クルマやモータースポーツの未来をつくるS耐での共挑

2023.07.06

カーボンニュートラル社会の実現とその選択肢拡大へ、新エネルギーの実証実験を行うスーパー耐久シリーズ。第2戦から新たにホンダと日産が加わった。メーカーの垣根を越えた取り組みに迫る。

各メーカーが「共挑」する意味

佐藤社長

最終的なゴールはCNをいかに実現するか。いろいろな方法があっていいと思います。

今、トヨタだと、「マルチパスウェイ」と言っていますが、それぞれの国柄に合わせた多様な選択肢をしっかり準備する。

それが個社の取り組みではなく、業界をあげて多様な選択肢をさまざまなトライで、スピードを上げてやっていくことが日本の自動車産業の発展、成長のためにはすごく大事です。

まさに、このS耐では、各社の戦略ではなく、日本の自動車産業全体として多様性をもって動こうとています。

トヨタがCN燃料で走らせる28号車 GR86とレースではガチンコ勝負を繰り広げるライバルの61号車 BRZで参戦するSUBARUの大崎篤社長もこう続ける。

大崎社長

佐藤さんが言ったように、どうしてもCNというとバッテリーEV(BEV)が先に出てきてしまうのですが、いろいろな選択肢を持つことがすごく大切です。

われわれSUBARUの場合は、技術アイコンとして水平対向エンジンを持っていますが、CN燃料は、未来を切り開く材料になるんじゃないかと思っています。

CN燃料を活用して、いろいろな研究やレースを通じて、さまざまなデータを共有しながら、これからの自動車産業の発展を追求していきたいなと思います。

昨年、1年間のレースで勝負はガチンコでしたが、「CNを実現するためには、やっぱり共挑していこうよ」と一緒に戦ってきたので、技術的にはCN燃料のかなりのところが見えてきたなと思っています。

そして、情報を共有しながら、この先、早く市販化ができるレベルまで持っていきたいと思っています。

ただ、すごく課題も多くて、すぐにはいかない部分も当然ありますが、市販化に向けて、これからも共同でやっていきたいと思っています。

次世代バイオディーゼル燃料を使用したMAZDA3で昨年より参戦するマツダの毛籠社長もこの取り組みについて話す。

毛籠社長

CNという大きな挑戦の題材が自動車メーカーの垣根を取っ払っています。こういうことは、かつてはかったのですが、みんなで協力してCNを達成していくという同じ志で、それぞれの技術を公開しながら、一歩でも日本で早く進むようにとやっています。

うちの場合は、まずディーゼルをやってきたので、バイオディーゼルをやろうと、今はユーグレナさんの非常に素性の良い燃料を使用しています。

今後は、これが廃油由来になった場合はどうなるかとか、いろいろな実証実験をして、将来、市場に展開していくときに課題が出ないよう、早く潰していくということをやっています。

お互いがそういう技術を理解しながら、実用化につなげていければいいと思います。

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