取り組みに迫る。
実証実験のままで終わらせない
佐藤社長
ここ数年、この場を実証実験で使わせていただいて、いろいろな取り組みができてきています。
ずっと実証実験だといけないので、その先の社会実装にいかにつなげていくかが大切だと思います。
さまざまなテーマがありますが、この場で鍛えて社会実装をし、量産につなげるという一連の流れを次のステップとしてつくっていくのが自分の役割だと思っています。
当日は、富士スピードウェイに隣接した、トヨタ交通安全センターモビリタでENEOSによる合成燃料走行デモンストレーション式典も開催された。
この式典には、CNのための国産バイオ燃料・合成燃料を推進する議員連盟などの国会議員らが参加した。
式典ではENEOSの齊藤猛社長が「合成燃料の技術開発推進と早期の技術確立および社会実装を目指す」と話し、トヨタ協力のもと走行デモンストレーションが行われた。
その後に開かれたラウンドテーブルで、S耐で今後やっていきたいことについて質問を受けた佐藤社長はこのように話した。
佐藤社長
活動を重ねれば重ねるほど、S耐というものの価値、存在意義を深く理解するようになってきました。
やっぱり草の根のモータースポーツで、誰もが集うことができて、みんなで楽しむモータースポーツの原点がここにある。
そこをメーカーがPRに活用していくのは、本来のS耐のあり方ではないはずです。
でも「ST-Q」のような鍛える場を与えていただいています。S耐に恩返しを考えないといけないので、われわれはもっと、もっと、カスタマーモータースポーツに対する理解を深める必要があります。
一社でやるには限界があるので、みんなで考えながらカスタマーモータースポーツ支援を具体的な行動にしていきたいと思います。
S耐24時間富士では、「S耐ワイガヤクラブ」が発足され、Webページも開設された。
この「S耐ワイガヤクラブ」は2022年11月の最終戦鈴鹿で行われたメーカーの垣根を越えたS耐「ST-Q」の取り組みメンバーが集まった「ワイガヤ」の場で決定した名称だ。
公開されたS耐ワイガヤクラブのWebページにはこう書いてある。
「未来を創る実験区。スーパー耐久が掲げる理念に共感したメーカーが集結。そこにあるのは、勝ち負けだけではなく、クルマやモータースポーツの未来の姿、そしてその先の『地球の未来』。レースの現場だからこそできる発想は新しい時代を創り上げていく。『S耐ワイガヤクラブ』は、私たちにどのような夢ある未来を投げかけてくれるのだろう。」
3年前に水素カローラから始まったCNへの取り組み。S耐は産業を越えた“オールジャパン”の連携が生まれ、未来のクルマ、未来のモータースポーツをつくり出す中心地になりつつある。